ふと、鏡を見たら「舌が黒い…」と不安な経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
舌の色や状態は、私たちの健康状態を反映するサインの一つですが、舌の色や状態は、単なる見た目の問題だけでなく、体調の変化や生活習慣の乱れを示している可能性があります。 本記事では舌が黒いことについて以下の点を中心にご紹介します。
- 舌が黒くなる原因
- 舌が黒いときの治し方
- 舌の色がいつもと違う場合に考えられること
舌が黒いことについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
舌が黒い・黒くなる原因
- 舌が黒いときに考えられる病気は何ですか?
- 舌が黒く変色する症状が現れたときには、黒毛舌(こくもうぜつ)口腔内ほくろ、血豆(血腫)などの病気が考えられます。これらの病気は異なる原因によって引き起こされるため、適切な診断と対処が必要です。
- 黒毛舌(こくもうぜつ)
黒毛舌は、舌の表面の糸状乳頭が異常に伸長し、細菌や色素によって着色されることで黒く見える状態です。この状態は、痛みを伴わないものの、口臭の原因になることがあります。また、味覚障害や舌の不快感を感じることもあります。黒毛舌の治療には、良好な口腔衛生の維持が重要で、定期的な歯ブラシや舌の清掃が推奨されます。 - 口腔内ほくろ
舌や口内の粘膜にできるほくろは、メラニン色素の集まりです。口内の粘膜にできるほくろは無害ですが、見た目が気になる場合や、急激な変化が見られる場合は、悪性の可能性もあるため、医師の診察を受けることが重要です。特にメラノーマのような悪性黒色腫のリスクを見逃さないためにも、定期的なチェックが必要です。 - 血豆(血腫)
舌を噛んだり、何か硬いもので舌を打ったりした際にできる血豆も、初めは赤いですが、時間が経つにつれて黒く変色します。これは血液が凝固する過程で色が変わるためで、数日〜数週間で自然に治癒します。
これらの症状が見られた場合は、自己判断せず、口腔外科や歯科医院での診察を受けることが望ましいとされています。
- 黒毛舌(こくもうぜつ)
- 舌が黒い色に変色する黒毛舌(こくもうぜつ)とは何ですか?
- 黒毛舌(こくもうぜつ)は、舌の表面が黒や褐色に変色する症状です。舌の表面にある糸状乳頭と呼ばれる小さな突起が過剰に成長し、まるで黒い毛が生えたように見えることから、この名前が付けられています。
症状は主に舌の中央部から始まり、後方に向かって広がっていく傾向があります。ほとんどの場合、色の変化以外に自覚症状はありませんが、一部の患者さんでは口臭の悪化、味覚障害、舌の違和感などを経験することがあります。
黒毛舌の見た目はたしかに驚くべきものですが良性の状態であり、深刻な健康の問題を示すものではありません。しかし、その外観や関連する不快感のために、患者さんに心理的な負担をかけることがあります。
- 黒毛舌になる原因は何ですか?
- 黒毛舌の主な原因は、口腔内の細菌バランスの崩れで、いくつかの要因が関与しています。主な原因は、以下のとおりです。
- 抗生物質の長期服用:抗生物質は一部の細菌を抑制しますが、カンジダ菌などの耐性菌が繁殖しやすくなります。
- 免疫力の低下:ストレスや睡眠不足、栄養不足などで体力が落ちると、口腔内の細菌バランスが崩れやすくなります。
- うがい薬の頻繁な使用:常在菌が減少し、ほかの菌が増殖する可能性があります。
- 喫煙:タバコに含まれるニコチンが舌の表面に付着し、変色を引き起こします。
- 着色性の強い飲み物:常習的な摂取は舌の変色を助ける可能性があります。
これらの原因から黒毛舌を発症します。黒毛舌を改善させるためには、原因の特定が必要なので、医師の診察を受けることが大切です。
舌が黒いときの治し方
- 黒毛舌はどのように治療しますか?
- 黒毛舌の治療は、原因に応じて適切なアプローチを取ることが重要です。
まず、抗生物質の服用が原因の場合、主治医と相談のうえで投薬内容の変更を検討します。ただし、全身の健康維持が優先される場合もあるため、医師の指示に従うことが大切です。
うがい薬が原因と考えられる場合は、抗生物質を含まないものに変更し、症状の改善を観察します。また、カンジダ菌の異常増殖が原因の場合、抗真菌薬の処方を検討することもあります。 治療と並行して、口腔衛生の改善や生活習慣の見直しも重要です。 総合的なアプローチにより、ほとんどの場合、黒毛舌は改善が期待できます。
- 舌が黒いときに舌ブラシは使用してもいいのでしょうか?
- 舌が黒くなっているときも、適切な方法で舌ブラシを使用できます。ただし、通常よりも慎重な使用が求められます。
舌ブラシを選ぶ際は、舌の表面を傷つけるリスクを減らすため毛先のついていないタイプを選びましょう。歯科専用の舌ブラシもおすすめです。
使用する際は、強くこすらないことが重要です。優しく、ゆっくりと1〜2回程度の歯磨きにとどめましょう。過度な力を加えると、舌を傷つけたり、刺激を与えすぎたりする可能性があります。
黒毛舌の舌苔は舌苔よりも除去が難しいため、無理に取ろうとせず、徐々に改善を目指すことが大切です。舌ブラシの使用後は、水でよくすすぎ、清潔に保つことも忘れずにしましょう。また、舌ブラシの使用と併せて、口腔内の衛生状態全体の改善に努めることも大切です。 例えば、歯磨きの徹底や、適切なうがいの実施などが効果的とされます。症状が改善しない場合や、不安がある場合は、歯科医師や医師に相談することをおすすめします。
舌の色がいつもと違う場合に考えられること
- 舌が黒以外の色になっている場合は何かの病気ですか?
- 舌の色の変化は、さまざまな健康状態や疾患を示す可能性があります。黒以外の色になる場合も、何らかの異常を示唆していることがあります。
白い舌は、口腔カンジダ症や白板症、扁平苔癬などの症状かもしれません。口腔内の炎症や感染を示唆することがあります。紫色の舌は、血液循環の問題や稀に川崎病の兆候である可能性があります。血流の異常や全身性の炎症疾患を示唆することがあるため、注意が必要です。
赤い舌は、ビタミンB欠乏や猩紅熱、アレルギー反応などが考えられます。鮮やかな赤色の場合、炎症や感染症の可能性があります。
黄色やオレンジ色の舌は細菌の繁殖や口腔衛生の問題、まれに糖尿病や黄疸の可能性があります。これらの色は、肝臓や胆嚢の問題を示唆することもあります。緑色の舌も細菌の繁殖が原因かもしれません。
青い舌は注意が必要で、酸素不足や血液疾患、腎臓病などの深刻な健康問題を示唆する可能性があります。緊急の医療処置が必要な場合もあるため、速やかに医療機関を受診することが重要です。
舌の色は、体調など身体の変化をいち早く察知できる場所とされているため、舌の色が普段と違うと感じた場合は、口腔外科や内科を受診することをおすすめします。
- 舌の色が違う場合は舌がんの可能性もありますか?
- 舌の色の変化だけで舌がんを断定することはできませんが、色の変化や症状は舌がんの可能性を示唆する場合があります。主に注意が必要なのは、白板症と紅板症です。
白板症は白色や灰白色の板状または斑状の病変で、ガーゼで擦っても取れません。一方、紅板症は鮮紅色の紅斑として現れます。これらは前がん状態とされ、なかでも、紅板症は悪性化のリスクが高いとされています。
舌がんのほかの症状には、固いしこり、ただれ、動きの悪さ、しびれなどがあります。進行すると、持続的な痛みや出血、強い口臭が現れることもあります。
ただし、舌の色の変化にはさまざまな原因があり、がんを意味するわけではありません。例えば、ビタミン不足、口腔内の感染、全身疾患の影響など、良性の原因も多く存在します。
編集部まとめ
ここまで舌が黒いことについてお伝えしてきました。舌が黒いことの要点をまとめると以下のとおりです。
- 舌が黒くなる原因は黒毛舌、メラニン色素沈着、血管腫、血豆が主因であるが、細菌バランスの崩れ、喫煙、着色性飲料も関与している
- 舌が黒いときの治し方は抗生物質変更、うがい薬見直し、口腔衛生改善、適切な舌ブラシ使用が有効とされる
- 舌の色がいつもと違う場合に考えられることは、口腔疾患や全身疾患の兆候の可能性があるため、医師に相談しよう
黒い舌に気付いたら、恐れずに原因を探り、適切な対処を心がけましょう。気になる症状が続く場合は、迷わず専門の医師に相談することをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。