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親知らずを二本同時に抜歯することは可能?抜歯する際の注意点やリスクを解説

親知らずを二本同時に抜歯することは可能?抜歯する際の注意点やリスクを解説

親知らずの抜歯を考えている方のなかには、なるべく通院回数を少なくするために二本同時の抜歯が行えないかと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事においては、親知らずの抜歯がどのような場合に必要なのかや、抜歯する際に二本同時に対応することができるのかどうかなど、親知らずの抜歯について詳しく解説します。

親知らずの基礎知識

親知らずの基礎知識

親知らずは、歯科用語では第三大臼歯と呼ばれる、歯のなかでも一番奥に生えてくる奥歯のことです。永久歯のなかで最も遅く生えてくる歯で、親元を離れて成人になる頃に生えてくるため、親が知らないうちに生えてくる歯として、親知らずと呼ばれます。知恵がついてくる年齢に生えるという意味から智歯とも呼ばれ、英語ではwisdom tooth(知恵歯)と呼ばれます。

親知らずは抜歯が必要?

親知らずは、必ず抜歯が必要というわけではありません。そもそも、親知らずは生えてくるタイミングが遅いという特徴があるだけで、基本的には人体にとって必要なパーツですから、トラブルがなければ抜歯をしない方がよいといえます。
しかし、現代人は食事の変化などによって昔よりも顎が発達しにくくなっているため、親知らずまで含めてきれいに歯が生えるだけのスペースが不足していることが多く、これが親知らずによるトラブルを引き起こす可能性があります。
スペースがない場所に親知らずが生えてきてしまうと、周囲の歯を圧迫して強い痛みを引き起こしたり、歯並びを悪化させたりするため、こうしたトラブルを避けるために親知らずの抜歯が推奨されることがあります。 また、親知らずがほかの歯に影響しない場合でも、親知らずは歯磨きが届きにくいことからむし歯や歯周病になってしまうリスクが高く、こうしたトラブルの治療や予防のために抜歯が推奨されることもあります。

親知らずの抜歯が不要なケース

親知らずで何らかのトラブルが生じている、またはトラブルの発生が予測される場合には抜歯が推奨されますが、一方で親知らずが正常に生えて、歯として適切に機能しているようなケースでは、抜歯が不要とされることもあります。 また、親知らずが完全に埋まっている状態でも、特に問題を引き起こしていないのであれば、そのまま放置しておく選択がされる場合があります。
親知らずを抜歯せずに残しておくことで、将来何かのトラブルで奥歯を失うことがあっても、親知らずを移植歯として利用できる可能性もあります。

親知らずの抜歯方法

親知らずの抜歯方法は、歯がどのように生えているかによっても異なります。
まず、親知らずがほかの歯と同じようにまっすぐ生えているのであれば、麻酔を行って痛みを抑えたうえで、鉗子と呼ばれる器具でそのまま抜き取れば、抜歯が完了します。 ただし、抜歯が必要とされるような親知らずは斜めや横向きなどに生えているケースも多く、この場合は抜歯方法が異なります。
親知らずがまっすぐではない生え方をしている場合、麻酔をしっかりかけるところまでは同じですが、その後は歯茎を切開して、抜歯する歯を露出させます。そして、親知らずが接続している顎の骨を削ったり、場合によっては歯の頭や根の部分を砕いて分割したりしてから、慎重に抜歯を行います。 親知らずの生え方によっては、神経などが近くにあり、十分な設備が整った医療機関でなければ抜歯が難しいというケースもあります。

親知らずの抜歯が推奨される年齢やタイミング

親知らずを抜歯するのは、20歳前後あたりが推奨されるケースが多いといえます。その理由としてまず、親知らずが生えてくるタイミングがこの頃であり、親知らずによる痛みなどのトラブルが生じやすい時期であるため、抜歯が推奨されやすいタイミングであることが挙げられます。
また、親知らずによるトラブルが生じていなくても、この頃になれば今後どのように生えてくるかを推測できるようになるため、予防として抜歯をするかどうかを選択しやすい時期といえます。 20歳前後のタイミングを逃すと抜歯ができなくなるというものではありませんが、抜歯を行うのであれば若いうちの方が組織の回復も早いため、いつか抜歯すると決めているのであれば、早めに対応してしまった方がよいかもしれません。

二本同時に親知らずを抜歯することはある?

二本同時に親知らずを抜歯することはある?

親知らずは、上下の歯の左右で合計4本あります。親知らずの抜歯は基本的には1本ずつ順に行われますが、忙しくてなかなか通院の時間が取れない方など、二本同時に抜歯したいと考える方もいるのではないでしょうか。
親知らずの抜歯が、二本同時に対応が可能なのかどうかについて解説します。

左右片方の上下を二本同時に抜くことはある

親知らずの抜歯を、例えば右側の上下で二本同時に行うといった対応は、場合によっては可能です。
二本同時に抜歯をすることで、通院回数を減らすなど患者さんの負担が軽減できる可能性があります。

左右の上の親知らずを二本同時に抜くことも可能な場合がある

上の親知らずであれば、左右の二本同時に抜くことも可能な場合があります。上の親知らずは抜歯による身体への負担がかかりにくいことが多く、特にすんなり抜歯できるような状態の歯であれば、左右二本同時に抜歯しても、問題になりにくいといえます。

左右の下の親知らずを二本同時に抜くことは基本的にない

上の歯であれば左右同時の抜歯が行える可能性がありますが、下の歯の左右二本を同時に抜歯することは基本的にありません。下の歯の親知らずは抜歯の難易度が高いことが多く、抜歯によって周囲の骨を削る場合、大きく周囲が腫れてしまいやすいです。そのため左右同時に抜歯すると日常生活への支障が大きくなる可能性があります。

親知らず以外の歯を二本同時に抜くことはある

親知らずではなく、ほかの歯の治療などにおいて、二本同時に抜歯を行うケースは多々あります。親知らず以外の歯については、抜歯によって大きな負担がかかることも少ないため、二本同時の抜歯で日常生活への大きなリスクが生じるというケースは少ないといえるでしょう。

親知らずを二本同時に抜歯するリスクとデメリット

親知らずを二本同時に抜歯するリスクとデメリット

親知らずを二本同時に抜歯する場合、下記のようなリスクやデメリットがあることに留意が必要です。

腫れや痛みが強くなりやすい

親知らずの抜歯は、生え方などによっては1本ずつ行った場合でも大きな負担がかかりやすく、強く腫れたり痛んだりする可能性があります。
二本同時に抜歯する場合は当然そのリスクがより大きくなり、抜歯後に強い腫れや痛みに悩まされる可能性があります。

処置にかかる時間が長くなる

親知らずを二本同時に抜歯する場合、当然のことではありますが、処置にかかる時間はその分長くなります。

術後のケアが難しくなる

お口の健康を守るためには、親知らずの抜歯後であってもしっかりと歯磨きなどの口腔ケアを行うことが大切です。
親知らずを抜歯した場合、処置の内容によっては傷が開かないように慎重にケアを行う必要などが生じますので、二本同時に抜歯を行うケースでは、より丁寧かつ慎重なケアが求められる可能性が高くなります。

生え方によっては同時抜歯が難しい場合もある

親知らずの生え方によっては、一本ずつ抜歯を行うだけでも身体に負担がかかりやすく、そもそも二本同時の抜歯が難しいという場合もあります。

親知らずを二本同時に抜歯する際の費用相場

親知らずを二本同時に抜歯する際の費用相場

親知らずの抜歯は、基本的に保険適用で行われます。
自己負担が3割の方の場合、親知らずの抜歯にかかる費用は1本あたり2000~3000円ほどであり、二本同時の場合は単純にこの2倍程度が費用相場となります。
ただし、これは親知らずがまっすぐに生えていてすんなり抜歯可能である場合で、横向きに生えているなど、切開を伴う治療が必要なケースでは1本あたり5000円程度の費用がかかることもあります。
また、歯科医院によってはより安全性の高い治療のために歯科用CTなどを使用した自費診療の検査を行うことがあり、この場合は数千円の追加費用がかかる可能性があります。

親知らずを抜歯する歯科医院の選び方

親知らずを抜歯する歯科医院の選び方

親知らずを抜歯する際には、下記のような視点で歯科医院を選んでみると、安心感のある治療を受けやすいといえるでしょう。

歯科口腔外科の経験が豊富な歯科医師を選ぶ

歯科口腔外科は、お口のなかのトラブルに対する外科的な治療を専門的に行う診療科です。歯科医院というと歯に対する治療のイメージが強い方も多いと思いますが、口腔がんの手術など、歯科口腔外科は外科治療も多く取り扱います。
難症例の親知らずの抜歯も歯科口腔外科が専門的に対応するお悩みの一つですので、安心感がある親知らずの抜歯を受けたいのであれば、歯科口腔外科の診療経験が豊富な歯科医師の治療を受けるとよいでしょう。

歯科用CTなどの検査機器が導入されている歯科医院を選ぶ

しっかりと安全性に配慮した抜歯を行うためには、歯の周囲の状態を詳しく調べ、しっかりと治療計画を立てる必要があります。
歯の状態や顎の神経など、抜歯したい親知らずの周囲を詳しく調べるために欠かせない歯科用CTをはじめ、先進的な検査機器が導入されている歯科医院を選ぶと、安心感がある親知らずの抜歯を受けやすいといえます。

場合によっては大学病院などでの治療が必要になることに注意する

親知らずの生え方によっては、抜歯の際に周囲の神経を傷つけてしまう可能性などから、大学病院などの十分な設備が揃った医療機関でなければ対応が難しい場合があります。
歯科医師で診察を受けて、高次の医療機関での治療がすすめられた場合は、紹介状などを貰って設備が揃った医療機関での治療を受けるようにしましょう

親知らずを抜歯した後の注意点

親知らずを抜歯した後の注意点

親知らずの抜歯におけるトラブルを回避するためには、抜歯後の生活にも注意が必要です。
親知らずの抜歯後、特に気を付けたいポイントは下記のとおりです。

抜歯当日の激しい運動や入浴は控える

親知らずを抜歯した後は、患部に炎症が起きて腫れや痛みが生じやすくなっています。激しい運動や入浴など、血流が促進される行為は、炎症を強めて腫れや痛みを増大させる可能性があるほか、治療後の回復を遅くしてしまう可能性があるため控えましょう。

カサブタが剥がれないように気を付ける

親知らずを抜歯した後には、傷口を保護するカサブタのような役割を果たす血餅(血の塊)が形成されます。血餅はできた当初は赤黒い塊ですが、時間経過とともに白くなり、1週間から10日前後で自然となくなります。
血餅は出血を防ぐのと同時に細菌の進入を防ぎ、傷口の回復を促進する働きがありますので、強くうがいをしたり、舌で触ったりして剥がれないように注意しましょう。
血餅が剥がれてしまうと、患部の回復が遅くなる可能性があるだけではなく、傷口の骨が露出して強い痛みが生じるドライソケットの状態につながることもあります。

飲酒や喫煙はやめる

飲酒や喫煙は口腔内の刺激となるほか、血流を阻害して傷の回復を遅くしてしまう要因の一つです。さらに、口腔内の免疫力を低下させて、傷口の感染などが引き起こされやすくなったり、痛み止めや抗炎症剤などの薬の作用を低下させたりする可能性があります。
親知らずの抜歯から少なくとも数日は禁煙と禁酒を心がけ、歯科医師に相談しながら再開を検討するようにしましょう。

歯科医師の指示を守って薬を服用する

親知らずの抜歯後には、痛み止めや抗生物質などが必要に応じて処方されます。処方された薬は、歯科医師の指示を守って、しっかり服用するようにしましょう。
腫れや痛みが引いてきても、薬の服用を自己判断で止めずにしっかりと服用し続けることで、細菌の感染や炎症をきちんと防ぎやすくなります。

まとめ

まとめ

親知らずは、歯の生え方や健康状態、そして抜歯を行う歯の場所によっては、二本同時に抜歯することも可能です。ただし、下の歯の親知らずについては抜歯の際に強く腫れが生じるケースが多く、下の歯の左右にある親知らずを同時に抜歯することは難しい可能性が高いといえます。
なお、親知らずの抜歯は1本ずつ行うことが一般的で、抜歯によって身体に負担がかかる可能性があるため、二本同時の抜歯が推奨されるケースは少ないといえます。
安全性に配慮された親知らずの抜歯を希望する方は、まずは歯科口腔外科の診療経験が豊富であるなど、親知らずの抜歯経験が豊富な歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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