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親知らず

親知らずがない人はいる?親知らずが生えない理由や親知らず治療について解説します

親知らずがない人はいる?親知らずが生えない理由や親知らず治療について解説します

親知らずがない人が存在するのはご存知ですか?親知らず、つまり第三大臼歯は通常、成人になる頃に生えてきますが、全員に生えるわけではありません。この記事では、親知らずがない人について以下の点を中心に解説します。

  • なぜ親知らずが生えない人の特徴
  • 親知らずの治療が必要なケース
  • 親知らずの治療が不要なケース

親知らずの有無や治療についての知識を深め、より良い口腔健康を目指しましょう。
親知らずがない人について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

親知らずとは?

親知らずとは?

親知らず(第三大臼歯)と呼ばれるこの歯は、一般的に人間の最後の永久歯として知られています。親知らずは、通常、成人期の20歳前後に生え始めることが多く、場合によっては25歳を超えてから生えることもあります。
全ての人に生えるわけではなく、生えるタイミングや有無には個人差が存在します。

人間の口腔内には通常、28本の永久歯がありますが、親知らずが全て生えると合計32本になります。しかし、親知らずが生えることには様々な問題が伴うことがあります。
この歯は位置的に非常に奥にあるため、正常に生えるスペースが足りない場合が多く、歯が横向きに生えたり、隣の歯に押し当たることがあります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まることが知られています。

さらに、親知らずが正常な位置に生えず、隣の歯と密接に生える場合、虫歯が発生しても肉眼では見えにくく、レントゲン撮影で初めて発見されることが多いです。
そのため、親知らずの管理と適切なケアが必要になり、時には抜歯が推奨されることもあります。

親知らずの存在は、現代の口腔健康においてさまざまな課題をもたらしており、個々の状況に応じた対応が求められます。

親知らずが生えない理由

親知らずが生えない理由

親知らずが生えてこないのにはどんな理由があるのでしょうか?以下に考えられる3つのケースを紹介します。

①親知らずが生えるスペースがない

<親知らずが生えてこない理由の一つに、「顎のスペース不足」があります。これは、特に顎の小さい人に多く見られる現象です。人間の顎のサイズや形状は個人差が大きく、特に日本人は小さな顎を持つ傾向にあります。
顎が小さいと、歯が並ぶスペースが限られており、結果として歯列が凸凹になったり、親知らずが完全に生えることなく顎の中に埋まってしまうことがあります。

親知らずが顎の中に埋もれた状態を「埋伏歯(まいふくし)」と言います。埋伏歯は、表面上で確認することが困難で、多くの場合レントゲン撮影を行うことで初めて発見されます。
親知らずが埋もれたままの状態は、将来的に虫歯や歯周病のリスクを高めることがあり、適切な診断と処置が必要になることがあります。

親知らずが生えてこない理由は、主に顎のスペースと永久歯のサイズが大きいことが関係しています。特に、顎のスペースに関しては、個人の顎のサイズや形状が大きく影響しており、顎のサイズに適した歯の数を維持することが、口腔の健康を守るためには重要です。

②遺伝の影響

親知らずが生えない理由に、「遺伝的な要因」もあります。これは、人が生まれた時から決まっている遺伝的な特徴に基づいています。具体的には、歯を形成する原材料となる歯胚(しはい)が、遺伝的な理由で元々形成されていない場合、その人は親知らずが生えることはありません。

歯胚は、人間が胎児の段階で形成されるもので、これが成長し歯として顎の中に現れます。しかし、親知らずの歯胚がそもそも形成されていない場合は、成長して歯として現れることはないのです。遺伝的な特徴によっては、この歯胚が形成されないケースもあり、これが親知らずが生えてこない一因となります。

このように、親知らずが生えない背景には遺伝が大きく関わっており、個人の体質や遺伝的な特性が直接的な影響を及ぼしているのです。

③歯茎に埋まっている

親知らずが完全に埋まった状態で存在するケースもあります。この状態の親知らずは、通常の歯とは異なる位置や方向で成長していることが多く、これが原因で他の歯への圧力を与える場合もあります。
通常、このような親知らずには自覚症状がなく、歯科の定期検診や他の治療の際にレントゲン撮影を行った時に偶然発見されることが多いです。

親知らずが埋まっている状態は、発見が困難であり口内の健康リスクをもたらすこともあるため、定期的な歯科診断の重要性が強調されます。

親知らずが生えてこない人の特徴

親知らずが生えてこない人の特徴

親知らずが生えない人の特徴には、顎の小ささや噛む習慣の変化が関係していると考えられています。昔に比べて現代の食生活では、硬い食べ物を食べる機会が減少しており、柔らかい食べ物が増えています。
古代人の食生活は、硬い木の実や簡単には噛み切れない食材が中心であり、その結果顎がしっかりと発達していました。このような環境下では、親知らずも他の歯と同様に必要な役割を果たしていたのです。
しかし、時代が進むにつれて、火を用いた調理が普及し、柔らかい食べ物が主流となりました。これにより、顎の使用頻度が減少し、顎のサイズが徐々に小さくなっていったのです。

この進化の過程で、親知らずが必要なくなり、結果として親知らずを持たない人が増えてきました。
特に、日本人のように元々骨格が華奢で顎が小さい人種では、顎に十分なスペースがなく、親知らずが正常に位置することなく横向きに倒れたり、顎の骨や歯茎に埋もれた状態になることが多いです。 近年の食生活の変化、特に加工食品の普及により、硬い物を噛む機会が減少し、顎の発達がさらに抑制される傾向にあります。
日本人を含む多くの人々において、親知らずが生えてこない現象を加速させている可能性があります。
顎の発達と歯の進化に関連するこれらの変化は、現代人の口腔健康に大きな影響を与えています。

親知らず治療が必要なケース

親知らず治療が必要なケース

親知らずで治療が必要なのはどのような場合でしょうか。以下に3つ、治療が必要なケースを紹介します。

痛みや腫れなどの症状がある

親知らずが完全に生えていない状態でも、痛みや違和感がある場合は、原因が歯茎の中で起こっている可能性があります。
目に見えない部分で進行しているトラブルは自覚が難しいため、専門の歯科医による検査を受けることが推奨されます。

親知らずの周囲は、プラークが蓄積しやすく、細菌感染を起こしやすい環境になっていることが多いです。これにより、痛みや腫れ、さらには虫歯や歯周病といった他の歯への影響を及ぼすことがあります。
また、症状が一時的に落ち着いても、根本的な問題が解決されていない限り、状態が悪化するリスクがあります。

痛みや腫れがある場合は、早めに歯科医院を訪れ、適格的碧な診断と治療を受けることが重要です。
必要に応じて抜歯の提案がなされることもありますが、これは周囲の歯へのダメージを防ぐための措置です。

歯並びや噛み合わせに悪影響を与える

親知らずが横向きに生えてくる場合、他の歯、特に第二大臼歯(奥歯)に圧力をかけることがあります。
第二大臼歯は噛み合わせにおいて重要な役割を果たすため、その位置が変わると歯並び全体に影響を及ぼす恐れがあります。歯並びが悪くなるのを防ぐためには、親知らずを早めに抜歯することが考慮されることが多いです。

一方で、親知らずが縦向きに真っ直ぐ上に生えている場合は、歯並びに影響を与えることは少ないため、抜歯の必要性は低くなります。
しかし、親知らずが斜めに生えている場合は、徐々に他の歯を押し、歯並びや噛み合わせに悪影響を与える可能性があります。

そのため、親知らずの状態を定期的に歯科医院でチェックし、必要であれば適切な時期に治療を受けることが重要です。
治療としては、親知らずの抜歯が考慮されることが一般的です。

親知らずが斜めに生えている

親知らずが横向きや斜めに生えている場合、抜歯が推奨されることがあります。
不適切な位置で生えた親知らずが隣接する歯を圧迫し、さまざまな口腔内問題を引き起こすリスクがあるためです。

親知らずが歯茎の中で横向きや斜めに位置していると、その隙間に食べ物のカスが挟まりやすくなり、歯垢(プラーク)の蓄積を促進します。
これにより、親知らずだけでなく、隣接する歯も虫歯や歯周病に罹患する可能性が高まります。また、口臭の原因となることもあります。

加えて、不適切に位置する親知らずは、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。放置することにより、問題が進行し、広範囲にわたる治療が必要になるケースも少なくありません。
例えば、親知らずだけでなく、影響を受けた第二大臼歯も抜歯することが必要になる場合もあります。

親知らず治療が必要ないケース

親知らず治療が必要ないケース

親知らずがあっても治療を必要としないケースもあります。どのような状態であるのか解説します。

きれいに生えている

親知らずが問題なくまっすぐに生えている場合、特に治療の必要はありません。正常に位置している親知らずは、噛み合わせにも適切に組み込まれ、虫歯や歯周病のリスクも低く保たれます。

しかし、親知らずがあると多少歯磨きがしにくいことがあります。特に、奥まった位置にあるためにブラシが届きにくいという問題が生じることがあります。

親知らずの周りをきれいに磨くためには、コンパクトなヘッドを持つ歯ブラシや、柔らかめのブラシが推奨されます。細やかな部分まで丁寧に磨け、歯や粘膜を傷つけるリスクを減らせます。
さらに、ワンタフトブラシの使用もおすすめです。これは、小さなブラシ頭が特定の難しい部位にピンポイントでアクセスできるため、親知らずの周囲を清潔に保つ手助けになるでしょう。

骨の中に埋まっている

親知らずが完全に埋まっている場合、特に症状がないと治療の必要はありません。親知らずが骨の中に完全に埋もれており、外部に露出していないため、プラークが蓄積しにくく、虫歯や歯周病のリスクが低い状態を指します。
親知らずは歯茎に完全に覆われており、ブラッシング時に磨き残しの心配がなく、痛みや腫れなどの症状も伴いません。

親知らずが斜めに位置している場合や、周囲の組織に影響を与える嚢胞を形成している可能性がある場合は、状況が異なります。
これらの状態は、隣接する歯に圧力をかけたり、炎症を引き起こす原因となるため、抜歯が推奨されることがあります。

親知らずの状態を自己判断せず、定期的に歯科医院で検査を受けることが重要です。レントゲン撮影などを通じて、親知らずの位置や状態を正確に把握し、必要に応じて適切な治療を行うことが望ましいです。
また、症状がない場合でも、経過観察を続けることで、将来的な問題を未然に防げるでしょう。

親知らずを放置する危険性

親知らずを放置する危険性

親知らずは位置が奥深く、清掃が困難であるため、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
歯と歯肉の間や他の歯との境界に食べかすが溜まりやすく、細菌が繁殖することで親知らず周囲炎を引き起こすことがあり、痛みや腫れを伴います。

また、歯ブラシが届きにくいことでセルフケアが難しくなり、口臭が悪化する原因にもなります。
さらに、親知らずの虫歯や炎症が顎の骨にまで及ぶと顎骨炎を引き起こし、重篤な状態に進行すると全身に影響を及ぼすことがあります。

斜めや水平に生えた親知らずは隣の歯を押し、噛合せの乱れを引き起こすことがあり、長期的に顎や全身の不調に繋がる可能性があります。
また、親知らずが隣の歯を圧迫することで、歯の根が徐々に吸収される現象(歯根吸収)も発生し、歯の健康を大きく損なうリスクがあります。

親知らずが生えてこなくて心配な人は歯科医院で相談してみよう!

親知らずが生えてこなくて心配な人は歯科医院で相談してみよう!

親知らずが見えない場合、生えていないのか、埋まっているのかを確認するためには歯科医院での診察が必要です。
16歳以降、親知らずの検査や抜歯は保険適用が可能で、高額な費用を心配する必要はありません。治療が必要ない場合もありますが、埋まっている場合は専門的な対応が求められることもあります。
親知らずの有無が気になる方は、早めに歯科医院で相談してみましょう。

まとめ

まとめ

ここまで親知らずがない人についてお伝えしてきました。親知らずがない人の要点をまとめると以下の通りです。

  • 親知らずが生えない現象は、食生活の変化や顎の小ささに関連している。現代では柔らかい食べ物が多く、顎の発達が抑制される傾向にあり、特に顎の小さい日本人に多く見られる。
  • 親知らずの痛みや腫れ、他の歯への圧力、歯並びへの影響がある場合は治療が必要。斜めや横向きに生える親知らずは隣の歯を圧迫し、虫歯や歯周病のリスクを高めるため、抜歯が推奨される。
  • 親知らずが正常に生えている、または完全に骨の中に埋まっている場合、特に症状がなければ治療の必要はない。定期的な歯科検査で状態を確認し、必要に応じて適切なケアを行うことが重要。

親知らずが生えてこないことには遺伝的要因や現代の食生活の変化が影響しています。問題がなければ治療の必要はありませんが、痛みや歯並びに影響がある場合は適切な治療が必要です。
親知らずの有無や状態について心配な方は、定期的な検査と相談をお勧めします。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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