歯科医院で親知らずを抜いた後は、歯茎に強い痛みを感じて長期間苦しむことがあります。
なかには親知らずを抜歯したときの痛みを恐れて、なかなか親知らずを抜く勇気がないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
しかし抜く前に痛みが生じる原因や、痛みの対処法などをあらかじめ知っておくと、いざ抜くときにある程度心の準備ができるでしょう。
そこで今回は、親知らずを抜いた後の痛みが続く期間や痛みが起こる原因、対策について解説します。
これから親知らずを抜歯する予定のある方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
親知らずを抜いた後痛いのはいつまで?
人によって異なりますが、親知らずを抜いた後、麻酔が切れると強い痛みが起こるケースがあります。
痛みが引くまでは早くて2日、長ければ1週間程度ですが、もし痛みが続くようだったら注意が必要です。
痛みを止めるには、ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤が効果的なので、歯科医師と相談したうえでこれらの薬を処方してもらいましょう。
親知らずを抜いた後の痛みの原因
親知らずを抜いた後、麻酔が切れると強い痛みが襲ってきます。
ひどい場合は細菌に感染して化膿を起こしてしまったり、ドライソケットといって穴がふさがらない状態になることもあるので、治療後も注意が必要です。
ここからは、親知らず治療後の痛みの原因に関して詳しく解説します。
麻酔が切れた
親知らずを抜いた後、麻酔が段々と切れてくると急に強い痛みが襲ってくる場合があります。
麻酔は治療後、約3時間程で切れるのが一般的です。
通常これらの痛みは2日〜3日で完治する場合が多いですが、もし3日を過ぎても痛みが続く場合はドライソケットの可能性があるので、すぐに歯科医師の診療を受けてください 。
麻酔が切れた後の痛みは、人によっては日常生活に支障をきたす痛みになる恐れがあるので、治療後は歯科医師の指示のもとに痛み止めの薬を飲むようにしましょう。
処方される薬は頭痛薬として知られているロキソニンなどの鎮痛剤で、指示どおり飲めば痛みを抑えることができます。
鎮痛剤は必要以上に飲むと副作用を起こす危険性があるので、歯科医師から指定された以上は服用しないようにしましょう。
鎮痛剤を飲んで安静にしていればほとんどの場合痛みは治まってくるので、必要以上に痛みを恐れる必要はありません。
麻酔が切れた後は食べ物をしっかり食べられない状態になることがあるので、固いものは避け、おかゆなどやわらかく抜穴に負担のかからない物を食べた方がよいでしょう。
細菌に感染した
親知らずを抜いた後の痛みは大抵3日程で消えますが、もし痛みがおさまらない場合は細菌に感染している可能性があります。
歯を抜いた後の痛みにはドライソケット がありますが、それ以外にも抜穴が化膿を起こして強い痛みを起こす症状もあるので、その場合はすぐに歯科医院で診察を受けましょう。
歯科医院では化膿の状態を抑えるための抗生物質を処方してくれるので、しっかりと薬を飲んで安静にし、体調に気を配るようにしてください。
安静にしていれば細菌感染は治っていくのが一般的なので、少しでも異常を感じたら細菌感染を疑いましょう。
ただし、まれに抗生物質を飲んで安静にしていても、症状が治まらない場合もあります。
その場合は重篤な症状になっている恐れもあるので、早めに歯科医院に行って歯科医師に相談しましょう。
ドライソケットになっている
ドライソケットとは、歯を抜いた箇所がかさぶたで覆われずに、骨がそのまま剥き出しになっている症状のことです。
通常親知らずが抜けたときは穴は血液で徐々に覆われていくのが一般的ですが、ドライソケットの場合は穴がふさがらず骨の表面がでています。そのため、物が触れたりすると強い痛みが出やすいです。
放置しておけば物を十分に噛むこともできず、日常生活にも支障が出てくる可能性が高い場合があります。
ドライソケットになる原因としては、歯を磨いた後に強くうがいをしてしまったり、必要以上に穴を舌で触りすぎてしまうケースが大半です。
強めのうがいや舌で触ることを繰り返すと、強い刺激を与えるので、ドライソケットが酷くなる可能性が高まります。こうした行動は意識して避けるようにしてください。
ドライソケットは、痛み止めの薬や抗生物質の服用、穴の部分の消毒などで治療します。
これらの治療には長くて1ヵ月程かかることもあるので、歯を抜いた後は抜歯の部分をできるだけ触らず、過度にうがいをしないようにしましょう。
親知らずを抜いた後の痛みの対処法
実際に親知らずを抜いた後は、出血がひどくなるのでガーゼなどで血を止めたり、鎮痛剤などを服用したりして痛みを止めるのが一般的です。
また患部を冷やすのも、痛みを早く和らげるのにおすすめの方法です。
ここからは、親知らずを抜いた後の痛みの対処法について詳しく解説します。
ガーゼを噛む
親知らずを抜いた後は、血を止めるためにガーゼを噛む方法が一般的です。1cm四方に固めて丸めたガーゼを傷口に当てて噛むことで、圧迫して止血します。
ガーゼを噛んだら、そのまま30分程噛み続けて傷口を圧迫するようにしましょう。
もし血が止まらなかったら、ガーゼを替えて様子をみましょう。ガーゼの交換を2~3回程行い、ガーゼにつく血がにじむ程度になったらガーゼを外して様子をみてください。
ガーゼがない場合は、ティッシュを丸めて硬くして噛んでもかまいません。
血が止まった後は、必要以上に穴を舌で触ったり、激しい運動をするのは避けるようにしましょう。
止血できたにも関わらず、再び出血してしまう恐れがあります。
鎮痛剤・抗生剤を服用する
親知らずを抜いた後の強い痛みを抑えるには、鎮痛剤や抗生剤を服用するのが効果的です。
鎮痛剤は、肩こりや関節痛に効果的なボルタレンや、頭痛薬として使用されているロキソニンを飲むのが有効とされています。
処方された痛み止めを飲み切ってしまった場合は、市販の鎮痛剤でも大丈夫です。
ただし、飲み過ぎると副作用が発生する可能性があるため、歯科医師や薬剤師の指示は守るようにしてください。
抗生剤は、腫れ止めの薬として処方される薬です。
親知らずや歯肉が化膿して腫れてしまうのを防ぐために服用する薬で、飲み続けることで耐性菌を作ってくれます。
化膿の恐れがある場合に服用すれば効果的ですが、一度飲み始めたら必ず最後まで飲みきるようにしてください。
もし途中で処方を止めてしまうと、細菌が薬に対して耐性を持つ場合があるため気をつけましょう。
患部を冷やす
親知らずを抜いた後の痛みを和らげるために、冷たいタオルを患部に当てて冷やす方法もあります。
タオルだけでなく、保冷剤をタオルでくるむのも効果的です。
ただし冷やしすぎると血液の循環が悪くなってしまうので、逆に痛みが増してきます。
タオルはなるべく冷やしすぎないようにしましょう。
歯科医院で経過観察してもらう
親知らずを抜いた後は傷口が化膿したり、ドライソケットが起こる可能性があるので、引き続き経過を観察してもらうようにしましょう。
歯を抜いた後の治療については、患部の洗浄や傷口の状態をみるのが基本です。
洗浄のときに使用する薬は、生理食塩水や傷口にしみにくい消毒液を使用します。
歯を抜いた後の穴は歯ブラシを当てることができないので、炎症や化膿を防ぐ意味でも定期的に歯科医院で患部を洗浄してもらいましょう。
通院は2回程度で、歯を抜いてから1ヵ月もすれば穴が完全にふさがるケースが多く、物を噛むのにも問題ないでしょう。
歯茎の痛みは、抜歯後3日から4日程でなくなりますが、もし1週間以上過ぎても痛みが治らない場合はドライソケットの可能性があります。
その際は痛みがひどくならないうちに、早めに歯科医院で診察を受けるようにしましょう。
総合病院で静脈内鎮静法を使用して親知らずを抜いた場合は、一般的に1泊2日の入院が必要となります。
歯を抜いた翌日に外来で抜穴を消毒した後に退院して、1週間後に経過観察をするのが一般的な流れです。
経過観察の通院は2回程行けば終了となることが多く、抜穴にトラブルが起きなければそれ以上の通院は必要ありません。
抜穴は多くの場合1ヵ月程で完全にふさがりますが、傷口の化膿や出血を避けるためにも、抜穴のケアの方法は歯科医師に確認しておきましょう。
親知らずを抜いた後の注意点
親知らずを抜いた後は出血や痛みがひどくなる傾向にあるので、少しでも早く痛みを和らげるために、普段の生活から気をつけていくことが大切です。
ここからは、親知らずを抜いた後の注意点について解説していきましょう。
激しい運動・飲酒・喫煙は避ける
親知らずを抜いた後は、激しい運動や飲酒、喫煙は控えるようにしましょう。
激しい運動などをすると、血行がよくなりかえって痛みが増したり、血が止まりにくくなる恐れがあるのです。
同じように、飲酒や喫煙なども歯茎に強い刺激を与えてしまうリスクがあるため、痛みが落ち着くまで避けるようにしましょう。
親知らずを抜いた後、傷口が完全に治るまでは1ヵ月程かかります。
痛みがなくなると、ついつい飲酒や喫煙を再開したくなる方もいますが、再開に関しては歯科医師の指示にしたがうようにしてください。
少しでも傷口の回復を早める意味でも、お口の中に刺激を与える行動はなるべく避けるようにしましょう。
患部に刺激を与えない
親知らずを抜いた後の出血や激しい痛みの原因となるため、患部には刺激を与えないようにしてください。
抜いた場所が気になってしまい、ついつい傷口を舌で舐めたり手で触ったりしてしまうことがありますが、傷口が広がる恐れがあるので避けましょう。
傷口が広がってしまうとドライソケット になりやすく、治療期間が長くなってしまい、日常生活にも支障が出る可能性があります。
さらに通院の日数も増え、抗生剤や痛み止めの処方も通常より多く必要となる場合があり、余計な出費がかかってしまうことになりかねません。
治療期間中は患部に刺激を与えないよう、意識して過ごしましょう。
刺激物・硬い食べ物を避ける
親知らずを抜いた後は、辛いものなどの刺激物や硬い食べ物は避けるようにしてください。
特にせんべいやフランスパンなどの硬い食べ物は、傷口に刺激を与えてしまう恐れがあります。
また、親知らずを抜いた後は抜穴が傷つきやすい状態になっているため、治療後はおかゆやうどんのようなやわらかいものを食べるようにしましょう。
ただしこれらの食べ物は、極端に熱すぎると逆に刺激となって抜穴に悪影響を及ぼすことがあるため、なるべく冷まして食べるようにしてください。
痛みや腫れを予防する方法
親知らずを抜いた後の痛みや腫れを予防するには、常に口腔内を清潔に保ち、激しい運動を控え安静に過ごすことが大切です。
うがいをしすぎると傷口が開く恐れがあるので、うがいのやり方にも気をつけましょう。
ここからは、痛みや腫れを予防する方法について詳しく解説します。
口腔内を清潔に保つ
親知らずを抜いた後は、痛みや腫れを予防するために口腔内を清潔に保つ必要があります。
抜歯後も抜歯窩周辺はこまめに歯磨きをして、きれいな状態にするのが重要です。
抜歯をした後は通常の状態よりもお口の中に細菌がたまりやすい状態になっているため、食事の後には歯磨きを欠かさないようにしてください。
使う歯ブラシは普段使っている歯ブラシで問題ありませんが、歯科医院によっては歯ブラシを指定することもあります。
親知らずを抜いた後はまだ完全に穴が塞がっていない状態なので、抜歯窩を磨くときは力を入れすぎないように、優しく磨くようにしてください。
歯ブラシで磨いた後は、必ずうがいをしてお口の中の汚れを完全に落とすようにしましょう。
うがいは普通の水でも問題はありませんが、うがい薬を使用するとより効果的です。
うがいのしすぎに注意する
親知らずを抜いてから2〜3日は、なるべく強くうがいをしないように注意しましょう。
親知らずを抜いた後、抜歯窩には血が溜まっている状態になっているため激しいうがいをしてしまって傷口が開いてしまう恐れがあります。
抜いた後はまだ血が出てくる状態で、出血を止めるために思わず強くうがいをしたくなる人もいますが、うがいを強くすると逆に血の固まりができにくくなってしまいます。ですのでなるべく避けるようにしましょう。
また歯を抜いた当日は細菌感染しやすい状態になっているため、できればうがいをしないのが適切です。抜いた翌日からは、うがいをしても問題ありません。
もし2〜3日経っても出血や痛みがひどい状態の場合は、速やかに歯科医師に相談しましょう。
安静にする
親知らずを抜いた後は腫れが酷くなる場合があるため、数日は安静にしていましょう。
麻酔が切れた翌日に痛みのピークが来る場合があるので、 なるべく仕事は有給を申請するなどして休養するのがおすすめです。
腫れのピークは親知らずを抜いてから2日程が一般的です。抜歯してから2日は安静に過ごすようにしてください。
親知らずの抜歯窩がふさがるのはいつ?
親知らずを抜いて2週間程で表面の穴が埋まり、抜歯窩がふさがるのは1ヵ月から2ヵ月程になるのが一般的です。
ただし、抜歯窩が歯茎と骨で完全に覆われるのは抜歯後約半年から1年後になるでしょう。
まとめ
今回の記事では、親知らずを抜いた後の痛みの対処法や注意点、腫れを予防する方法について解説しました。
親知らずを抜いてから数日は、強い腫れや痛みを感じることが多い傾向にあるため、歯科医院で患部を冷やしたり消毒をしたりして化膿しないように対策をしてもらいましょう。
そして抜歯後は、激しい運動や熱いお湯に浸かるのを避けて、刺激を与えないようにしましょう。
親知らずの抜歯窩がふさがるのは約1ヵ月から2ヵ月なので、その間はお口の中を清潔にして、きれいな状態を保つことが大切です。
それでも抜歯窩に強い違和感を感じる場合は、速やかに歯科医院で診療を受けてください。
参考文献