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親知らずが痛くないときは抜かなくても良い?痛くない理由から放置するリスクまでを解説!

親知らずが痛くないときは抜かなくても良い?痛くない理由から放置するリスクまでを解説!

口腔のトラブルメーカーともいえる親知らず。いつかは抜かなければならないものと思われがちですが、実は抜かなくても良い親知らずもあります。そこで気になるのが親知らずが痛くないときの抜歯の要否です。親知らずが痛くないのであればそのまま放置しておいても良さそうではあるものの、何らかのリスクは生じないのか?また、親知らずが痛くない理由は何なのか?ここではそんな痛くない親知らずについて詳しく解説をします。

親知らずとは

親知らずとはどのようなものですか?
親知らずは、20歳前後に生えてくるのが一般的な永久歯のひとつです。生えてくる頃には独り立ちしているため、“親知らず”という俗称で呼ばれています。正式には第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)という名前が付けられており、前から8番目に生えてきます。解剖学的には上下左右、合計で4本の親知らずが存在して、適切な時期に生えてくるようになっているのですが、日本人の顎は比較的小さいことから、4本すべてが生えてくるとは限りません。
親知らずが生えてくるメカニズムについて教えてください。
親知らずが生えてくるメカニズムは、その他の永久歯と同じです。私たちの歯は、それぞれ適切な時期を迎えると、顎の骨から自然と口腔内に露出するように遺伝子レベルで決められています。そのため小学生がいきなり親知らずが生えてくるようなことはありません。ただし、親知らずが生えてくるのを邪魔する要因があると、萌出の時期がずれたり、そもそも生えてこなかったりします。それは顎の骨の大きさや形、手前の歯の生え方などが影響します。
誰でも親知らずは生えてきますか?
誰でも生えてくるわけではありません。上述したように、日本人の顎の骨は欧米人よりも小さく、中切歯から第二大臼歯までの7本(上下左右を合わせると28本)の永久歯を並べるだけでスペースがいっぱいになる人がほとんどです。それどころか28本さえもきれいに並べられない人も珍しくありません。そうしたスペースの問題から、親知らずが生えてこないケースもいれば、いつまでも顎の骨の中に埋まり続けているケースもあります。そもそも親知らずが顎の中に存在していないこともあるため、誰でも生えてくるものとは言い難いです。

親知らずの生え方と痛みの関係

親知らずの生え方にはどんなパターンがありますか?
親知らずの生え方は、真っすぐ正常に生えている、半分だけ生えている、斜めに生えている、歯茎の中に埋まっている、といった4つのパターンに大きく分けられます。この中で真っすぐ生えているものと歯茎の中に埋まっているパターンは、比較的問題を起こしにくいですが、残りの2つは清掃性が悪かったり、手前の歯を圧迫したりすることで、さまざまなトラブルを起こしやすいです。
親知らずが痛くなる主な原因について教えてください
親知らずは、次のような原因で痛みが生じます。

【原因1】親知らずが生えてくる時の刺激
親知らずが生えてくる時には、歯茎を突き破る必要があります。その際、歯茎や顎の骨には炎症反応が起こり、腫れなどの症状も認められることから、痛みを伴うことが多いです。この痛みは親知らずが完全に生えることで治まります。

【原因2】親知らずがむし歯になっている
生え方の悪い親知らずは、歯磨きがしにくく、汚れがたまりやすいです。その結果、むし歯リスクが高くなる点に注意しなければなりません。

【原因3】親知らずが歯周病になっている
親知らずは「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という歯周病にかかるリスクが高いです。これも親知らずの清掃性が低いことが原因なのですが、普通の歯周病よりも重症化しやすい点に注意が必要です。

【原因4】歯性感染症
親知らずのむし歯や歯周病が原因で、周囲の組織にまで再感染や炎症反応が広がるものを歯性感染症(しせいかんせんしょう)といいます。歯性感染症では、親知らずだけでなく隣の歯や顎など、広範囲に渡って痛みが生じます。

【原因5】親知らずが手前の歯に当たっている
歯茎の中に埋まっている親知らずは、手前の歯に向かって移動を始めることがあります。とくに横たわった状態で埋まっている水平埋伏の親知らずはその傾向が強く、手前の歯の歯根を吸収させるとともに、痛みも伴います。この時の痛みは、手前の歯か親知らずのものかは自分で判断することは不可能です。

親知らずが痛くない理由

親知らずが痛くない理由

親知らずが痛くないのはどうしてですか?
親知らずに何らかの問題があるにも関わらず、痛くない場合は次のような理由が考えられます。

【理由1】むし歯の進行度が浅い
むし歯で痛みが生じるのは、感染が象牙質にまで至るC2からです。感染がエナメル質にとどまっている段階では痛みを感じることはありません。

【理由2】歯の神経が死んでいる
何らかの理由で親知らずの神経が死んでいる場合は、むし歯になっても痛みを感じません。その状態を放置していると、感染の範囲がさらに広がることから、早急に対処すべきといえます。

【理由3】歯周病の進行度が浅い
歯周病で痛みが生じるのは、かなり進行してからです。それだけに自覚した頃には重症化しているため、十分な注意が必要といえます。

【理由4】親知らずに大きな問題が起きていない
親知らずが真っすぐ正常に生えている場合や噛み合わせなどに大きな支障をきたしていない状態では、痛みが生じることはありません。抜歯の要否やタイミングは経過を見ながら判断していくことになります。

親知らずが痛くない場合は放置していても大丈夫ですか?
放置して良い場合とそうではない場合があります。まず、親知らずがむし歯や歯周病になっていて、痛くない場合は放置するのは厳禁です。これらの病気は自然に治ることがなく、時間の経過とともに進行していくことは間違いないため、早急に治療を受けるべきといえます。親知らずにまだ大きな問題が起こっておらず、痛みの症状も現れていない場合は、積極的な処置は施さず経過を見ていくことになります。
親知らずを抜くべきかどうか、どう判断すればいいですか?
歯科医院で精密な検査を受けてください。口腔内診査やレントゲン撮影、場合によっては歯科用CT撮影を行った上で、歯科医師が親知らずを抜くべきかどうかを診断します。親知らずの抜歯の要否を一般の人が判断することは不可能ですので、必ず専門家の意見を求めてください。歯科医院を受診するタイミングは、親知らずに何らかの違和感や症状が現れた時です。

親知らずのケア方法

親知らずのケア方法

自分でできる親知らずのケア方法について教えてください。
半分埋まっていたり、斜めに生えていたりする親知らずは、普通の歯ブラシによるブラッシングに加えて、ヘッドの小さなワンタフトブラシや歯と歯の間の汚れを効率よく除去できるデンタルフロスを活用すると良いでしょう。具体的なケア方法は、親知らずの生え方によっても変わってくるため、一度、歯科医院でブラッシング指導を受けるようにしてください。そこで学んだ方法を毎日のセルフケアで実践しましょう。
歯科医院での親知らずのケア方法について教えてください。
歯科医院では、口腔ケアのプロフェッショナルである歯科衛生士がさまざまな器具を使って親知らずをクリーニングします。歯石がたまっている場合はスケーラーで取り除きます。そうした歯科医院でのプロフェッショナルケアであれば、セルフケアでは除去することが難しい親知らずの汚れも安全かつ正確に取り除けます。

編集部まとめ

このように、親知らずは痛くないからといって必ずしも抜かなくて良いというものではありません。痛くなくても、親知らずがむし歯や歯周病になっている可能性は十分考えられるからです。また、その診断は歯科医師でなければ下せないことから、親知らずに何らかの違和感や症状が現れた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。 痛くないという理由で親知らずの違和感を放置していると、後々、痛みが出てくるだけでなく、周囲の歯にむし歯がうつったり、より広い範囲に細菌感染や炎症反応が広がったりするため十分な注意が必要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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