親知らずは奥歯の一番後ろの歯、すなわち第三臼歯のことで、智歯とも呼ばれます。
永久歯がすべて生え揃った後、おおむね15歳以降に生えてくることから、『親が知らないうちに生えてくる』、親知らずと呼ばれます。 通常は上顎と下顎の奥に合計4本ありますが、そもそも生えてこない方や、本数が足りない方もおり、さらには生える時期についても個人差があります。親知らずを抜くべきか、その扱いに悩む人もいるでしょう。
親知らずを抜いた場合、顔に変化はあるのか、さらに 親知らずを抜くメリットやデメリット、抜歯の流れや抜歯後の注意点など、親知らずの抜歯についての気になる質問にお答えしていきます。
親知らずを抜くと顔は変わるのか
親知らずを抜いた後は、一時的に顔が腫れると言われています。腫れが引いた後の顔の印象はどうなるのでしょうか。 また、歯並びに影響はあるのでしょうか。 親知らずを抜いた後の気になる質問にお答えしていきます。
- 親知らずを抜くと顔の印象は変わりますか?
- エラが張っていたり、顎周りの筋肉が発達している場合、親知らずを抜いたことで周りの骨や筋肉が痩せ、結果的に顔の印象がシャープに見えるということはあるかもしれません。個人差があるので、誰しもがそうなるとは断言できないところです。
- 親知らずを抜くと小顔になりますか?
- 親知らずがなくなったことによって、骨や筋肉が痩せ、小顔に見える可能性がないとは言えませんが、美容整形のような顔の印象の変化はないと考えていたほうがいいでしょう。個人差はありますが、親知らずを抜いたことで小顔に見えるという効果は、あったとしてもごく軽微だと思われます。
- 親知らずを抜くと歯並びは変わりますか?
- 親知らずがあることで歯並びに影響が出る可能性がありますが、抜くことで直接的に歯並びが変わることはないでしょう。親知らずは、ほかの歯よりも大きく、一番奥に、後から生えてくる歯です。斜めに生えていて隣の歯を押しているなど、生え方によっては歯列に影響を及ぼす可能性がありますが、親知らずを抜いたからといって、歯並びがよくなる、悪くなるといったことはありません。
親知らずの抜歯とメリット・デメリット
親知らずの抜歯をする際、メリットとデメリットにはどのようなことが考えられるのでしょうか? 抜いたほうがいいか、抜かなくてもいいかについての質問にも合わせてお答えしていきます。
- 親知らずは抜いたほうがいいですか?
- 親知らずは、生えたら必ず抜歯しなくてはならないというわけではありません。親知らずには、抜いたほうがいい場合と、抜かなくてもいい場合があります。ご自身の親知らずの状況によりますので、歯科を受診し、どうしたらいいかを相談するといいでしょう。
- 親知らずを抜かなくてもよいケースを教えてください。
- 親知らずを抜かなくてもいいケースとしては、親知らずが真っ直ぐに生えており、むし歯や歯周病の心配もない、健康な歯であるケース、完全に歯茎に埋まっており、生えていないケースです。周囲の歯に悪影響がなく、噛み合わせにも問題がないのであれば、そのままにしておいてもいいでしょう。
ただし、痛みがある場合や、周辺の歯の噛み合わせに問題があれば、抜歯が必要になることもあります。また、親知らずが真っ直ぐ生えていない場合は、歯列を乱す可能性があること、歯磨きが行き届かずむし歯や歯周病になる可能性があることから、抜いたほうがいいと言われています。
- 親知らずを抜歯するメリットとデメリットを教えてください。
- 親知らずを抜歯するメリットは、むし歯や歯周病の予防につながること、歯列矯正時のスペースを確保できることです。親知らずは一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが起こりやすくなります。磨き残しがあると、むし歯や歯周病、口臭の原因になるため、親知らずを抜くことは、これらの予防につながります。また、歯列矯正を考えている場合は、親知らずを抜くことによって、歯を移動させるスペースを作ることができます。
反対に、親知らずを抜歯するデメリットは、強い痛みや腫れを伴う場合があることと、利用可能な親知らずを失くしてしまうことです。麻酔をするので抜歯時の痛みはありませんが、麻酔が抜けてから痛んでくることがあります。
また、横向きに生えている場合などは、通常の親知らずの抜歯よりも歯茎の腫れが大きい場合があるのも知っておくべきでしょう。なお、腫れは3日、長くても1週間程度で引くのが一般的であり、歯科によっては痛み止めを処方してくれます。不安なことは歯科でしっかり相談しましょう。
親知らずの抜歯の流れ
親知らずの抜歯は、どのような流れで行われるのでしょうか。 抜歯の際の歯科医院選びにポイントはあるのか、 2点の質問にお答えしていきます。
- 親知らずの抜歯はどのように行われますか?
- 親知らずにはさまざまな症例があるため、抜歯の流れもさまざまです。基本的な抜歯の流れとしては、抜歯前のレントゲン撮影によって、親知らずや歯茎の状態について確認し、どのような方法で抜歯をするか検討するところから始まります。
抜歯をする際の手順としては、抜歯中の痛みを抑えるため、まず麻酔を行い、麻酔が効いてから親知らずを抜きます。抜歯を終えたら抜歯した部分にガーゼを噛み、圧迫止血を行うのが基本です。なお、親知らずの生え方が特殊な場合は、歯茎を切開して抜き、その後縫合まで行うため、後日縫合した糸の抜糸が必要になる場合もあります。
- 親知らずの抜歯をする歯科医院選びのポイントを教えてください。
- 親知らずの抜糸をする際、歯科医院を選ぶポイントとしては、経験豊富な歯科医師がいること、歯科医院の設備が整っていること、カウンセリングをしっかりと行ってくれることを条件に探すといいでしょう。
親知らずの抜歯後の注意点
親知らずを抜歯した後、晴れや痛みはあるのでしょうか? 痛みへの対処法や抜歯後の注意点などの質問にお答えしていきます。
- 親知らずの抜歯後は痛みや腫れが出ますか?
- 個人差がありますが、親知らずの抜歯後は、痛みや腫れが出る可能性が高くなっています。腫れや痛みは、完全に引くまでに1週間~10日程かかる場合が多いと言われており、主に一番痛いとされているのは、抜歯後3~4時間後の麻酔が切れた直後です。
だいたいの歯科医院では痛み止めの薬を処方してくれるため、服用して痛みを抑えましょう。痛みは落ち着くまでに1〜2日かかり、もっとも腫れるのは3~4日後が多くなっています。もちろん個人差があるため、予定がある方は、痛みや腫れの期間を長めに見積もっておきましょう。
- 抜歯後に痛みがあるときの対処法を教えてください。
- 抜歯後に痛みがある場合は痛み止めの薬で対処しますが、まれに抜歯後に痛みが増してくることがあります。これはドライソケットや抜歯後感染と呼ばれる状態(抜歯部分の骨の再生不良、細菌感染が原因)の可能性があるため、痛みが増していく、ひどく痛むという場合は、早めに抜歯を行った歯科医院を受診しましょう。
- 抜歯後に注意したほうがいいことを教えてください。
- 抜歯後には、数日は安静に過ごすこと、処方された薬は歯科医師の指示にしたがって服用しましょう。また、抜歯日にうがいをしすぎないようにし、抜歯した箇所を手や舌で触らないこと、抜歯日は飲酒や運動、長風呂、喫煙を控えることが大切です。
編集部まとめ
親知らずは、基本的に真っ直ぐ生えていて周囲の歯に影響ない場合を除いて、抜歯しておくとメリットが大きいと言えます。顔の印象が変わるとはハッキリと断言できませんが、将来むし歯になったり、歯周病になったりすることを予防できるため、歯の健康につながります。親知らずの抜歯に不安や恐怖感がある方は、信頼できる歯科医師のもとで事前にしっかりと自身の症例について相談し、納得したうえで抜歯をしてもらうようにしましょう。
参考文献