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顎関節症

顎関節脱臼とは?症状や原因、放置するリスクや治療方法を解説

顎関節脱臼とは?症状や原因、放置するリスクや治療方法を解説

顎関節脱臼は、顎関節の位置がずれてしまう状態で、強い痛みや違和感を伴うことがあります。適切な対処を行わないと、慢性化するリスクもあるため、早期の対応が重要です。顎関節脱臼の症状や原因、治療法について詳しく解説します。

顎関節脱臼の概要と原因

顎関節脱臼の概要と原因

顎関節脱臼とはどのような状態ですか?
顎関節は耳の前方に位置し、側頭骨と下顎骨で構成され、お口の開閉に重要な役割を果たします。通常は滑らかに動きますが、関節構造のずれや靱帯・関節円板の損傷により、下顎頭が正常な位置から逸脱して戻れなくなることがあります。これを顎関節脱臼と呼び、日本顎関節学会では下顎頭が下顎窩から転位し、顎運動障害が生じた状態と定義されます。
経過に応じて新鮮例(急性)、陳旧性、習慣性に分類されます。新鮮例は疼痛を伴いやすく、陳旧性は3〜4週間以上放置された状態で整復が困難になることがあります。習慣性脱臼は開口動作により繰り返し起こりやすく、高齢者や脳血管障害、精神疾患のある方に多く見られます。原因や病態が多様なため、個々の状況に応じた適切な評価と対応が重要です。
顎関節脱臼の原因を教えてください
顎関節脱臼は日常生活や医療行為など、さまざまな場面で発生します。一般的な原因は、大きな開口動作であり、あくびや食事、歯科治療中や全身麻酔時の挿管操作などが挙げられます。これらにより関節に過度な力が加わり、関節頭が逸脱します。
また、顔面打撲や転倒などの外力、咳やくしゃみによる強い筋収縮が原因となることもあります。関節や靱帯の構造的な弱さがある場合は、わずかな刺激でも脱臼が起こりやすくなります。このように、機械的要因と解剖学的要因が複雑に関与して発症するのが特徴です。
どのような人が顎関節脱臼になりやすいですか?
女性に多い傾向があり、特に中高年女性では靱帯が緩みやすくなるため、発症リスクが高まります。また、顎関節症の既往がある方や、関節に異常な柔軟性を持つ方、咬筋や側頭筋の筋力バランスが崩れている方も脱臼を起こしやすい傾向があります。さらに、下顎への打撲などの顔面外傷歴もリスク因子の一つです。加えて、脳血管障害やパーキンソン病・パーキンソン症候群、精神疾患を有する患者さんでは、不随意運動が関与して脱臼を引き起こす場合があります。

顎関節脱臼の症状とセルフチェック方法

顎関節脱臼の症状とセルフチェック方法

顎関節脱臼の代表的な症状を教えてください
顎関節脱臼が発生すると、突然「お口が閉じられなくなる」、「顎が固定された感じがする」といった症状が現れます。痛みや違和感を伴い、会話や嚥下、咀嚼が困難になるのが一般的です。外見上、片側性脱臼ではオトガイ(顎先)が健側へ偏位し、両側性脱臼ではオトガイの前突が認められます。高齢者や認知症患者さんではこうした自覚症状がはっきりせず、本人からの訴えがない場合もあるため、周囲の観察が重要となります。
顎関節脱臼のセルフチェック方法を教えてください
顎関節脱臼が疑われる主な症状としては、お口が自然に閉じられなくなる、耳の前方に位置する関節部に痛みや腫れが生じる、下顎が前方へ突出したり左右にずれた状態になる、会話や食事が困難になるなどが挙げられます。

顎関節脱臼を放置するリスク

顎関節脱臼を放置するリスク 顎関節脱臼を放置すると、どのようなリスクが生じるのでしょうか。ここでは放置による影響や注意点について解説します。

顎関節脱臼は自然に治癒しますか?
一部の軽度な亜脱臼は自然に戻ることもありますが、完全脱臼の場合は自力でもとに戻ることはほとんどありません。放置すると関節や周囲の組織にさらなる損傷が生じ、慢性的な問題へと進行する恐れがありますので注意が必要です。
顎関節脱臼を放置するリスクを教えてください
顎関節脱臼を放置すると、関節の安定性が失われ、脱臼を繰り返す習慣性脱臼へ進行する恐れがあります。さらに、関節周囲の炎症や痛みが慢性化し、咀嚼時の噛みにくさや顔貌の左右差といった影響が現れることも少なくありません。特に脱臼後3〜4週間以上経過すると、関節内に組織の変性や線維化が進み、整復が困難な陳旧性脱臼に移行するリスクが高まります。一度陳旧性脱臼になると治療が複雑化し、改善までに時間がかかる場合もあります。

顎関節脱臼の検査と治療

顎関節脱臼の検査と治療

顎関節脱臼が疑われる場合は何科を受診すべきですか?
専門的な知識と技術を有する口腔外科がもっとも適していますが、夜間帯・休日などであれば救急科で対応してもらえることもあります。特に再発性や難治性の場合は、口腔外科での対応が望ましいです。
顎関節脱臼の検査方法を教えてください
診断は通常、問診と視診、触診によって行われます。必要に応じてX線撮影やCTスキャンで関節頭の位置を確認し、骨折やほかの異常の有無を評価します。MRI検査が必要な場合もあります。
顎関節脱臼はどのように治療しますか?
急性期には徒手整復で脱臼した関節頭を元の位置に戻します。多くは短時間で整復可能で、整復後は鎮痛薬や筋弛緩薬が処方され、再発予防の指導が行われます。慢性化や再発例では、関節内癒着の除去や手術、装具の使用など高度な治療が検討されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

顎関節脱臼は、適切な治療を受けることで、多くの場合速やかな回復が可能です。一方、放置すると慢性化し、生活の質を大きく損なうことにもつながります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに受診しましょう。日常生活でもお口の開閉に注意を払い、予防意識を持つことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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