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それって顎関節症かも?セルフチェック方法やケア方法

それって顎関節症かも?セルフチェック方法やケア方法

なんだか顎が動かしにくかったり、口を動かすと顎が痛いという症状にお悩みではないでしょうか?
顎の関節にトラブルが生じて痛みなどを感じる状態の顎関節症ですが、症状が一時的なものなのか、それとも治療に行った方がいいのかわからない方も多いと思います。
この記事では顎関節症のセルフチェック方法や歯科医院での診断方法などを紹介しますので、参考にしてみてください。

顎関節症の症状とセルフチェック方法

顎関節症の症状とセルフチェック方法

顎関節症の症状について教えてください
顎関節症とは、顎の関節を構成する骨や筋肉、靱帯などに異常が生じることによって、口の開けにくさや口を開けた時の痛み、また口を開閉した時に音が鳴るなどの状態です。
特に多い要因は、顎の関節内にある関節円板というクッションの役割を果たす組織にずれが生じることで、全体の60%程度がこのタイプです。
そのほかには、筋肉がうまく動かなくなることで生じる痛みや、骨の変形などによって顎関節症の症状が引き起こされます。顎関節症は、一生の内で2人に1人が経験すると言われるほど多くの方に生じやすいものです。特に口を動かした際の音については、顎関節が耳のすぐ近くにあることもあって人口の20%程度がその症状を持つともいわれています。
軽度の顎関節症であれば日常生活への支障はありませんが、症状が進行していくと口を大きく開けることが困難となり、食事に問題が出るといった状態になるほか、痛みが生じやすくなるため生活の質の低下に繋がる可能性があります。
顎関節症のセルフチェック方法を教えてください
顎関節症のセルフチェック方法として、日本顎咬合学会が作成した噛み合わせの状態に関するセルフチェックがありますので、下記の項目で確認してみてください。

  • 噛み合わせの位置が定まらないと感じたことはありますか?
  • 口が思うように開かなかったり、顎がスムーズに動かないことがありますか?
  • 噛み合わせの高さに不満を感じたことはありますか?
  • 自分の歯並びが気になることはありますか?
  • 歯ぎしりや歯を強く噛みしめるくせがありますか?
  • 左右どちらか一方で噛むくせがありますか?
  • それぞれの設問に対し、しっかりと当てはまる場合は5点、少し当てはまる場合は3点として、合計の点数によって噛み合わせに問題があるかどうかを判定することができます。

合計が9点以上の場合は噛み合わせに問題がある可能性が高く、早めに歯科医院の受診を検討した方がよいでしょう。
6~8点の場合でも問題がある可能性はあるため、相談してみると安心です。
5点以下の場合は噛み合わせへの問題がなく健康な可能性が高いですが、噛み合わせは生活習慣によりずれてしまう可能性もあるので、定期的なセルフチェックや歯科検診を行い、健康状態を保つようにしましょう。

なお、このセルフチェックは顎関節症に限らず噛み合わせ全般のチェックであるため、歯並びによる問題なども設問に含まれています。
顎関節症の疑いがあるかの確認については、自覚症状として口の開けにくさや開けた際の痛みがあるかどうか、顎を動かした際に音が鳴ると感じるかどうかといった点となりますので、こうした自覚症状がある場合は歯科口腔外科の診察を受けるとよいでしょう。

病院や歯科医院で顎関節症の診断はどのように行われますか?
顎関節症は、顎関節痛・咀嚼筋痛(顎が痛い)、開口障害(口が開けにくい)、顎関節雑音(口の開閉で音がする)という症状のいずれかに当てはまり、かつ顎関節症以外の病気がない場合に診断される症状です。
そのため、歯科医院などの診察ではまず問診によって症状の聞き取りを行い、顎の動きや痛みの検査、レントゲンやMRI検査を必要に応じて実施してほかの病気がないかを詳しく確認します。
痛みの自覚症状については実際に身体的な痛みが生じているのではなく、心理的な要因によって痛いと感じているケースもあることから、場合によっては心理テストなどを行って検査をすることもあります。
顎関節症を放置しておくと危険ですか?
一般的に、顎の痛みについては一時的なものである場合が多く、顎関節症の症状と感じてもしばらく時間が経てば自然寛解するケースがほとんどとされています。
また、顎を動かした際の音については顎関節が耳の近くにあることで音を感じやすいという特徴があるため、痛みなどが無く音が生じるだけの状態であれば、特に治療の必要がない場合もあります。
ただし、顎関節症を放置しておくと痛みを避けるために噛み合わせのバランスが崩れて症状が悪化していってしまったり、線維筋痛症や歯周病などほかの病態を併発しているようなケースもあるため、早期に専門の歯科医院に相談して症状の見極めや適切な治療を受けることがおすすめです。

顎関節症リスクのセルフチェック方法

顎関節症リスクのセルフチェック方法

顎関節症になってしまう原因は何ですか?
顎関節症は、1つの要因ではなく複数の要因が重なり、その積み重なりによってそれぞれの人の持つ耐久力を超えると発生する症状と考えられています。
顎関節症を引き起こす因子としては体質として顎関節や筋肉が弱いことや、噛み合わせの悪さ、精神的なストレスや交通事故などの外傷といったものがありますが、それ以外にも生活習慣における特徴などで下記のようなものが挙げられますので、自身に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • 上下の歯が安静にしている時も常に接触している(TCH)
  • 頬杖や電話を肩に挟みこむクセがある
  • スマートフォンの長時間利用で下顎を突き出すようなくせがある
  • 爪などを噛むクセがある
  • うつ伏せで寝たり、読書をしたりする
  • ガムなどの固い物を口の片側で噛む
  • 歯ぎしりをしている
  • 管楽器の演奏やカラオケなどをよく行う
生活習慣に注意していれば顎関節症にならないですか?
顎関節症は生活習慣の影響によってリスクが高くなる症状ですが、生活習慣だけが要因では無く、元々の顎関節の強さや噛み合わせにも影響されるため、必ずしも予防が可能とはいえません。
顎関節症にならないようにするためには、専門的に治療を取り扱う歯科口腔外科へ相談をして、定期的な検査や顎関節症のリスク要因となる状態の改善を行っていくとよいでしょう。
定期的な通院で歯科検診を行うことで、顎関節症に限らずむし歯や歯周病、口腔がんといったさまざまなトラブルの予防や早期治療へとつながりますので、信頼できるかかりつけ医を見つけることをおすすめします。

顎関節症を改善する方法

顎関節症を改善する方法

顎関節症はセルフケアで改善できますか?
顎関節症は、セルフケアで生活習慣を見直すことでもある程度改善が可能です。
具体的には顎関節症リスクのセルフチェック項目として紹介した関節の負担となる頬杖などのくせを見直して改善することや、うつ伏せ寝をやめることが対策となります。
また、常に上下の歯がくっついているTCHと呼ばれる状態にある方は、歯の位置を適切な位置におくように意識することで噛み合わせを改善し、顎関節症のケアが可能です。
ただし、生活習慣の見直しを行っても改善が見られない場合や痛みが強くなっていくような場合は、ほかの症状が併発している可能性などもありますので、セルフケアに頼らず早めに歯科医院に相談するようにしましょう。
病院や歯科医院で行われる治療法を教えてください
顎関節症の治療については、まずは診察で症状の原因を見極め、その原因を解消するように生活習慣の指導が行われます。
自己判断でケアを行うよりも、詳しく検査をしたうえで専門知識を持つ歯科医師の指導を聞くことで、適切なケアが行えるといえるでしょう。
また、生活指導と組み合わせて筋肉をケアするマッサージや低周波治療などの理学療法であったり、症状に合せたストレッチ方法の指導による運動療法の指導なども行われます。
痛みが強い場合には鎮痛剤の処方を受けることもできますし、原因によってはマウスピースなどによる治療も受けられますので、歯科医院に相談することで痛みなどの苦痛を早めに和らげ、すばやく顎関節症をケアしていくことが可能となります。

編集部まとめ

編集部まとめ

顎関節症は非常に多くの方が経験する可能性のある症状で、命に関わるようなリスクは少ないものの、生活の質を大きく下げてしまうリスクがあるものといえます。

症状やリスク要因をセルフチェックすることで自分自身でのケアも可能ですが、専門の歯科口腔外科に相談するとより適切な対策が可能となりますので、しっかりと治したい方は一度相談してみるとよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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