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顎関節症

顎関節症は若い人に多い?顎関節症の原因や治療法、予防するための対策を解説!

顎関節症は若い人に多い?顎関節症の原因や治療法、予防するための対策を解説!

顎の痛みや違和感に悩んでいませんか?特に若い世代に多い顎関節症は、日常生活に支障をきたすこともあります。
本記事では若い人の顎関節症について以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎関節症とは?
  • 顎関節症の治療法とは?
  • 顎関節症を予防するための対策とは?

若い人の顎関節症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

顎関節症とは

顎関節症とは

顎関節症の原因や症状について、以下で解説します。

顎関節症の原因

顎関節症の原因は、多因子によるものだと考えられています。かつては噛み合わせの異常が主な原因とされていましたが、現在ではそれだけではなく、さまざまな要因が重なって発症するとされています。
顎関節症の要因の一つに、パラファンクション(口腔悪習癖やブラキシズムなどの習慣性の非機能的動作の総称)があり、日中や睡眠中のくいしばりが顎関節症の筋痛に影響を与えています。
また、睡眠中の歯ぎしりも顎関節に負担をかけ、症状を悪化させる要因となります。

これらの行動学的な要因のほかに、顎関節自体の構造的な弱さや、精神的ストレスが原因で筋肉が緊張し続けることも顎関節症を引き起こすリスクとなります。なかでも、上下の歯を無意識に接触させる歯列接触癖(TCH)が顎関節症を引き起こす要因とされており、この癖の改善が症状の緩和につながることもあります。

顎関節症の症状

顎関節症の症状は多岐にわたり、大きく分けて4つのタイプに分類されます。

まず、関節内のクッションである関節円板が前方にずれることで生じるカクンカクンという音や、大きく口を開けられなくなる症状が見られます。これらは、関節円板のずれが原因となっているケースです。
次に、顎関節自体には痛みがないものの、下顎を動かす筋肉がうまく機能せず、頬やこめかみの筋肉に痛みが生じるケースがあります。
また、口を開けるときに顎関節自体に痛みが生じることもあります。これらは捻挫に似た症状として分類されます。
さらに、顎関節を構成する骨が変形するタイプの症状も存在し、長期間にわたり顎関節症が続いている方や、高齢者に見られる症状です。

これらの症状を理解し、適切な治療を受けることで、日常生活での不快感の軽減が可能とされています。

顎関節症はなぜ若い人に多い?

顎関節症はなぜ若い人に多い?

顎関節症が若い人に多い理由は、成長期にある顎関節部がまだ未熟で、少しの刺激でも症状が出やすいためです。特に20~30代頃の女性に多く見られ、関節円板障害が主な症状で、口が大きく開かなくなることが特徴です。
また、学校や職場でのストレスも顎関節に負担をかける要因となり、これが顎関節症の発症につながると考えられています。

顎関節症の治療法

顎関節症の治療法

顎関節症では、複数の治療法を併用することもあり、患者さんの状態に応じた方法で症状の改善を目指します。
各治療法について、以下に詳しく解説します。

セルフケア/自然治癒

セルフケアは、顎関節症の痛みをやわらげ、口を開けやすくすることを目的として行われます。筋肉マッサージと開口ストレッチについて、以下に述べます。

【筋肉マッサージ】
痛みのある部分に人差し指と中指を当て、円を描くように優しくマッサージを行います。体が温まっている入浴中や入浴後に行うと、筋肉がほぐれやすくなります。

【開口ストレッチ】
ゆっくりと大きく口を開けることで、顎周辺の筋肉が柔軟になり、症状を緩和させます。開口ストレッチは無理のない範囲で、痛みが出ない程度に行うことが大切です。

これらのセルフケアは、症状が悪化する場合は自己判断で継続せず、医療機関と相談をしながら行いましょう。

また、軽度の顎関節症の場合は、適度なセルフケアと安静などで自然治癒するケースもあり、約7割の患者さんは、1年以内に自然と症状が改善するといわれています。
しかし、症状が改善しない、あるいは症状が強くなったり痛みが増したりした場合には、医学的な治療が必要となる可能性があります。状況を把握するために早めに歯科医院を受診することが大切です。

基本的なセルフケアや日常生活での習癖について知っておくことで症状が緩和することがありますが、歯科医院へ受診することも有効かと思います。

理学療法

理学療法は、顎周辺の筋肉の緊張を改善し、痛みを軽減するために用いられます。
具体的には、電気を用いた治療やマッサージによって筋肉をほぐし、血流を助けることで症状の緩和を図ります。この療法は、筋肉の緊張が強い場合に効果的とされ、急性期の痛みを和らげるのに役立ちます。

理学療法は、歯科医院で専門的に行われることが多く、医療スタッフの指導のもとで行うことが重要です。
また、理学療法はほかの治療法と併用されることが多く、症状に応じて薬物療法やスプリント療法と組み合わせることで、より効果的な治療が期待されています。

関節可動化訓練

関節可動化訓練は、顎関節の動きを改善し、症状を軽減することを目的としています。この訓練は、口を開く範囲を徐々に広げることで、顎の動きを滑らかにし、痛みや違和感を和らげる効果があるとされています。
関節可動化訓練は、内服薬やほかの理学療法と併用されることが多く、症状に応じて適切な治療が行われます。
この訓練の継続により、顎関節の機能を回復し、日常生活での不快感の軽減が期待できます。

スプリント療法

スプリント療法は、専用のマウスピースを使用して顎関節の負担を軽減し、症状を改善する方法です。なかでも、歯ぎしりや食いしばりによって顎関節に過度の力がかかっている場合に有効とされています。
マウスピースは上か下の歯列をすべて覆う形で作られ、就寝中に装着することで顎関節をリラックスさせます。顎関節への負担が軽減され、咀嚼筋の緊張が和らぎます。

スプリント療法は、昼間にマウスピースを装着する必要がないため、日常生活への影響が少ないのも特徴です。無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりを抑えることで、顎関節症の症状を管理することが期待されます。

マイオモニター治療

マイオモニター治療は、低周波治療器を用いて顎や顔、首の筋肉の緊張をほぐし、血流を改善する方法です。大学病院などで行われることが多いようですが、一部の歯科医院でも受けることができます。
週に1回程度、30分の治療を続けることで、筋肉の組織が修復され、症状の軽減が期待されます。

マイオモニター治療は、副作用が少なく、経済的な負担も軽い傾向があるとされているため、患者さんにとって安心して受けられる治療法といえるでしょう。
また、顎関節症の治療では、噛み合わせの安定を図るためにスプリント療法や歯列矯正と併用されることもあります。

薬物療法

薬物療法は、症状に応じてさまざまな薬を使用して痛みや筋肉の緊張を緩和する方法です。初期の段階では、鎮痛薬が使用され、急性期の痛みには非ステロイド性抗炎症薬が処方されることもあります。
痛みが長期間続く慢性期には、鎮痛薬のほかに抗うつ薬が使用されることもあります。
また、筋肉の緊張が原因の場合は、筋弛緩薬が使用されることがあります。
さらに、ストレスや不安が関与している場合には、精神安定剤や抗うつ薬が処方されることもあります。
薬物療法は症状の緩和に効果的とされていますが、根本的な治療にはほかの療法との併用が必要なこともあります。

顎関節症を予防するための対策

顎関節症を予防するための対策

顎関節症は、日々の生活で気を付けるポイントを意識することで、発症リスクを減らすことができます。以下に、顎関節症の予防について解説します。

正しく咀嚼する癖をつける

顎関節症を予防するためには、正しい咀嚼の癖をつけることが重要です。
食事の際に両方の奥歯をバランスよく使って食べることで、顎関節にかかる負担を均等にし、痛みや違和感を防ぐことができます。
また、ゆっくりとよく噛むことは、顎の筋肉を適度に刺激し、顎関節の健康を保つために役立ちます。
さらに、片側だけで噛む癖や、早食いを避けることも大切です。これにより、顎に無理な負担がかかることを防ぎ、顎関節症の発症リスクを減らすことができるとされています。
日常的に正しい咀嚼を心がけることで、顎関節症を未然に防ぐことが期待できます。

精神的なストレスを軽減する

顎関節症の予防において、精神的なストレスの軽減はとても重要です。
ストレスがかかると、筋肉が緊張し、顎周辺の筋肉が硬直することで、顎関節に負担がかかります。これにより、顎関節症の症状が悪化しやすくなります。
ストレスが原因で無意識に歯を食いしばることがあると、これも顎関節症の発症につながります。そのため、日常生活でのストレスを軽減する方法を見つけることが大切です。

具体的には、リラクゼーション法や適度な運動、趣味に時間を割くことなどが効果的とされています。
また、十分な睡眠をとることで、体と心のバランスを整えることも重要です。自律神経のバランスが崩れると、さらに症状が悪化する可能性があるため、ストレス管理を意識することが顎関節症の予防には欠かせません。

適切なストレス管理を行うことで、顎関節症の発症リスクを減らし、健康的な日常生活を送ることが期待できます。

顎関節をほぐす

顎関節症を予防するためには、日常的に顎関節をほぐすことが重要です。
顎の筋肉がこり固まると、顎関節に過度な負担がかかり、痛みや開口障害を引き起こすことがあります。
そこで、簡単なストレッチやマッサージを取り入れることで、顎関節の柔軟性を保ち、症状を未然に防ぐことができます。
セルフケアの項目で先述したように、咬筋や側頭筋を軽く円を描くようにマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげることができます。
また、口を大きく開けるストレッチや、顎を左右に動かすストレッチも効果的とされています。
これらのケアは、朝晩に行うことで、顎関節症の予防に役立ちます。
さらに、首や肩の筋肉も顎関節に影響を与えるため、これらの部位のストレッチも含めて行うとよいでしょう。

日々の習慣として、顎関節のケアを取り入れることで、顎関節の健康を保ち、長期的な予防につなげることが期待できます。

体の正しい姿勢を意識する

顎関節症を予防するためには、体の正しい姿勢を意識することがとても重要です。日常生活で無意識に取ってしまう悪い姿勢が、顎関節に負担をかけることが多く、これが原因で顎関節症が引き起こされることがあります。具体的には、以下のような姿勢に注意が必要です。

  • 猫背
    猫背は肩や首の筋肉を緊張させるだけでなく、顎の可動域を制限し、顎関節に余計な力がかかります。
    なかでもデスクワークやスマートフォンの使用中は前傾姿勢を取りやすく、知らず知らずのうちに顎に負担をかけてしまいます。背筋を伸ばし、耳と肩が一直線になるような姿勢を保つことが大切です。
  • 頬杖
    頬杖をつくと、顎に均等でない力がかかり、歪みや痛みを引き起こす可能性があります。
    また、頬杖は顎の歪みだけでなく、顔の筋肉のバランスも崩すため、長期的には顔の形にも影響を与えることもあります。
  • うつ伏せ寝
    うつ伏せで寝ることも避けるべきでしょう。この姿勢では顔に圧力がかかり、顎関節に長時間負担がかかります。
    仰向け寝を心がけることが、顎関節への負担を減らすうえで有効とされています。

日常的に正しい姿勢を意識することで、顎関節症を予防できるだけでなく、肩こりや腰痛の改善にもつながります。立っているときも座っているときも、常に姿勢を意識して過ごすことが重要です。

顎関節症かもしれないと感じたら

顎関節症かもしれないと感じたら

顎関節症かもしれないと感じたら、まずは安静を心がけ、顎への負担を減らすことが重要です。
顎関節症の症状には、顎の痛みや違和感、口が開きにくい、顎を動かすと音がするなどがあり、これらを感じた際には、無理をせず適切な対策を取ることが必要です。

まず、顎に負担をかける行動を避けることが大切です。
例えば、あくびをする際には、口を大きく開けないように注意し、ガムを噛むなどの行為も控えるようにしましょう。
また、硬い食べ物や歯ごたえのある食事は顎に負担をかけるため、やわらかい食事を心がけることをおすすめします。
野菜やお肉をやわらかく煮込んだスープやおかゆなどがおすすめです。

さらに、食事の際には、片方の頬だけで噛む癖がついていないか確認し、両方の頬で均等に噛むように意識することが大切です。片方だけで噛むと、顎関節に過度な負担がかかり、症状を悪化させる可能性があります。

また、顎に負担をかけるスポーツや、歯を食いしばるような活動も避けるべきです。なかでも、アメフトやボクシング、テニスなどは注意が必要です。
さらに、寝るときの姿勢も重要です。
うつ伏せで寝ると顎に大きな負担がかかるため、仰向けで寝ることを意識しましょう。

もし、これらの対策を講じても症状が改善しなかったり、痛みが続いたりして、すでに顎関節症が進行している場合は、歯科や口腔外科など専門の医療機関への受診をおすすめします。
特に、口が開きにくいと感じる場合は、悪化する前に適切な治療を受けましょう。

まとめ

まとめ

ここまで若い人の顎関節症についてお伝えしてきました。
若い人の顎関節症について、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 顎関節症は、多因子が関与する顎関節や咀嚼筋の障害で、関節円板のずれや筋肉の緊張が主な原因となり、痛みや開口障害などさまざまな症状を引き起こす病態である
  • 顎関節症の治療法は、セルフケアや理学療法、スプリント療法、マイオモニター治療、薬物療法などがあり、症状に応じて組み合わせて行うことが効果的である
  • 顎関節症を予防するには、正しい咀嚼習慣、ストレス管理、顎関節のほぐし、そして正しい姿勢の維持が重要である

顎関節症の予防と対策を実践し、健康な日常を取り戻しましょう。気になる症状があれば早めの対応を心がけてください。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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