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顎関節症は放置するとどうなる?自然治癒の可能性や放置するリスクについて解説!

顎関節症は放置するとどうなる?自然治癒の可能性や放置するリスクについて解説!

顎関節症は、顎の動きを制御する関節に問題が生じる病気で、痛みや不快感、さらには顎の動きの制限を引き起こすケースもあります。顎関節症を放置するとどうなるのでしょうか。また、自然治癒の可能性はあるのでしょうか。
本記事では、顎関節症は放置するとどうなる?について以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎関節症について
  • 顎関節症の自然治癒について
  • 顎関節症の症状

顎関節症は放置するとどうなる?について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

顎関節症とは

顎関節症とは

顎関節症は、顎の関節および関連する咀嚼筋に発生する一連の障害を指します。この症状には、顎の痛み、関節の雑音、そして顎の動きの異常が含まれます。顎関節症の具体的な原因は明確には解明されていませんが、多くの場合、咬み合わせの問題やストレスが関連していると考えられています。
また、患者さんは20〜30歳代の女性に多い傾向にあり、関節の雑音のみの症状であれば、人口の20%近くの人が顎関節の症状を持つとされています。

顎関節症は、症状の種類や重さによって分類されます。主な分類には咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)、顎関節痛障害(Ⅱ型)、顎関節円板障害(Ⅲ型)、そして変形性顎関節症(Ⅳ型)があります。これらの障害は顎の動作に影響を与え、時には激しい痛みを引き起こすこともあります。

患者さんの中には、顎を動かす際に音がすることで不安を感じる人もいますが、この音が出るだけであれば、通常、手術を必要とすることはありません。しかし、痛みや動きの制限が伴う場合は、適切な診断と治療が必要です。

顎関節症は、診断と治療のための基準が設けられており、これには症状の評価と治療法の選定が含まれます。治療は、患者さんの具体的な症状や生活の質に基づいて個別に計画されます。

顎関節症は自然治癒するのか

顎関節症は自然治癒するのか

顎関節症の自然治癒の可能性に関しては、症状の程度や個人の体質によって異なります。多くの軽度な症例では、日常生活における顎の使用を控えることで、一時的な症状の緩和が見られることがあります。これは、炎症が自然に治まり、痛みが和らぐためですが、顎関節そのものが正常な状態に戻ったわけではありません。

顎関節症の多くは放置している患者さんが多い現状にありますが、症状が自然に改善すると感じる場合でも、根本的な問題が解決されているわけではなく、構造的なダメージは残るため、同様の症状が再発する可能性が高いです。したがって、症状が軽減されたとしても油断は禁物であり、日常的な動作や癖が顎関節に負担をかけている場合は、それらの改善が必要です。

顎関節症の症状が一時的に改善されたとしても、長期的な視点での管理とケアが重要となるため、自己判断で放置することは避けるべきです。
顎関節症が疑われる場合や、症状が持続する場合は、口腔外科や歯科医院などの適切な医療機関での診察が推奨されます。ただし、歯科医院の場合は歯科医師の専門によって顎関節症に対応していない場合もありますので、公式HPなどで事前に確認をして受診することをおすすめします。

顎関節症を放置すると

顎関節症を放置すると

顎関節症は、軽症の場合など放置されているケースが多い傾向にあります。顎関節症を放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
治療すべき症状も併せて、以下に解説します。

顎関節症を放置するリスク

顎関節症は、初期段階では軽微な痛みや口の開閉時の雑音といった症状が出現しますが、これらを放置すると徐々に症状が悪化し、日常生活に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。顎関節の問題は、単に口元に留まらず、全身に波及することがあるため、その影響は多岐にわたります。

日常生活への影響:
顎の動きが制限されることで、食事時に適切な噛み合わせができなくなり、消化不良や栄養摂取の問題を引き起こすこともあります。
また、顎の痛みが慢性化すると、話すことや笑うことが困難になるため、社会生活においてコミュニケーションの質が低下します。

全身症状:
顎関節症は肩こりや頭痛、腰痛といった全身の症状を引き起こすことがあります。顎の位置の異常は体のバランスを崩し、それによって全身の筋肉に無理な力がかかり、痛みや緊張が生じるのです。顎関節の不調として、耳鳴りやめまいを感じることも珍しくありません。

また、顎関節の疾患は精神的なストレスも引き起こしがちで、これがさらに症状を悪化させることもあります。顎の痛みや不快感が持続することで、日常的なストレス耐性が低下し、生活の質が全体的に下がることも考えられます。

このように、顎関節症を放置することのリスクは、単なる局所的な問題に留まらず、身体全体の健康や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。

放置せずに治療すべき症状

顎関節症は、多くの場合、初期に軽度の症状が現れますが、これを放置すると徐々に悪化し、先述したような症状や日常生活への支障をきたすことがあります。

治療をすべき症状としては、顎関節の痛みや口が開けにくくなるといった症状が持続し、食事や会話といった日常の重要な活動に影響を及ぼし、生活の質を低下させている状態であれば、早期の受診をおすすめします。

痛みがない場合でも、顎関節のカクンという音や口を大きく開ける際の違和感が持続していれば、これも顎関節症のサインと考えられます。このような症状が見られる場合は、顎関節症が悪化する前に、口腔外科や専門的な歯科医院での診断を検討しましょう。

また、顎関節症が進行し、顎だけでなく、耳鳴りやめまい、頭痛や肩こり、腰痛など、全身の不調を引き起こしている場合で顎関節症を疑う場合は、早期に治療を開始することが推奨されます。
顎関節症の治療は、症状の早期発見と対応によって、症状の悪化を防ぎ、生活の質を守ります。

顎関節症の診断

顎関節症の診断

顎関節症の診断は、特定の症状の存在とほかの類似した疾患の除外によって行われます。 主に、顎の痛み(顎関節痛や咀嚼筋痛)、口の開きにくさ(開口障害)、顎を動かす際の音(顎関節雑音)といった症状がひとつ以上存在し、顎関節症以外の病気が原因でないことが確認された場合に、顎関節症と診断されます。

診断のためには、まず、症状の発生時期・痛みの性質・日常生活における影響の程度などが問診されます。その後、顎の動きを評価するための物理的検査が行われ、顎や咀嚼筋の痛みの程度を調べます。

さらに、顎関節症の特定やほかの病気との鑑別のために、レントゲン撮影やCTスキャンによって顎の骨構造を評価します。医療機関によっては、MRIを用いて顎関節の軟部組織や関節円盤の状態を詳細に検査する場合もあります。

また、痛みの症状は身体的な要因だけでなく、心理的・社会的な要因が関係することがあるため、必要に応じてこれらの側面も考慮に入れることがあります。 顎関節症は、その症状がほかの多くの疾患と類似していることがあるため、診断には慎重な検査が必要となります。

顎関節症の治療法

顎関節症の治療法

顎関節症にはいくつかの治療法があり、患者さんの状態によって適した治療法が選択されます。
最後に、顎関節症の治療法について以下に解説します。

スプリント療法

顎関節症の治療法として行われるスプリント療法(マウスピース療法)は、夜間の食いしばりや歯ぎしりを軽減し、顎関節にかかる負担を減少させる効果が期待されています。 この治療法では、患者さんの上顎に合わせて作られたマウスピースを装着し、噛み合わせのバランスを改善することを目指します。特定の歯に偏った負荷がかかるのを防ぎ、顎関節への過度なストレスを減らすよう調整します。

スプリント療法は、保険適用の治療であり、費用の費用は3割負担で5,000円程度が目安となります。治療期間は個人差がありますが、多くの場合、半年から一年間程度を要します。治療の初期段階では、マウスピースの装着感に慣れるまで時間がかかることもありますが、徐々に顎の痛みや不快感が軽減していくことを実感できるでしょう。

薬物治療

顎関節症の薬物治療は、症状の種類や程度に応じて、さまざまな種類の薬が処方されることがあります。主に、顎関節の痛みの軽減、筋肉の緊張緩和、精神的な安定を目的とした内服薬が使用されます。

痛みが主な症状の場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンが推奨されます。これらの薬は炎症を抑え、痛みを緩和する効果が期待されています。また、痛みの程度が強い場合には、強力な痛み止めとして非麻薬性オピオイドの薬物も選択肢として考えられます。

顎関節症において筋肉のこわばりが見られる場合、筋弛緩薬が処方されることがあります。これは、筋肉の過度な緊張を和らげ、よりリラックスした状態に導くことで顎関節への負担を軽減します。

さらに、顎関節症に伴うストレスや不安が強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬の使用が考慮されることがあります。これらの精神安定剤は、症状に伴う精神的な負担を軽減し、全体的な治療効果を高めることが期待されます。

薬物治療は、顎関節症の症状を管理し、日常生活の質を向上させるための一環として重要です。しかし、これらの薬には副作用のリスクも伴うため、使用する際には医師の指導のもと、症状や体質に合わせて適切に管理する必要があります。また、薬物治療だけでなく、ライフスタイルの改善やほかの治療法との組み合わせも重要とされています。

理学療法

顎関節症における理学療法は、顎の機能改善と痛みの緩和を目的としています。
理学療法では、筋肉の緊張を解放し、顎関節の動きをスムーズにするために、以下のような治療が行われます。

マッサージ:
顎周辺の筋肉に直接作用し、緊張をほぐすことで顎の動きを柔軟にします。

ストレッチ:
顎関節の可動域を広げ、顎の開閉がスムーズに行えるように助けます。

温熱療法:
ホットパックを使用して筋肉を温めることで、血行が良くなり、痛みの軽減や筋肉のリラクゼーションが促されます。

電気療法:
特定の電流を筋肉に通すことで、痛みの緩和と筋肉の活性化を目指します。主に慢性的な痛みがある場合に効果が期待されています。

下顎可動化訓練・筋力増強訓練:
顎関節の正常な機能を取り戻すために行われる訓練で、顎の安定性が向上し、日常生活での顎の使用が楽になります。

理学療法は医療機関によって異なる治療法が取られており、患者さんの症状やニーズに合わせて行われます。治療を受ける際は、経験豊富な専門の医療従事者による適切な評価と治療計画のもとで行うことが重要です。

外科的治療

顎関節症の治療において外科的な治療法が選択されるケースもあります。主に、これまで解説してきたような非外科的治療で十分な改善が見られなかった重度のケースや、特定の構造的異常を有する患者さんに対して考慮されます。

外科的治療には、非開放性関節手術と開放性関節手術の二つの方法があります。
非開放性関節手術は、関節鏡を使用して行われる手術であり、関節内の癒着を剥離するためのものです。手術後は、関節の機能を取り戻すために理学療法や開口訓練が行われます。

開放性関節手術は、侵襲性が高く、関節を直接切開する手術です。この方法は、顎関節の構造的な問題が著しく、非開放性手術では対応が難しい場合に選択されます。開放性手術の後も、非開放性手術と同様に、適切なリハビリテーションが必要とされます。

外科的治療は、全顎関節症患者さんのうち約2〜3%にのみ適用される特別なケースであり、症状や病態を詳細に評価した上で、専門の医師によって慎重に選択されます。外科的治療を検討する際には、そのリスクと利益を十分に理解し、医師との詳細な相談を行うことが重要です。

セルフケア

顎関節症のセルフケアは、症状の軽減と悪化の予防を目的に指導される治療法です。以下に、セルフケアのポイントを述べます。

顎関節症を悪化させる可能性のある行動を避ける:
注意する行動は、頬杖をつかない、うつ伏せで寝ない、片方だけで咀嚼しない、固い食品を避けるといった点に注意します。また、顎の筋肉を過度に使わないよう、日中の無意識の歯ぎしりやくいしばりに注意し、リラックスした顎の状態を保ちましょう。

血流を促進するセルフケア:
温湿布を利用して顎周りの筋肉を温めることで血流を促進し、筋肉の緊張を和らげます。さらに、優しく顎周りの筋肉をマッサージすることで、筋肉のこわばりを解消し、痛みを軽減します。マッサージは、痛みを感じない程度の力加減で行い、筋肉に優しく圧をかけることがポイントです。

口を開ける訓練:
ゆっくりと口を開けて閉じる動作を繰り返すことで、顎関節の可動域を保ち、顎の動きをスムーズにします。痛みがある場合は、無理をせず、痛みのない範囲で行うようにしてください。

これらのセルフケアは、顎関節症の症状を管理し、日常生活の質を向上させるために役立ちます。ただし、セルフケアだけでは限界があり、症状が改善されない場合や悪化する場合は医療機関を受診しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで顎関節症は放置するとどうなる?についてお伝えしてきました。顎関節症を放置することの要点をまとめると以下の通りです。

  • 顎関節症とは、顎の関節および関連する咀嚼筋に発生する一連の障害を指し、20〜30歳代の女性に多い傾向にある
  • 顎関節症の自然治癒については、軽度な症例では一時的な症状の緩和が見られることもあり、症状が自然に改善したと感じている場合でも根本的な問題が解決されているわけではなく、構造的なダメージは残る
  • 顎関節症の症状は、初期段階では軽微な痛みや口の開閉時の雑音といった症状が出ることが多く、放置すると徐々に症状が悪化し、日常生活への影響や全身症状として現れることがある

顎関節症は、顎の関節や筋肉に関連した症状が現れる疾患であり、痛みや開口障害、顎の動きに異音が生じることが特徴です。治療法は多岐にわたり、薬物治療、理学療法、外科手術など、個々の状態に応じて選ばれます。
顎関節症に対する理解を深め、適切に対応することが、生活の質を向上させる鍵となります。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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