口腔内トラブルにはさまざまな症状がありますが、そのなかでも舌の付け根が痛いと感じることはないでしょうか。
舌は嚥下機能・咀嚼機能・構音機能・味覚機能の4つの役割があります。私たちがおいしく食事をして楽しく会話をするためには舌の働きが重要です。
また、舌には複数の血管が集まっていることから、健康状態が出やすいともいわれています。不安に感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
舌の付け根が痛い原因や考えられる病気
- 舌の付け根が痛い場合に考えられる原因を教えてください。
- 舌の付け根が痛い場合に考えられる原因は次のようなものが挙げられます。
- ウイルス・細菌
- ビタミン不足
- 精神的ストレス
- 火傷
- 飲酒・喫煙
上記のような原因で口腔内の粘膜が傷つき、舌の付け根の痛みに繋がることがあります。
舌の付け根の痛みには、針が刺すような痛み・ヒリヒリとした痛み・ピリピリとした痛みなどの種類が挙げられます。また、飲酒・喫煙などの摂取量が多ければ、舌の付け根の上(舌根)にがんが発生する可能性も否めません。
当てはまる方は改善するよう心がけていきましょう。
- 舌の付け根が痛い場合どのような病気の可能性がありますか?
- 舌の付け根が痛い場合は次のような病気の可能性が挙げられます。
- 舌咽神経痛
- 中咽頭がん
- 扁桃炎
- 口内炎
舌咽神経痛は100万人に数人程度の割合で罹る稀な病気といわれています。
症状は、舌の付け根(片側)・喉の奥あたりから耳にかけての範囲で針を刺したような痛みを発作的に感じるのが特徴です。
原因は、舌咽神経と脳の血管の接触・舌咽喉神経を血管が圧迫していることで痛みが生じるとされています。舌咽神経の役割は喉の筋肉を動かす・味覚・耳などの一部の感覚を担っていることから、会話・食事の際に痛みが生じるでしょう。
舌の付け根は医学的に中咽頭の部位に含まれるため、中咽頭がん・扁桃炎などでも舌の付け根に痛みを感じることがあります。
中咽頭がんとは、口蓋扁桃・口蓋垂・舌根(舌の付け根)などにがんが発生する病気です。
症状は咽頭の痛み・飲み込む時の違和感・舌が動かしにくいなどが挙げられ、飲酒・喫煙・HPVなどが原因になることがわかっています。また、口内炎は栄養の偏りでビタミン不足であったり、ストレスが溜まったりすることで発生するのが一般的です。
- むし歯が原因で舌の付け根が痛いと感じることもありますか?
- むし歯によって欠けた歯が粘膜にあたり傷つくことで、口内炎ができることがあります。また、義歯が合わなくなって舌が擦れた場合の刺激で痛みを引き起こす可能性もあるため、口腔内環境は早めに改善し、清潔に保つように心がけましょう。
- ストレスでも舌の付け根に痛みが出ることがあると聞いたのですが…。
- 精神的ストレスが一つの要因となって、アフタ性口内炎ができることがあります。
アフタ性口内炎とは、口腔内に1個〜数個にかけて小さな潰瘍ができる症状を指します。潰瘍の表面は白く、周辺が赤くなっているのが特徴的です。
また、精神的ストレスと免疫力も関係していることがわかっており、免疫力が低下するとともに、ウイルス・細菌に感染しやすくなります。したがって、ウイルス性の口内炎や扁桃炎などを引き起こすとされています。
舌の付け根が痛い場合の診療科や治療法
- 舌の付け根が痛い場合の受診の目安を教えてください。
- 口内炎は大体1週間ぐらいで自然治癒するのが一般的です。
2週間以上続いている場合は受診した方が望ましいでしょう。扁桃炎は風邪と症状が似ているため、自己判断をしてしまう方が多いです。
食べ物が飲み込めないほどの咽頭痛がある場合は、慢性化する前に受診を推奨します。舌咽神経痛に関しては、針を刺すような激痛を感じるといわれており、一度でもそのような痛みがある方は早急な受診をしてください。
- 舌の付け根が痛い場合どの診療科を受診すればよいですか?
- 舌の付け根の痛みに対する診療科は、症状によって異なります。
歯以外の口腔内の病気に関しては、主に耳鼻咽喉科での診断・治療が一般的です。舌の付け根部分は自分でも確認しづらいため、耳鼻咽喉科で診てもらうことが必要になってくるでしょう。
ただし、針を刺したような激痛がある方はほかの病気の可能性が考えられるため、脳神経外科・脳神経内科への受診を強く推奨します。
- 舌の付け根が痛い場合の治療法を教えてください。
- 舌の付け根の痛みの原因が何かによって治療法は異なります。
舌咽神経痛の場合の治療法は、抗てんかん薬などの薬物治療・神経ブロック療法・手術の3つが挙げられます。
扁桃炎の場合では、ウイルス性は対症療法・細菌性は抗菌薬を用いる治療が一般的です。ただし、食事が取れない場合は、入院のうえ、抗菌薬の点滴が必要になってきます。
扁桃炎の再発頻度が高い(年に3〜4回以上)場合は、扁桃摘出術が適した治療法とされています。
口内炎の場合は、基本的には1週間程度での自然治癒がほとんどです。適切にケアをしないと症状が長引くことがあるので、炎症を抑えるためにステロイドの塗り薬・口腔用の貼り薬を処方してもらいます。
- 手術が必要なケースもあるのですか?
- 舌咽神経痛・中咽頭がんを発症してしまった場合に手術を行うケースがあります。
舌咽神経痛の場合では、頭蓋内微小血管減圧術が行われます。舌咽神経痛で薬物治療が効かない場合・副作用などにより使えない場合に、痛みの原因となる舌咽神経を圧迫している血管を離し、減圧させる手術法です。
非常に稀ですが、術後の合併症として顔面神経麻痺・難聴・嗄声・嚥下障害などが生じることがあるといわれています。ただし、約95%の痛みの消滅が見られており、高い効果が期待されています。
中咽頭がんの場合では、早期であれば口腔から器具を入れてがんを切除する経口的切除術を行うことが一般的です。
舌の付け根が痛い場合の対処法や注意点
- 舌の付け根が痛い原因別の対処法を教えてください。
- 口内炎・扁桃炎で痛い場合の対処法は次のような対処法が挙げられます。
- 水分補給
- バランスの取れた食事
- 口腔内を清潔にする
口腔内が乾燥していることで、ウイルス・細菌に感染しやすくなることから、人間と同じくらいの体温で水分補給することをおすすめします。
また、バランスの取れた食事を取ることで免疫力が向上し、ウイルス・細菌に感染しづらくなるでしょう。特にハチミツは傷の治りを早くさせる作用があり、患部に塗るのが効果的といわれています。
ただし、ハチミツのなかには中毒を引き起こすボツリヌス菌が含まれていることから、1歳未満の乳幼児には与えないようにしてください。中咽頭がんでも口腔内環境を清潔に保ち、飲酒・喫煙など避けていくことが重要です。
- 舌の付け根が痛い場合の日常生活での注意点を教えてください。
- 日常生活での注意点は次のようなものが挙げられます。
- 口腔内を乾燥させない
- バランスのとれた食事をする
- ストレスを溜めないようにする
- 飲酒・禁煙をする
- 舌を噛まない
- 熱いものに気をつける
対処法と同様に適切な水分補給をし、乾燥させないようにすることが重要です。
忙しくて水分補給の時間が取れない・忘れてしまう方はマスクを装着することで乾燥を防ぐことも可能です。
食事のなかでは、特にビタミンが不足すると口内炎ができやすい傾向にあります。複数のビタミンの種類が存在しますが、なかでも身体の粘膜・皮膚を保護する作用があるビタミンB2が効果的です。
舌の付け根の痛みは症状によって、些細な痛みの場合や、我慢できない程の激痛を生じる場合があります。口内炎が原因で起きる痛みは、基本的に自然に治癒するため、日常生活のなかで気をつけられることが多様にあります。
上記の注意点に気をつけるだけでも、口内環境はよく保ち、舌の付け根が痛みへの改善に繋がるのではないでしょうか。とはいえ、ストレスを溜めないようにするのは難しい時があるため、ご自身がストレス発散に繋がるものがあるとよいでしょう。
編集部まとめ
本記事では、舌の付け根の痛みの原因・診療科・治療法などを解説しましたが、いかがでしたか。
いつか自然に治るだろうと些細な痛みのサインを見て見ぬふりをせず、少しでも違和感を覚えたら近くの耳鼻咽喉科に受診をおすすめします。
口腔内環境を整えることが生活の質の向上にも繋がります。素敵な生活ライフを送っていきましょう。
参考文献