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口腔粘膜疾患の種類を解説!代表的な口腔粘膜疾患やセルフチェック方法

口腔粘膜疾患 種類

口腔粘膜疾患には、白板症、紅板症、扁平苔癬や帯状疱疹など多岐にわたる疾患があります。健康な毎日を送るために、口腔の健康がいかに重要か、その理解を深めていただける内容となっています。 本記事では、口腔粘膜疾患の種類について以下の点を中心にご紹介します!

  • 代表的な口腔粘膜疾患の種類
  • 口腔粘膜疾患の治療
  • 口腔粘膜疾患(前がん病変)や口腔がんのセルフチェック

口腔粘膜疾患の種類について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜疾患とは、口唇、舌、歯肉、頬粘膜、口蓋、口底など、口の中の粘膜に異常が生じる疾患の総称です。口腔粘膜は、食事や会話など、様々な機能に関与する重要な組織です。口腔粘膜疾患は、痛みや違和感、発音障害、味覚障害など、様々な症状を引き起こし、日常生活に支障をきたす可能性があります。

口腔粘膜疾患の原因は、物理的・化学的な刺激、感染症、アレルギー、栄養不足、全身疾患など、様々です。

代表的な口腔粘膜疾患の種類

代表的な口腔粘膜疾患の種類

口腔粘膜疾患にはどのような種類があるのでしょうか。それぞれの疾患について、以下に詳しく解説します。

白板症(はくばんしょう)

白板症は、口腔粘膜に生じる白色の板状あるいは斑状の角化性病変で、こすっても取れないのが特徴です。口腔粘膜疾患の中で最も頻度の高い疾患の一つであり、男性の方が女性よりも多く、40歳代以降に発症しやすい傾向があります。

白板症の原因は完全には解明されていませんが、喫煙、飲酒、義歯の不良刺激、口腔衛生不良などが主な原因と考えられています。また、ビタミンA、B群、Cなどの栄養不足も関係しているといわれています。

白板症は、頬粘膜、舌、歯肉、口底などに白色の斑状あるいは板状の病変が形成されます。境界明瞭ですが、周囲の粘膜との境界が不明瞭な場合もあります。多くの場合、無症状ですが、刺激を与えると痛みや出血を伴うことがあります。
白板症は、癌化する可能性があるため、定期的に経過観察を行うことが重要です。

紅板症(こうばんしょう)

紅板症は、口腔粘膜に生じる赤色の平滑な斑状の病変です。舌、歯肉、頬粘膜などに発生し、境界が明瞭なことが多いです。

紅板症の原因は完全には解明されていませんが、喫煙、飲酒、義歯の不良刺激、口腔衛生不良などが主な原因と考えられています。また、ビタミンA、B群、Cなどの栄養不足も関係しているといわれています。

紅板症の症状は、主に痛みや出血です。痛みは、刺激を与えると生じることが多いです。出血は、軽度の刺激でも生じることがあります。
紅板症は、癌化する可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。

再発性アフタ

再発性アフタは、口腔粘膜に円形または楕円形の潰瘍ができる病気です。10代から30代に多く、女性の方が男性よりも多く発症します。

再発性アフタの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、免疫学的要因、ストレスなどが関係していると考えられています。

再発性アフタの症状は、口腔粘膜に円形または楕円形の潰瘍ができることです。潰瘍の表面は灰白色または黄白色の偽膜で覆われ、周囲は赤くなっています。潰瘍の大きさは数ミリから1センチ程度で、痛みを伴います。
再発性アフタは、多くの場合数週間で自然に治癒しますが、まれに重症化することもあります。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、真菌の一種であるカンジダ・アルビカンスによって引き起こされる口腔粘膜の感染症です。乳幼児、高齢者、免疫力が低下している方などが発症しやすいといわれています。

口腔カンジダ症の原因は、カンジダ・アルビカンスの増殖です。カンジダ・アルビカンスは、口腔内に常在菌として存在していますが、何らかの原因で増殖すると、口腔カンジダ症を発症します。

口腔カンジダ症の症状は、口腔粘膜に白い斑点や斑状の病変ができることです。これらの病変は、こすっても取れません。また、痛みや違和感、味覚障害などを伴うこともあります。
口腔カンジダ症は、適切な治療を行えば、数週間で治癒します。

扁平苔癬(へんぺいたいせん)

扁平苔癬は、口腔粘膜に生じる慢性的な炎症性疾患です。口腔粘膜のほか、皮膚、爪、粘膜などにも発症することがあります。

扁平苔癬の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、免疫学的要因、ストレスなどが関係していると考えられています。
扁平苔癬の症状は、口腔粘膜に白色の網目状の模様が現れることです。この模様は、こすっても取れません。また、痛みや違和感、味覚障害などを伴うこともあります。

扁平苔癬は、癌化する可能性のある疾患です。そのため、口腔粘膜に白い網目状の模様や違和感を感じたら、早めに歯科医院を受診することが大切です。

ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は、ヘルペスウイルスの一種である単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)によって引き起こされる口腔粘膜の感染症です。

ヘルペス性口内炎の原因は、HSV-1の感染です。HSV-1は、口腔や唇、鼻、眼など、顔の粘膜に感染する可能性があります。

ヘルペス性口内炎の症状は、口腔粘膜に水疱ができることです。水疱は、口唇、舌、頬粘膜、歯肉などにできます。水疱は、破裂すると潰瘍になり、痛みや違和感、発熱、倦怠感などの症状を伴うことがあります。

ヘルペス性口内炎の予防には、HSV-1に感染しないようにすることが大切です。HSV-1は、口腔や唇、鼻、眼など、顔の粘膜に感染する可能性があります。そのため、口腔衛生を良好に保ち、粘膜を傷つけないようにすることが予防につながります。また、口腔粘膜に水疱や潰瘍を見つけたら、早めに歯科医院を受診しましょう。

口腔乾燥症

口腔乾燥症は、口腔内の唾液の分泌が減少することで起こる疾患です。唾液は、口腔内の潤滑や清掃、消化、味覚、歯の保護など、さまざまな役割を果たしています。そのため、口腔乾燥症になると、口腔内の乾燥感、口臭、味覚障害、虫歯、歯周病などの症状が現れることがあります。

口腔乾燥症の原因は、大きく分けて2つあります。1つめは唾液腺の機能低下です。唾液腺の機能が低下すると、唾液の分泌量が減少します。唾液腺の機能低下を引き起こす原因としては、加齢、薬の副作用、放射線治療などが挙げられます。

2つめは唾液の蒸発です。口腔内の唾液が蒸発すると、口腔内の乾燥感を感じることがあります。唾液の蒸発を引き起こす原因としては、乾燥した環境、喫煙、アルコール摂取などが挙げられます。

口腔乾燥症の症状として、口腔内の乾燥感、口臭、味覚障害、虫歯、歯周病、口腔粘膜の炎症、口腔内感染症などを呈します。 口腔乾燥症は、口腔がんなどのリスクを高める可能性がある疾患です。口腔乾燥症の症状が現れた場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。子供の頃に水痘にかかったことがある人は発症する可能性があります。

帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスです。水痘・帯状疱疹ウイルスは、水痘を治癒した後も、神経節に潜伏し、長期間休眠状態にあります。加齢やストレスなどによって免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化し、帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹の症状は、主に体の片側、顔や首、胴体などに帯状に赤い発疹と水疱が現れます。発疹は、痛みや熱感を伴うことがあります。口腔粘膜にも発疹が現れることがあり、舌、歯肉、頬粘膜などに水疱ができます。

帯状疱疹は、後遺症として神経痛を残すことがあります。神経痛は、帯状疱疹の発疹が治癒した後も、数ヶ月から数年続くことがあります。

帯状疱疹を発症した人は、周囲の人に感染させる可能性があります。そのため、発疹が治癒するまでは、人との接触を避けるようにしましょう。帯状疱疹は、50歳以上の人や免疫力が低下している人に多く発症します。帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチン接種が役立ちます。帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の人が対象となります。

自己免疫性水疱症

自己免疫性水疱症は、自分の皮膚や粘膜の成分を攻撃する自己抗体が体内で作られることで起こる水疱性の疾患です。口腔粘膜にも水疱やびらんが生じることがあり、食事や会話などの日常生活に支障をきたすことがあります。

自己免疫性水疱症の原因は、自己抗体の産生です。自己抗体は、本来は体の外から侵入する細菌やウイルスなどの異物を攻撃するはずですが、自己免疫性水疱症では、誤って自分の皮膚や粘膜の成分を攻撃してしまうのです。

自己免疫性水疱症の症状は、皮膚や粘膜に水疱やびらんが生じることです。水疱は、数ミリから数センチ程度で、透明または黄色い液体で満たされています。水疱は、破れるとびらんとなり、痛みや出血を伴うことがあります。

口腔粘膜に水疱やびらんが生じる場合、痛みや違和感で食事や会話が困難になることがあります。また、水疱が破れてびらんになると、二次感染のリスクが高まります。
自己免疫性水疱症には、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、粘膜類天疱瘡などいくつかの種類があります。
自己免疫性水疱症は、難治性疾患の一つです。そのため、長期的な治療が必要になることがあります。また、治療中に副作用が現れることもあります。

黒毛舌(こくもうぜつ)

黒毛舌は、舌の表面に黒い苔状の舌苔が付着する疾患です。舌苔は、舌の表面に付着した食べカスや細菌の塊です。黒毛舌では、舌苔が黒く変色して、舌の表面に毛のようなものが生えたように見えることがあります。

黒毛舌の原因は、主に以下の2つと考えられています。1つめは薬剤の副作用です。抗生物質や抗真菌薬などの薬剤の副作用で、舌の表面の常在菌バランスが崩れ、黒毛舌を引き起こすことがあります。2つめは口腔衛生が不良で、舌苔が蓄積すると、黒毛舌を引き起こすことがあります。

黒毛舌の症状は、舌の表面に黒い苔状の舌苔が付着することです。舌苔は、舌の表面に付着した食べカスや細菌の塊です。黒毛舌では、舌苔が黒く変色して、舌の表面に毛のようなものが生えたように見えることがあります。

黒毛舌は、痛みや違和感などの症状を伴わないことがほとんどです。しかし、舌苔が厚くなると、舌の動きが悪くなり、発音や食事に支障をきたすことがあります。

口腔粘膜疾患の診断

口腔粘膜疾患の診断

口腔粘膜疾患の診断は、患者さんからの問診、口腔内の視診、検査によって行われます。 問診では、いつから症状があるのか、どのような症状なのか、症状はどの程度なのか、また過去の病歴として口腔粘膜疾患の既往歴、アレルギー歴、現在の服薬状況なども聞かれます。喫煙、飲酒、食生活などの生活習慣についても聞かれるでしょう。 視診では、口腔粘膜の色、形状、表面の状態などを観察します。

必要に応じて、以下の検査が行われます。

  • 細胞診:口腔粘膜の細胞を採取して検査します。
  • 組織検査:口腔粘膜の組織を採取して検査します。
  • 画像検査:CTやMRIなどの画像検査で、口腔内の状態を詳しく調べます。

問診、視診、検査の結果に基づいて、診断されます。口腔粘膜疾患には、さまざまな種類があります。中には、癌などの悪性疾患の可能性もあります。そのため、口腔粘膜に異常を感じたら、早めに歯科医院を受診して、適切な診断を受けることが大切です。

口腔粘膜疾患の治療

口腔粘膜疾患の治療

口腔粘膜疾患の治療は、原因や症状によって異なります。 原因が特定できる場合は、原因に対する治療を行います。

  • 感染症:抗菌薬や抗ウイルス薬などの薬物療法を行います。
  • 薬剤の副作用:原因となっている薬剤を中止または変更します。
  • 栄養不足:ビタミンやミネラルなどの栄養素を補給します。

原因療法に加えて、症状に対する治療も行います。

  • 痛み:鎮痛剤や抗炎症剤を処方します。
  • 炎症:ステロイド薬や抗炎症剤を処方します。
  • 出血:止血剤を塗布したり、縫合したりします。

その他の治療として、以下の治療を行う場合もあります。

  • レーザー治療:レーザーを使用して、病変を切除したり、蒸散したりします。
  • 光線療法:光線を使用して、病変を治療します。
  • 手術:病変が大きい場合や、他の治療法が無効な場合に手術を行います。

口腔粘膜疾患の治療期間は、原因や症状によって異なります。軽症の場合は、数日で治癒することもあります。しかし、重症の場合は、数ヶ月から数年かかることもあります。 治療中は、医師の指示に従って、薬を服用したり、生活習慣を改善したりする必要があります。口腔内の清潔を保ち、感染症を予防することが大切です。また、定期的に歯科医院を受診し、治療経過を確認する必要があります。

一部の口腔粘膜疾患(前がん病変)や口腔がんのセルフチェック項目

一部の口腔粘膜疾患(前がん病変)や口腔がんのセルフチェック項目

口腔がんは、男性に多く見られるがんですが、女性でも発症する可能性があります。口腔がんの主な原因は、喫煙と飲酒です。口腔がんは、舌、歯肉、頬粘膜、口腔底など、口腔内のさまざまな部位に発生します。 口腔がんは、早期発見・早期治療が重要です。しかし、初期の口腔がんは、自覚症状がないことが多いため、発見が遅れることがあります。口腔がんのセルフチェックは、口腔内の異常を早期に発見するために役立つ方法です。以下の項目をチェックしましょう。

  • 1. 口腔内の色の変化
  • 赤くただれたような部分(紅斑) 白く変化した部分(白斑) 黒く変色した部分

  • 2. 口腔内の形の変化
  • しこりや腫れ 潰瘍やびらん 表面がザラザラした部分

  • 3. 口腔内の感覚の変化
  • 痛みや違和感 しびれ 出血

  • 4. その他
  • 2週間以上治らない口内炎 原因不明の歯のぐらつき 入れ歯が合わない 舌の動きが悪い

これらの項目に当てはまるものがあれば、早めに歯科医院を受診しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで口腔粘膜疾患の種類についてお伝えしてきました。 口腔粘膜疾患の種類の要点をまとめると以下の通りです。

  • 代表的な口腔粘膜疾患には、白板症、紅板症、再発性アフタ、口腔カンジダ症、扁平苔癬、ヘルペス性口内炎、口腔乾燥症、帯状疱疹、自己免疫性水疱症、黒毛舌などがある
  • 口腔粘膜疾患の治療は原因や症状によって異なり、感染症には抗菌薬や抗ウイルス薬などの薬物療法、薬剤の副作用の場合は原因となる薬剤を中止、栄養不足に対してはビタミンやミネラルなどの栄養素を補給する
  • 口腔がんのセルフチェックとして、口腔内の色の変化、形の変化、感覚の変化を確認することが重要

口腔粘膜疾患の中には癌化する疾患があることがわかりました。疑わしい症状がある場合は速やかに歯科医院を受診してください。

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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