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親知らずが生える年齢は?抜歯の判断基準や残しておいた方がよいケース

親知らずが生える年齢は?抜歯の判断基準や残しておいた方がよいケース

口腔のトラブルメーカーである親知らず。萌出する年齢や生えてくる数、抜歯が必要になるかどうかなどはケースによって大きく異なります。人によってはすべての親知らずでトラブルが起こることもあるため、どのような歯なのかは事前に詳しく知っておきたいものです。ここではそんな親知らずが生える年齢や生え方の種類、抜歯の判断基準などを詳しく解説します。親知らずの存在に不安を感じていたり、具体的な症状が現れたりしている人は参考にしてみてください。

親知らずが生える年齢と生え方の種類

親知らずが生える年齢と生え方の種類 はじめに、親知らずが生えてくる年齢や生え方の違いなど、この歯に関する基本事項を確認しておきましょう。

親知らずが生えてくる平均的な年齢を教えてください。
親知らずが生えてくる平均的な年齢は、20歳前後です。20歳はもうすでに成人に達していることから親知らずという名前が付けられています。ただし、これはあくまで平均的な年齢なので、親知らずが生えてくる時期には個人差があることも知っておいてください。親知らずは早い人で15歳くらいから生えてくる場合もあれば、30歳や40歳になってから生えてくる人もいるのです。
親知らずは必ず生えてくるのですか?
親知らずは、上下左右を合わせると全部で4本存在していますが、そのすべてが生えてくるとは限りません。3本生えてくる人もいれば、1本も生えてこない人もいるのです。そもそも親知らずが歯茎のなかに1本も存在していない人もいます。それぞれ何本の親知らずが生えてくるかも予想するのは困難です。
親知らずの生え方の種類を教えてください。
親知らずの生え方は、以下の4種類に大きく分けられます。

【種類1】まっすぐ正常に生えている
ほかの永久歯と同じように、まっすぐ正常に生えている親知らずです。周囲の歯に悪影響を及ぼすリスクが低く、清掃性もよいことから、トラブルメーカーにはなりにくいです。

【種類2】横や斜めを向いて生えている
横向きや斜めを向いて生えている親知らずです。このタイプは、親知らずのなかでもみられる傾向にあります。顎のスペースが足りていないことから、まっすぐ正常に生えることができず、手前の歯を圧迫したり、歯磨きしにくかったりするなどのデメリットを伴います。

【種類3】歯茎のなかに埋まっている
歯茎のなかに埋まっている親知らずは、口腔内から確認することはできません。顎の骨まで可視化できるレントゲン撮影を行わなければ、その存在や埋まり方などを正確に把握することはできないのです。こうした親知らずは口腔のトラブルを引き起こしにくいのですが、嚢胞が生じたり、手前の歯を押して歯根を圧迫したりするリスクは伴います。

【種類4】逆向きに生えている
私たちの歯は本来、頭の部分である歯冠(しかん)が口腔の方へ、根っこの部分である歯根は逆の方へ向いています。その位置関係が逆転している親知らずを逆性埋没智歯(ぎゃくせいまいぼつちし)といいます。この種類の親知らずは、歯茎の外へと出てくる可能性は低いのですが、顎の骨のより深い位置に移動したり、嚢胞を形成したりすることでトラブルを引き起こす場合があります。そのため逆性埋没智歯は、レントゲン撮影を定期的に行って、その状態を観察し続けることが大切です。

親知らずの抜歯と年齢の関係

次に、親知らずを抜歯する年齢やタイミングについて解説をします。

30代までに親知らずを抜いた方がよいといわれているのはなぜですか?
30代を過ぎると、次のようなリスクが高まるからです。

【リスク1】加齢とともに骨が硬くなるため
私たちの骨は、若いとき程やわらかいです。骨がやわらかいということは、歯も抜きやすく、親知らずの抜歯に伴う痛みや腫れをできる限り抑えられます。30代を過ぎると、顎の骨が硬くなると同時に、親知らずとの結合も強くなるため、抜歯に伴う心身への負担も大きくなってしまうのです。

【リスク2】抜歯後のダウンタイムが長くなる
加齢とともに骨が硬くなって抜歯に大きな手間がかかると、傷口の回復にも時間がかかります。また、30代以降は免疫力や代謝の低下から、術中・術後の感染リスクも高くなる点に注意が必要です。

【リスク3】親知らずのむし歯や歯周病リスクが高まる
清掃性の親知らずは、ほかの歯よりもむし歯・歯周病リスクが高いです。その親知らずを放置している期間が長くなる程、口腔のトラブルも招きやすくなるのです。

早めに抜いた方がよい親知らずの状態について教えてください。
次のような症状が認められる親知らずは、早めに抜歯した方がよいといえます。
  • むし歯や歯周病になっている
  • 斜めや真横に生えていて歯磨きしにくい
  • 歯並び・噛み合わせを悪くしている
  • 親知らずが原因で顎が腫れている
  • 手前の歯の歯根を吸収している
  • 親知らずの周りに嚢胞や腫瘍ができている

こうした症状が認められる親知らずでは、精密検査を実施したうえで、抜歯を提案されることが少なくないです。

親知らずを残すか抜くかの判断基準

続いては、親知らずを残した方がよいケースや放置した場合のリスクについて解説をします。

親知らずを残しておいた方がよいケースはありますか?
次のような親知らずは、抜かずに残した方が患者さんにとってよいといえます。

【ケース1】まっすぐ正常に生えている
まっすぐ正常に生えている親知らずは、清掃性がよく、手前の歯を圧迫することもありません。特に上下の歯でしっかり噛み合っている親知らずは、抜くことの方がデメリットになります。

【ケース2】移植歯や支台歯として活用できる
まっすぐ正常に生えていない親知らずでも、トラブルを起こす兆しがなく、将来、歯を失ったときの移植歯やブリッジの支台歯として活用できるのであれば、抜かずに残した方がよいです。

【ケース3】抜歯に伴うリスクが大きい
親知らずの生えている位置や埋まっている位置が悪く、抜歯をすることで重要な血管や神経を損傷してしまう場合は、無理に抜かない方がよいです。差し迫った症状が現れない限り、経過を見ていくのが望ましいでしょう。

親知らずを放置するとどのようなリスクがありますか?
問題を抱えている親知らずを抜かずに放置していると、むし歯や歯周病になったり、手前の歯を圧迫したりします。深刻な例では、7番の歯根が吸収されて抜歯を余儀なくされたり、親知らずの炎症が周囲の組織にまで波及して、上顎洞炎や顎骨骨髄炎、蜂窩織炎といったより深刻な病気を引き起こしたりする場合があります。

親知らずを抜くメリット・デメリット

ここでは、親知らずを抜いた場合のメリットとデメリットについて解説します。

親知らずを抜くメリットについて教えてください。
親知らずを抜くと、次に挙げるメリットが得られます。
  • 腫れや痛みの症状から解放される
  • 清掃性がよくなる
  • 手前の歯が圧迫されたり、全体の歯並びが悪くなったりしなくなる
  • 口臭を予防しやすくなる

これらは今現在トラブルが起こっている親知らずを抜いた場合のメリットです。

親知らずを抜くデメリットについて教えてください。
親知らずを抜くと、次に挙げるデメリットが生じます。
  • 抜歯の費用がかかる
  • 重要な血管や神経を損傷するリスクがある
  • 抜歯後の腫れや痛みに悩まされる
  • ほかの歯を失ったときのスペアとして使えなくなる

移植歯やブリッジの支台歯として使えなくなるというデメリットは、あくまでトラブルを抱えていない親知らずのみに当てはまります。もうすでにむし歯や歯周病になっているような親知らずは、そもそも失った歯のスペアとして活用するのは難しいです。

編集部まとめ

今回は、親知らずが生える年齢や抜歯の判断基準、残した方がよいケースなどについて解説しました。親知らずが生えてくる平均的な年齢は20歳前後で、何本生えてくるかは個人によって異なります。親知らずが重度のむし歯・歯周病にかかっている、手前の歯を圧迫している、全体の歯並びを乱している、嚢胞や腫瘍ができているなどの症状が認められる場合は、早期に抜歯が必要なります。特に問題を抱えていない親知らずは無理に抜く必要はありません。そんな親知らずの対処に困っている人は、歯科医師に相談することを推奨します。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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