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親知らずの抜歯で入院は必要?入院治療のメリット・デメリットや注意点なども解説

親知らず 入院

親知らず(智歯)の抜歯で入院をすすめられると、麻酔や痛みに対する不安に加えて、入院することへの負担を感じる方は多いと思います。

親知らずの抜歯は、一般的には入院することなく治療することが可能です。しかし、抜歯する本数や患者さんの持病によっては、入院が必要になるケースもあります。

親知らずの抜歯で入院が必要な基準はどういったものがあるのでしょうか。また、入院期間や費用の目安はどの程度なのでしょうか。

今回は、親知らずの抜歯で入院が必要になった場合の注意点や、メリット・デメリットについても詳しく解説します。

親知らずの抜歯は入院が必要?

親知らずの抜歯は入院が必要?

親知らずの抜歯は入院が必要ですか?
親知らずの抜歯は、全てのケースで入院が必要なわけではありません。基本的には局所麻酔を使って、日帰りで行われます。しかし、親知らずの生え方・抜歯する本数・持病の有無によっては入院が必要なケースがあることを知っておきましょう。
どうしても入院が難しい場合は、主治医と相談して日帰りでの抜歯に変更できる場合もあります。しかし、入院をすすめられるには相応の理由があります。日帰りでの抜歯にすると、それに伴うリスクがあることも理解しておきましょう。入院での抜歯は万が一のことがあっても迅速に対応してもらえるため、安全性が高くなります。
どうしても入院が難しい場合は、歯科医院によっては日帰りで抜歯してくれる場合もあるので、ほかの歯科医院に問い合わせることも検討してください。入院での抜歯をすすめられた場合は、入院が必要な理由と日帰りで抜歯するリスクについて正しく理解したうえで判断することが大切です。
親知らずで入院になる基準について教えてください。
親知らずの抜歯で入院が必要になる基準は以下のようなものがあります。

  • 親知らずの生え方や位置が複雑
  • 細菌感染が顎や全身に広がっている
  • 複数本まとめて抜歯する
  • 抜歯時にリスクとなる基礎疾患がある
  • 抜歯に対する恐怖心が強い

親知らずは歯の一番奥に生えてくる永久歯で、スペースが限られるため正常に生えることが難しく、斜めに生えたり歯茎の中に埋まってしまったりするケースが多く見られます。さらに、親知らずの根の部分が神経や血管と接していると、神経の損傷や出血のリスクが高くなるため入院が必要になります。
また、2本以上の親知らずを一度に抜く場合は、患者さんの負担を減らすために入院をすすめられることもあるでしょう。数本ずつ分けて抜歯するとその分通院の回数が増えるため、一度に全て抜歯したい方は入院をおすすめします。続いて、血液・血管・呼吸器の持病を持つ方や、顎をはじめとした全身に細菌感染が見られる場合は、特に注意が必要です。
出血が続く・血圧上昇・呼吸困難といった症状が出る恐れがあるため、入院して全身状態を管理しながら処置を進めていきます。最後に、抜歯に対する恐怖心が強い場合です。精神的な負担を軽くしてスムーズに抜歯できるよう、全身麻酔を使うケースもあります。この場合、呼吸の管理を行う必要があるため入院が必要になります。

親知らず治療の流れについて教えてください。
ここでは親知らずを入院で抜歯する場合の治療の流れについて解説します。まずはかかりつけの歯科医院で親知らずの状態を確認し、入院が必要と判断された場合は入院施設のある病院へ紹介状を書いてもらいます。続いて紹介状を持って入院予定の病院を受診し、親知らずの状態の確認・手術日の調整・入院前の注意事項の説明を聞きましょう。全身麻酔の場合は手術の前日から入院し、局所麻酔や静脈内鎮静法(鎮静剤の点滴で意識を落としリラックスした状態にする方法)を使用する場合は手術当日に入院することが多いです。
飲食の制限・爪を切る・アクセサリーを外すなど、病院によって決まりがあるので確認しておきましょう。準備が整ったら、いよいよ抜歯です。できるだけリラックスした状態で手術に臨み、歯科医師や看護師の指示に従ってください。
抜歯後は痛みや吐き気がないか、麻酔の効果が残っていないかを確認します。我慢できない痛みや、出血が止まらないときは遠慮せず申し出てください。翌日以降、抜歯した部位や全身の状態が安定していれば退院です。退院後の通院に関しては、担当の歯科医師と相談しましょう。

親知らずの抜歯を入院で治療するメリット・デメリット

親知らずの抜歯を入院で治療するメリット・デメリット

親知らずの抜歯で入院で治療するメリット・デメリットを教えてください。
親知らずの抜歯を入院で治療する一番のメリットは、安心・安全であることです。
出血が止まらない・痛みが強くなるといった万が一のことが起こった場合でも、入院していればすぐに対応してもらうことができます。一方でデメリットとして、入院費用がかかることと入院期間を確保する必要があることが挙げられます。学校や仕事を休む必要があり、退院後も1週間程度の安静を必要とする場合があるため、大事な予定を入れないように注意しましょう。場合によっては入院施設がある病院に紹介状を書いてもらう必要があり、病院が変わることで通院回数が増えることもデメリットの一つです。
親知らず治療での入院期間はどのくらいですか?
親知らず治療での入院期間は1泊2日〜2泊3日が一般的です。主に使用する麻酔によって入院期間の目安が変わります。
局所麻酔や静脈内鎮静法の場合は1泊2日、全身麻酔の場合は2泊3日を目安に考えましょう。もちろん、手術の後の傷や体の状態によっては長期間入院する必要があるケースもあります。

親知らずで入院した場合の注意点や費用

親知らずで入院した場合の注意点や費用

親知らずで入院した場合の注意点はありますか?
親知らずの抜歯で入院した場合に注意すべきことは以下の3つです。

  • 抜歯後1週間は安静にする
  • 腫れや痛みが続く可能性があるため、抜歯の後すぐに大切な用事を入れない
  • 抗生剤・痛み止めなど、処方された薬をしっかりと飲み切る

抜歯の後は、痛みや腫れで精神的・身体的に負担がかかることが予想されます。退院したからといって無理はせず、1週間程度は激しい運動や力仕事を避けるのが望ましいです
また、抗生剤や鎮痛剤が処方された場合は、歯科医師の指示に従いしっかり飲み切るようにしましょう。

親知らずの抜歯後に痛み止めなどは処方されることがありますか?
親知らずの抜歯では、抜歯後の痛みや腫れを抑えるために、痛み止めを処方されることがあります。親知らずの抜歯をする方の中には、抜歯後の痛みを心配する方が多くいます。
特に下顎の親知らずを抜くケースは、痛みや腫れが出やすいため注意が必要です。痛み止めは痛みが出てきそうなときに早めに服用すると効果的でしょう。抜歯後の痛み止めには定期的に服用するものや、痛みが出たときに服用するものがあります。処方された薬は指示に従って服用し、薬を飲んでも痛みが治まらない場合や痛みが強くなった場合は、治療を受けた病院に相談するようにしましょう。
親知らずの抜歯後食事や運動で気を付けることはありますか?
親知らずを抜歯した後は以下のことに気を付けましょう。

  • 麻酔が切れるまでは食事を控える
  • 激しい運動・長時間の入浴は避ける
  • 飲酒は控える
  • 柔らかく食べやすいものを食べる
  • 強いうがいは控える

抜歯後出血している間は、水分を摂ると血が止まりにくくなるため、基本的には飲食を控えます。出血が止まり歯科医師の許可が出るまでは、血流が良くなる運動・入浴・飲酒は避けましょう。
さらに、抜歯後2〜3時間は麻酔で口の中の感覚が鈍くなっています。この状態で食事を摂ると、舌を噛んだり火傷をしたりする恐れがあるため、麻酔が切れたことを確認してから食事を摂るようにしてください。
抜歯後は痛みや傷口の違和感があることが多いため、食事は柔らかく食べやすいものを選ぶと良いでしょう。最後に、抜歯後に強くうがいをすると傷口の治りが悪くなることがあるため、うがいは優しく行うよう心がけてください。

親知らずで入院した場合の費用について教えてください。
親知らずで入院した場合、一部の例を除き、健康保険が適用されます。さらに、麻酔の種類や入院期間によって費用が変わります。健康保険で3割負担の方のケースで考えると、局所麻酔を使用して1泊2日程度の入院の場合、費用は20,000〜30,000円を目安に考えておくと良いでしょう。
一方、全身麻酔を使用して2泊3日以上の入院となる場合、費用は80,000円程度が目安となります。入院する前に必ず費用の説明を受け、納得したうえで入院することが大切です。
退院後も定期的な通院は必要ですか?
退院後は抜歯した部分の状態を確認し、抜糸を行うため1〜2回の通院が必要です。かかりつけの歯科医院以外で抜歯した場合、退院時の状態にもよりますが、退院後の処置はかかりつけの歯科医院で行うケースもあります。通院が負担にならないよう、担当の歯科医師とよく相談することをおすすめします。

編集部まとめ

歯を診る女性

今回は、親知らずを抜歯するために入院した際の流れやメリット・デメリットについて解説しました。

親知らずの抜歯で入院するとなった場合、仕事や学校を休んだり、費用の負担があったりと不安に思う方も少なくないでしょう。

しかし、入院で抜歯することで「出血が止まらない」「痛みが引かない」といったトラブルにいち早く対応でき、安心して治療を受けることができます

日帰りと入院のメリット・デメリットを正しく理解し、治療法を選択する際の参考にしてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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