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顎関節症が治らない原因とは?治りづらい時の対処法についても解説

顎関節症が治らない原因とは?治りづらい時の対処法についても解説

口を開けた時にカクンと音が鳴ったり、開けにくさを感じたりする。そもそも口を大きく開けられない。そんな症状に悩まされている場合は、顎関節症が疑われます。現代人によく見られる病気で、症状が多様で、原因も多岐に渡ることから、治療方法も単純ではありません。そのため顎関節症が治りづらいことで対処に困っている人も珍しくありません。ここではそんな顎関節症という病気の特徴や治療法、治りづらい時の対処法などを詳しく解説します。

顎関節症の基礎知識

顎関節症とはどのような疾患ですか?
顎関節症は、文字通り顎にある「顎関節」に異常が現れる病気です。顎関節は、上顎骨と下顎骨とをつなぐ場所で、開閉運動やそしゃく運動の際に大きな負担がかかります。そのため顎関節症を発症すると、口の開け閉めや食べ物を噛む時に強い痛みを伴うようになることから、日常生活に支障をきたすこともあります。一般的には10〜20代の女性に好発し、年を重ねるごとに症状が軽くなっていくケースも少なくない病気で、現状でも解明されていない部分が多々あります。
顎関節症の主な症状を教えてください。
顎関節症になると、次のような症状が現れます。

症状1:関節雑音
口を開けた時に顎関節で「カクン」「ゴリッ」「ジャリ」といった雑音が鳴る症状です。顎関節症特有の症状で、上顎骨と下顎骨の間に介在する関節円板(かんせつえんばん)が正常な軌道から逸脱していることを意味します。軽度の顎関節症では、外側にずれた関節円板が口を閉じると元の位置へと戻るため、開閉口運動で繰り返し「カクン」となります。これが元の位置に戻らなくなると、口を動かした際に顎の関節が「ジャリ」となるクレピタス音が生じるようになります。クレピタス音は、顎関節を構成する骨や靭帯がボロボロになることでも生じます。

症状2:顎関節痛
顎関節に強い痛みが生じるのも顎関節症の主な症状のひとつです。口を開け閉めした時にこめかみの当たりが痛い場合は、顎関節症が疑われます。

症状3:咀嚼筋痛
噛む時に使う咀嚼筋は、咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)の4つで構成され、顎の周囲に分布しています。食べ物を噛む時にこれらの筋肉が痛む場合も顎関節症が疑われます。

症状4:開口障害・閉口障害
顎関節症では、口が開けにくい、口が閉じられないといった症状も現れます。開口障害は、人差し指・中指・薬指の3本が縦に入らないくらいの開口量が該当します。

顎関節症の原因を教えてください。
顎関節症の原因としては以下のものが挙げられ、このうちのひとつではく、複数が組み合わせることで発症することが多いです。

  • TCH(歯列接触癖)
  • 悪習癖(片側で噛む癖、頬杖をつく癖、爪噛みなど)
  • 就寝時の習慣(歯ぎしり、うつ伏せ寝)
  • ストレス、過度の緊張
  • 顎関節周囲の外傷
  • 特定の楽器の演奏、スポーツ

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療方法

顎関節症は自力で治せますか?
上述したように、顎関節症は時間の経過とともに症状が軽くなっていくことがある病気です。また、症状が軽く、日常的な習慣が原因となっているケースでは、自力でもある程度の改善効果が見込めるといえるでしょう。けれどもそれはあくまで一部の症例であるため、基本的には専門の医療機関で顎関節症の治療を受けることが推奨されます。

また、顎関節がそれまでに受けたダメージを自力で取り除くことはできません。具体的には、損傷を受けた関節円板や下顎頭、関節包靭帯は、治癒しないのです。中等度から重度の顎関節症は自力で治すことが不可能といっても間違いではないので、必ず専門家の診察を受けるようにしましょう。

顎関節症の治療は、病院の何科で受けることができますか?
顎関節症は、基本的に歯科・口腔外科の専門領域です。とくに大学病院や市民病院のような大きな医療機関に設置されている口腔外科は、外科手術も含めた顎関節症の治療を行うことができます。軽度の顎関節症の診察や治療であれば、一般の歯科医院でも可能です。その他、一部の整形外科でも顎関節症の診療に対応しています。
顎関節症の診断には、どのような診査を受けますか?
身体所見としては、開口量や開口の角度、関節雑音の有無を調べます。こめかみの辺りを押して、痛みがあるかどうかも検査します。その他、必要に応じてレントゲンや歯科用CT、MRIといった画像検査を実施する場合もあります。レントゲンやCTでは、顎関節の骨の状態をMRIでは、関節円板や関節包靭帯といった軟組織の状態を精密に調べることが可能です。
顎関節症の治療方法を教えてください。
軽度の顎関節症であればセルフケアが中心となります。積極的な治療が必要な場合は、理学療法や薬物療法、スプリント療法などを実施します。スプリント療法とは、マウスピース型の装置であるスプリントを就寝時に装着し、下顎の位置を改善すると同時に、顎関節への負担を軽減します。それによって上下の歯列が均等に接触するようになると、顎関節症の症状も徐々に改善されていきます。重症例に関しては、歯列矯正と外科手術を併用する必要が出てきます。
顎関節症のセルフケアにはどのようなものがありますか?
顎関節症では、上下の歯列が不必要に接触するTCHが最大の原因となっているケースが多いです。そのためまずは自分にTCHがあるかどうかを確認しましょう。目をつぶって口を軽く閉じた時に、上下の歯列が接触している場合はTCHを持っている可能性が高いため、普段からその習慣を取り除くよう努力しましょう。その他、歯ぎしり・食いしばり、片側だけで噛む癖、頬杖をつく癖、うつ伏せ寝なども意識的に改善することは可能です。

顎関節症が治らない原因

顎関節症の治療期間は、通常どのくらい必要ですか?
症状の度合いや治療法によっても変わりますが、一般的には6~12ヵ月程度の期間を要します。歯列矯正や外科手術を併用する場合は、さらに長い期間がかかります。
顎関節症が治らない原因として、考えられることはなんですか?
顎関節症が治らない原因としては、次の5つが考えられます。

原因1:誤ったマッサージをしている
一部の顎関節症には、セルフマッサージが有効ですが、その方法が誤っていると、かえって病状を悪くする場合があります。

原因2:何もせずに放置している
何もせずに放置して治る顎関節症は、全体の一部でしかありません。多くのケースでは、専門の医療機関での治療やサポートが必要となります。

原因3:治療用のマウスピースが合っていない
スプリント療法に使うマウスピースが自分の口に合っていない場合は、それを使い続けることで顎関節症の症状が悪化します。必ず専門の医療機関で、オーダーメイドのマウスピースを作るようにしましょう。

原因4:適合の悪い入れ歯を使っている
適合の悪い入れ歯は、顎関節に大きな負担をかけます。顎関節症の治療を受けていたとしても、合わない入れ歯を使っていたら、いつまで経っても顎の症状がなくならないことがあります。

原因5:顎関節症の治療法が合っていない
顎関節症は、とても複雑な病気なので、診査・診断が極めて重要となります。そのため顎関節症治療の経験が乏しい歯科医師や医師に診療を任せると、適切な治療法を提案してもらえないことがある点に注意が必要です。治療法が自分に合っていないと感じた場合は、セカンドオピニオンを受けることも視野に入れましょう。

どのような症状があると、顎関節症が治っていないと判断されますか?
次に挙げる症状が認められる場合は、顎関節症が治っていないと判断できます。

  • 口を大きく開けられない
  • 口が開きにくい
  • 口を開けると雑音が鳴る
  • 顎の周辺に痛みを感じる

いずれも顎関節症の典型的な症状であるため、それらが残っているということは病気が治っていないことを意味します。もちろん、顎関節症を完全に治すことが難しいケースもあるため、治療後にある程度の症状が残ることもありますが、明らかな開口障害や顎関節痛などが生じているのは正常ではありません。

治療を受けていても治らないときの対処法

治療を受けていても治らないときの対処法

口腔外科で治療を受けていても治らないときは、どうすれば良いですか?
その他の口腔外科を受診してみましょう。セカンドオピニオンを受けるだけでも、顎関節症が治らない原因がわかるかもしれません。とくにスプリント療法だけで顎関節症の治療を行っているケースは、別の歯科医師や医師の意見を聞いた方が良いと言えます。なぜならスプリントをはめて様子をみることは、顎関節症の症状を悪化させるかもしれないと考えられているからです。
一時的でも顎関節症の痛みを和らげる方法はありますか?
咀嚼筋を酷使していることによって痛みが生じているケースでは、咬筋や側頭筋をマッサージすることで痛みが緩和されることがあります。ただし、咀嚼筋マッサージは、歯科医院で正しい方法を学んでおかなければなりません。我慢できないほどの痛みが生じている場合は、市販の鎮痛剤を服用しましょう。

編集部まとめ

今回は、顎関節症が治らない原因と対処法について解説をしました。顎関節症はいくつかの原因が組み合わさって発症する複雑な病気であり、適切な治療法も個々のケースで変わってきます。そのため数ヵ月治療を継続しても顎関節症が治らないということも珍しくはないのです。そんな治りづらい顎関節症に悩まされている人は、一度、他の口腔外科を受診してセカンドオピニオンを求めると良いでしょう。もしかしたらより有効な治療法を提案してくれるかもしれません。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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