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顎関節症は温めるべき?セルフケア方法を徹底解説

顎関節症は温めるべき?セルフケア方法を徹底解説

顎関節症は、多くの方が経験する口腔の不調ですが、適切に温めることで症状が緩和されることがあります。この対処法は見過ごされがちですが、実は温めることで下顎のズレや筋肉の緊張を和らげる効果があります。 本記事では、顎関節症の温め方について以下の点を中心にご紹介します。

  • 冷やした方がよい顎関節症
  • 温めた方がよい顎関節症
  • 自分でできるマッサージ方法

顎関節症の痛みを和らげるための温め方について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

冷やした方がよい顎関節症

冷やした方がよい顎関節症

痛みが強い顎関節症の場合、患部を冷やした方がいいですか?
痛みが強い顎関節症の場合、患部を冷やすことは効果的です。急性的な痛みや強い炎症がある場合には、冷やすことで痛みや腫れの軽減が期待できます。例えば、転んで顎をぶつけた場合やものを噛んだ瞬間に痛みが出た場合など、冷やすことで症状を和らげることができます。ただし、冷やしても痛みが続く場合や症状が悪化する場合には、専門医の診察を受けることをおすすめします。

また、急性期の筋肉や筋膜の痛みには冷却は有効ですが、痛みがあるからといって冷却が有効とは限らず、顎関節症のIII型とIV型には冷却が適していない場合があります。そのため、顎関節症の種類に応じた適切な対応をすることが重要です。

患部は何で冷やせばいいですか?
患部を冷やす場合は、氷嚢や冷却ジェルパックなどを使用するのが効果的です。これらはドラッグストアやスポーツ用品店で購入できます。氷嚢や冷却ジェルパックがない場合は、氷をビニール袋に入れ、タオルで包んで代用することも可能です。直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルや布で包んでから使用してください。

一度に冷やす時間は10分を限度とし、これを1日に数回繰り返すことで、炎症や腫れを抑える効果が期待できます。冷やした後は、口をゆっくり開閉し、顎周辺の筋肉を軽くストレッチすると効果的です。

冷やすことで痛みが軽減された後は、患部を温めて血行を促進し、筋肉の緊張をほぐすことが重要です。冷やす・温めるを交互に行うことで、痛みの緩和や症状の改善が期待できます。冷やすだけでなく、適切なセルフケアを行うことで、顎関節症の症状を効果的に管理しましょう。

何分くらい冷やすべきですか?
急性的な痛みや炎症がある場合、患部を冷やすことが効果的です。冷やす時間は10〜15分を目安にしましょう。冷やしすぎると逆にダメージを与える可能性があるため、一度に冷やす時間はこの範囲内に留めることが重要です。

冷やした後、痛みが完全に引かない場合は、1時間ほど間隔を空けて再度10〜15分程度冷やすことを繰り返します。冷やす際には、保冷剤や濡れタオルを使用し、氷を直接肌に当てることは避けてください。凍傷のリスクがあるため、氷は必ずタオルや布で包んでから使用してください。

急性の痛みや炎症を冷やすことで、血流が抑制され、痛みや腫れが軽減される効果があります。痛みが強いときは、顎に負担をかけないように心がけ、柔らかい食べ物を選ぶなどの日常生活での工夫も併せて行いましょう。特に食事は、スープやおかゆ、ヨーグルトなど柔らかいものを選び、果物や野菜は小さく切って調理するのがおすすめです。

温めた方がよい顎関節症

温めた方がよい顎関節症

なぜ痛みが続くとき温めたほうがいいのでしょうか?
痛みが続くときに患部を温めるのは、血液循環を促進し、筋肉の緊張を緩和するためです。慢性的な痛みやだるさが顎関節周辺に現れる場合、筋肉や組織に十分な血流が行き渡らず、酸素や栄養分の供給が不足することが原因となることがあります。温めることで血管が拡張し、血液循環が改善され、酸素や栄養分が効率よく供給されるため、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが緩和されるのです。

しかし、顎関節症のなかでも顎関節円板障害を伴うIII型(復位性および非復位性)やIV型の症状には、この温める方法が適していないことがあります。そのため、顎関節症の具体的なタイプや症状に応じて、適切な対処方法を選択することが重要です。

どのように温めればいいのでしょうか?
顎関節症の痛みを和らげるための温め方をご紹介します。まず、蒸しタオルや温湿布を用意します。蒸しタオルを作るには、タオルを水で濡らし、電子レンジで適度に温めると手軽に準備できます。このタオルを痛みのある顎付近に優しく当ててください。

次に、温めた後に顎周辺の筋肉をリラックスさせるため、手のひらや2〜3本そろえた指先で、痛む場所を円を描くように優しくマッサージします。特に入浴後や温湿布を行った後のタイミングが効果的です。ゆっくりとした動作で、力を入れ過ぎないよう注意してください。これにより血液循環が促進され、痛みが緩和されやすくなります。

また、顎に負担をかけないよう、過度な開閉運動は避け、無理のない範囲で行うことが大切です。温めた後のマッサージは、顎関節症の症状改善に役立ちますが、症状が続く場合は専門医の診察を受けることをおすすめします。

どのくらい温めた方がいいですか?
顎関節症の痛みを和らげるために、患部を温めるのは効果的です。具体的には、蒸しタオルや温湿布を使用します。蒸しタオルを5分ほど当てると良いでしょう。また、温湿布を1日に20分程度当てるのも効果的です。入浴時には熱めのシャワーを患部に10分ほどかけることもおすすめです。ただし、痛みが増す場合はすぐに中止してください。温めることで血液循環が改善され、症状の緩和が期待できます。

自分でできるマッサージ方法

自分でできるマッサージ方法

咬筋マッサージのやり方を教えてください
咬筋のマッサージ方法について説明します。咬筋は、噛みしめや食いしばりの際に大きな負担がかかるため、定期的なセルフケアが重要です。

まず、歯を軽く噛みしめてください。そして、両耳たぶの斜め前あたりにひとさし指を置き、ぷくっと膨らんだ部分を探します。この位置が咬筋です。その場所をひとさし指で円を描くように1分間マッサージします。

次に、例えば右側の顎が痛い場合、右手で頬骨の下を指3本で軽く押し当てるように押さえます。左手で顎の角に向かって、同じ指先の力加減でこするように10回マッサージします。この際、指先に引っかかりを感じた場合は、軽く揺すりながらこすり、引っかかりがなくなるのを感じられればOKです。

これらのマッサージを行うことで、咬筋の緊張を緩和し、顎関節症の症状を軽減することが期待できます。

側頭筋マッサージはどのような手順で行えばいいですか?
側頭筋マッサージの手順について説明します。側頭筋は、下顎のほとんどの動きに関与する重要な咀嚼筋です。以下の手順でセルフマッサージを行い、筋肉の緊張を緩和しましょう。

まず、歯を軽く噛みしめ、側頭部(こめかみ)にひとさし指を置きます。ぷくっと膨らんだ部分を探します。この位置が側頭筋です。その場所をひとさし指で円を描くように1分間マッサージします。

次に、例えば右側の顎が痛い場合、右手で頬骨の下を押さえます。左手で側頭筋を前・中・後ろの3つの部分に分けてマッサージします。

  1. 斜め前方向に向かって、下から上に10回マッサージします。
  2. 垂直方向(上方向)に向かって、下から上に10回マッサージします。
  3. 斜め後ろ方向に向かって、下から上に10回マッサージします。

この方法を実践することで、側頭筋の緊張を効果的に緩和し、顎関節の不快感を軽減することができます。

マッサージは1日何回するのがいいですか?
マッサージの頻度については、朝晩5〜10分ずつ行うのが理想的です。特に有効なのは咬筋マッサージと側頭筋マッサージです。

また、口のストレッチも朝晩5〜10回ずつ行うと良いでしょう。ストレッチは筋肉の血流を良くし、顎の緊張を緩和する効果があります。入浴中やお風呂上がりなど、筋肉が温まっているときに行うとさらに効果的です。

ただし、顎関節の軟骨や靭帯、関節包などが痛む場合は、マッサージやストレッチで悪化することもあるため、必ず医療機関での検査を受けてから行ってください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで顎関節症の痛みを和らげるための温め方についてお伝えしてきました。 顎関節症の痛みを和らげるための温め方の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 痛みが強い顎関節症の場合、患部を冷やすことは推奨されるが、顎関節症のIII型とIV型には冷却が適していない場合があるため、顎関節症の種類に応じた適切な対応をすることが重要
  • 温めることで、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが緩和されることが期待されるが、III型(復位性および非復位性)やIV型の症状には、温める方法が適していないことがあるため、顎関節症の具体的なタイプや症状に応じて、適切な対処方法を選択することが重要
  • 蒸しタオルや温湿布を用意し、また入浴時には熱めのシャワーを患部に10分ほどかけることで症状の緩和が期待できる

顎関節症による痛みは、適切な温めとケアで改善が見込めます。この記事が、痛みの原因と対策を理解し、日々の不快感を軽減するための一助となることを願っています。
顎関節症の痛みを和らげるための温め方に焦点を当て、健やかな日常生活への第一歩を踏み出しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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