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顎関節症で顔は左右非対称になる?顎関節症の治療法やセルフチェックの方法を解説

顎関節症で顔は左右非対称になる?顎関節症の治療法やセルフチェックの方法を解説

顎関節症は、顎の痛みや動かしたときの異音・お口を開けにくいなどの症状が出る病気です。

顎関節症では顎の痛みや異音のほかにも、顔に歪みが生じて左右非対称になることがあります。

顎に何らかの異常があり顔が左右非対称になっている方は、顎関節症の可能性もあります。

本記事では顎関節症の治療法やセルフチェック方法を解説するので、顔の左右非対称が気になる方はぜひご覧ください。

顎関節症で顔は左右非対称になる?

顎が痛い女性

顎関節症で顔が左右非対称になる可能性はありますか?
顎関節症は、主に以下の症状が現れる病気のことです。

  • 顎の関節や顎を動かす咀嚼筋の痛み
  • 顎を動かしたときに関節が鳴る
  • お口を開けにくい

顎関節症には種類があり、顎関節を構成している骨が変形する変形性顎関節症という種類があります。変形性顎関節症では下顎の骨に変形が生じるケースが多く、顔が歪んで左右非対称になることがあります。変形顎関節症は、顎関節症に長期間かかっている方や高齢の方に多くみられる顎関節症です。また、片側の歯でばかり噛む癖や頬杖などの日頃の癖が、顎関節症の原因となることがあります。顎に負担がかかる癖を続けると特定の部分に力がかかり、骨や関節に歪みが生じて左右非対称になることもあります。

顎関節症以外で顔が左右非対称になる疾患があれば教えてください。
顎関節症以外では、顎変形症も顔の左右非対称を生じる疾患です。顎変形症は、顎骨のズレや形・大きさのバランスが崩れた状態で、顔の変形や噛み合わせ異常がみられます。遺伝的要素が原因と考えられていますが、原因がはっきりしないことも少なくありません。顎が成長する段階で骨格のバランスが崩れ、成長するにつれて変形が目立ってきます。顎変形症は、受け口(下顎が前に出ている)や出っ歯など、顎の骨格による歯並び・噛み合わせ異常がみられるのが特徴です。また、顎骨のズレによって顔の左右非対称が生じます。顎変形症の患者さんに、顎関節の痛みやお口の開けにくさなどの顎関節症の症状がみられることもあります。
顔の左右非対称が気になったら何科を受診すればよいですか?
顔の左右非対称が気になる場合は、口腔外科を受診するとよいでしょう。顔が左右非対称になっているのは、顎関節症や顎変形症の可能性があります。口腔外科は、顎関節症や顎変形症を専門に扱う診療科です。顎関節症や顎変形症で顔が左右非対称になっている場合は、外科的処置が必要になるケースがあるため、外科的処置も可能な口腔外科の受診がおすすめです。

顎関節症の診断と治療方法

カウンセリング中

顎関節症はどのように診断されますか?
顎関節や筋肉の痛み・お口を開けにくい・顎を動かしたときの異音の症状があり、同じような症状が出るほかの病気ではないと判断できるときに顎関節症と判断します。顎関節症は、噛み癖や食いしばりなどの生活習慣が原因で発症するケースが少なくないため、問診で症状が出た経緯や症状の変化のヒアリングが大切です。その後に以下のような検査をし、同じような症状が出るほかの病気ではないか確認します。

  • 顎関節の動きの検査
  • 咀嚼筋の検査
  • レントゲン検査
  • (必要に応じて)MRI検査

レントゲン検査では、顎骨の異常を調べます。MRI検査は、顎関節内部にある関節円板(クッションの役割があるやわらかい組織)や筋肉などの異常の有無をチェックする検査です。顎関節症でよくみられる痛みやお口の開けにくさは、がんや外傷・親知らずの炎症などのほかの原因でも生じることがあるので、検査でほかの原因を除外します。

顎関節症の治療方法を教えてください。
顎関節症の治療では、顎関節の機能正常化と痛みの緩和のために以下のような治療をします。

  • スプリント療法(マウスピース)
  • 行動療法(生活習慣の見直し)
  • 薬物療法(鎮痛薬・筋弛緩薬)
  • 理学療法(マッサージ)
  • 運動療法(ストレッチ)
  • 外科手術

通常は、スプリント療法・生活習慣の見直し・痛みの緩和を中心に行います。スプリント療法はマウスピースを装着し、睡眠中の無意識な食いしばりや歯ぎしりによる顎への負担を軽減する治療法です。マウスピースを上顎もしくは下顎に装着して顎にかかる力を均等にし、少しずつ顎関節を正常な位置に戻して咀嚼筋の緊張を和らげていきます。顎関節の構造や位置が安定してくれば、顎をスムーズに動かせるようになるでしょう。顎関節症は食いしばりや歯ぎしりが原因となることもあるため、顎に負担をかけないよう患者さんの生活習慣を見直すことも重要です。普段の生活では、以下のような点に注意しましょう。

  • 噛みしめや歯ぎしりなど顎に負担がかかる癖を治す
  • 硬いものを食べない
  • 大きくお口を開けない
  • 急にお口を開けない

あくびをする際は下顎を拳で押さえる・食べ物は小さく切って食べるなど、お口を大きく開けないよう工夫しましょう。痛みが強い場合は、薬物療法で痛みを緩和します。改善を早めるためには、筋肉の電気マッサージ(マイオモニター療法)や湿布による血行促進や、開口訓練による筋肉のストレッチが効果的です。重症の場合は、外科手術が必要になるケースもあります。

顎関節症で手術が行われるのはどのようなケースですか?
スプリント療法や行動療法・薬物療法などで改善されない場合は、外科的な処置をする場合があります。外科的手術が必要になるケースは多くありません。顎関節症の治療で行う外科的処置には、以下のようなものがあります。

  • パンピングマニピュレーション:局所麻酔をして顎を手で動かしズレを治す
  • 顎関節腔洗浄法:2本の注射針を通して関節の中を生理食塩水で洗浄する
  • 外科的手術:全身麻酔後に関節を切開手術もしくは内視鏡手術

パンピングマニピュレーションは関節円板のズレが大きい場合、顎関節腔洗浄法は顎関節の炎症がひどい場合に行います。外科的手術が必要なのは、関節円板が癒着して動かない場合変形がひどい場合などです。

顎関節症の予防とセルフチェック

顎が痛い女性

顎関節症の予防でできることはありますか?
顎関節症は、顎に負担がかかる癖や生活習慣が原因で発症するケースが少なくありません。そのため、顎の負担になるような生活習慣を知り改善を図ることが予防に効果的です。顎関節症を予防するために、普段の生活で以下のような点に注意しましょう。

  • 頬杖をつかない
  • 意識して食いしばりを減らす
  • スマートフォンの長時間使用を避ける
  • 爪や筆記用具を噛まない
  • うつぶせ寝をしない
  • 硬い食べ物は控える
  • 左右バランスよく噛む
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスを溜め込まない

顎に負担をかける癖や生活習慣は無意識のうちに行っていることがあるので、意識して避けることが大切です。歯ぎしりや食いしばりが気になる場合は、かかりつけの歯科医院や口腔外科に相談しましょう。

セルフチェックの方法を教えてください。
顎関節症になっていても自覚症状がないケースもあり、知らないうちに顎関節症になっていることがあります。以下に顎関節症がどうかセルフチェックするポイントを挙げるので、あてはまる項目がないかぜひチェックしてみてください。

  • 食事や長時間話した後に顎がだるい・疲れる
  • 顎を動かすと痛い
  • 硬いものを食べると顎が痛い
  • 耳の前・こめかみ・頬が痛い
  • お口を大きく開けられない(人差し指から薬指までの3本分が目安)
  • 顎がひっかかって動かないことがある
  • お口を動かすと耳の前でカクンと音がする
  • お口を大きく開けるときに顎が曲がる
  • 顎・首・頭を打った
  • 噛み合わせが変わった
  • 頭痛や肩こりが頻繁に起こる

複数あてはまる項目がある場合は顎関節症の可能性があるので、顎関節症を専門に扱う口腔外科を受診しましょう。

編集部まとめ

顎を気にする女性
本記事では、顎関節症で顔が左右非対称になるのか、顎関節症の治療法や予防法を解説しました。

顎関節症の主な症状は顎の関節の痛みや動かしたときの音、お口の開けにくさですが、顎骨や関節の歪み・ズレによって顔の左右非対称が生じることもあります。

顎関節症は、顎に負担がかかる生活習慣が原因となることが少なくありません。

顎に負担をかけるような癖や生活習慣がある場合は、ぜひ見直して顎関節症を予防・改善しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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