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顎関節症で腫れることはある?具体的な症状からほかに疑われる病気まで解説!

顎関節症で腫れることはある?具体的な症状からほかに疑われる病気まで解説!

顎が腫れる症状は、いろいろな病気で見られます。最もわかりやすいのは親知らずによる炎症ですが、そのほかにも歯根嚢胞(しこんのうほう)や顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)、顎下リンパ節炎なども疑われます。また、顎関節症という病気でも顎が腫れることがあるため、正確な診断は医療機関に任せた方が良いといえるでしょう。ここではそんな顎関節症で顎が腫れるケースを中心に詳しく解説します。

顎関節症とは

顎関節症とは

顎周辺が痛いのですが、顎関節症でしょうか?
顎関節症である可能性が考えられます。顎周辺の痛み以外に、口を大きく開けられない、口を開けた時にカクンと音が鳴るといった症状を伴っている場合は、顎関節症を発症している可能性が高いため、歯科や口腔外科の受診を推奨します。上述した症状が見られない場合は、そのほかの病気や異常が潜んでいるかもしれません。いずれにせよ顎周辺の痛みが長く続くのであれば、医療機関を受診してください。
顎関節症の原因は何ですか?
顎関節症の原因としては、歯ぎしりや食いしばり、悪い噛み合わせ、外傷、頬杖をつくなどの悪習慣、TCH(歯列接触癖)などが挙げられます。この中のいずれか一つが原因となるケースは珍しく、いくつかが複合的に作用することで顎関節症を発症するケースが多いとされています。
顎関節症の種類について教えてください。
顎関節症の種類は、以下の4つに大きく分けられます。

種類1:咀嚼筋障害
食べ物を噛む時に使う咀嚼筋に炎症反応が起こり、顎の痛みや腫れをもたらすタイプです。咬筋(こうきん)や側頭筋を酷使することで発症するため、それらの筋肉を休ませることが重要となります。この記事で取り上げている“顎の腫れ”も、このタイプで見られやすい症状です。

種類2:関節円板や関節包靭帯の異常
顎関節には、関節円板や関節包靭帯(かんせつほうじんたい)といった軟組織が分布しています。これらに炎症反応や変形、損傷などが起こると、顎関節がスムーズに機能しなくなり、開口障害や閉口障害、関節雑音を引き起こします。

種類3:顎関節の摩耗や変形
顎の関節の骨が摩耗したり変形したりすることでも、顎関節の機能に障害が生じます。重症例では顎変形症にまで発展するため、十分な注意が必要です。

種類4:顎関節の動きの異常
口を開けた時にカクンと鳴ったり、口を大きく開けられなかったりするタイプの顎関節症です。これらは、上述した顎関節の異常によってもたらされる運動異常です。

顎関節症が疑われる場合に注意すること

顎関節症かもしれない時に注意すべきことはありますか?
顎関節に大きな負担をかけないよう心がけることが大切です。具体的には、歯ぎしりや食いしばり、頬杖をつく、硬いものを噛む、口を大きく開けるなどの行為は控えましょう。顎関節に過剰な運動を強いると、炎症反応などが強まってしまいます。同時に、可能な限り早く専門の医療機関で診察を受けるようにしてください。
顎関節症かもしれない時の食事はどうすれば良いですか?
硬いものは避けて、あまり噛まずに飲み込めるものを選ぶようにしてください。咀嚼する時は、前歯ではなく両側の奥歯をバランスよく使って、ゆっくり噛むことが大切です。
顎が痛い時でも普段通りに生活しても大丈夫でしょうか?
顎関節に大きな負担をかける心配がないのであれば、普段通りに生活していても問題ありません。体を激しく動かすスポーツや寒い場所での運動、顎に強い衝撃が加わる格闘技などは、当然ですが顎の痛みや腫れを強めることになるため、控えてください。自己判断で顎をマッサージしたり、市販のマウスピースを使って症状の改善をはかったりすることは、かえって病状を悪くする場合があるため、積極的な治療を試みるのであれば医療機関を受診してください。

顎関節症の治療法

顎関節症の治療法

顎関節症の治療法にはどのようなものがありますか?
理学療法や薬物療法、スプリント治療などが挙げられます。軽度の顎関節症であれば、セルフケアだけで対応できる場合もあります。
スプリント治療とはどんな治療法ですか?
スプリントと呼ばれるプラスチック製のマウスピースを夜間に装着する治療法です。それぞれの口腔内の状態に合わせて作ったマウスピースを装着することで、下顎を正常な位置へと誘導します。歯ぎしりや食いしばりが抑制されて上下の歯列の噛み合わせも安定するため、顎関節への負担も減少します。スプリント治療は6〜12ヵ月ほど継続することで、顎関節症の症状の改善が見られるようになります。
ボトックス治療について教えてください。
ボトックス(ボツリヌストキシン製剤)治療とは、ボツリヌス菌から抽出したタンパク質を注射によって投与する治療法です。咀嚼筋の過剰な運動が原因で顎関節症を発症しているケースに有効です。ボツリヌストキシン製剤は美容外科の分野でも広く活用されているほか、眼瞼痙攣などの治療用として承認されています。顎関節症では咬筋にボトックス注射を打つことで、咀嚼筋の痛みや腫れ、機能障害を改善できます。

頬や顎の腫れで疑われるほかの病気

頬や顎の腫れで疑われるほかの病気

顎関節症以外で頬や顎が腫れる病気にはどんなものがありますか?
顎関節症以外では、むし歯、歯周病、智歯周囲炎(ちししゅういえん)、顎骨骨髄炎、顎下リンパ節炎、風邪、おたふく風邪などが原因で、頬や顎が腫れる場合があります。

◎むし歯
むし歯が重症化して細菌感染が歯茎にまで広がった場合に、頬や顎が腫れることがあります。これを歯性感染症といいます。後段で説明する顎骨骨髄炎や顎下リンパ節炎などは、歯性感染症の一種です。むし歯は歯が溶ける病気ですが、放置していると顎が腫れるほどの深刻な病気に発展しかねないため、十分な注意が必要です。

◎歯周病
重症化した歯周病では歯茎が広範囲に腫れます。それが頬や顎にまで広がることもあります。歯周病は歯茎や頬、顎に腫れをもたらすだけでなく、心筋梗塞や糖尿病、誤嚥性肺炎といった深刻な全身疾患を誘発するリスクを伴うため、重症化する前に治療を受けることが大切です。

◎智歯周囲炎
親知らずの歯周病で、顎が大きく腫れるケースが多々あります。親知らずがある部位に腫れが認められるかどうかがポイントとなります。親知らずが斜めに生えていたり、半分埋まっていたりする場合は清掃性が悪く、歯垢や歯石がたまりやすくなっていることから注意が必要です。普段から親知らずの周りが不潔になっている人は、智歯周囲炎を予防するためにも歯科検診やメンテナンスを定期的に受けるようにしてください。

◎顎骨骨髄炎
顎の骨の骨髄に炎症反応が生じる病気です。むし歯や歯周病を放置することで発症しやすい病気であり、顎が広範囲に渡って腫れます。

◎顎下リンパ節炎
顎の下にあるリンパ節に炎症が起こる病気です。顎骨骨髄炎と同様、むし歯や歯周病の重症化で合併することが多い病気です。顎下リンパ節周辺が大きく腫れます。

◎風邪・おたふく風邪
風邪やおたふく風邪をひくと、ウイルス感染の影響で耳の下にあるリンパ節が腫れることがあります。そこは顎関節に近いということもあり、開閉口時や咀嚼時に痛みを伴う場合もあるでしょう。こめかみから顎にかけて腫れるケースも珍しくないため、顎関節症と勘違いするかもしれませんが、風邪やおたふく風邪の場合は発熱、全身倦怠感といった全身症状も伴うため、比較的鑑別しやすいはずです。

顎や頬が腫れている場合は何科を受診すべきですか?
風邪やおたふく風邪は内科、それ以外は歯科で診断を受けることができます。重症度が高い場合は、口腔外科のある歯科医院を受診しましょう。はじめから大学病院などの大きな医療機関を受診することはできないため、まずは近くの歯科を受診することになります。

編集部まとめ

今回は顎が腫れた場合に疑われる病気について、顎関節症を中心に解説しました。顎関節症になると顎に炎症反応が起こることから、その周辺に痛みや腫れが生じます。関節雑音や開口障害などを伴っている場合は、顎関節症である可能性が極めて高いです。顎の腫れ以外に顎関節の症状が認められない場合はむし歯や歯周病、風邪なども原因として考えられるため、まずは専門家に診てもらうことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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