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ストレートネックは顎関節症の原因になる?顎関節症の症状や治療法も解説

ストレートネックは顎関節症の原因になる?顎関節症の症状や治療法も解説

現代人に多いとされているストレートネックは、顎関節症の原因になることをご存知でしょうか。

ストレートネックはスマートフォンやパソコンなどを使用し、長時間同じ姿勢でいる機会が多い方がなりやすい骨格の変化です。

姿勢が崩れることで、首やその周辺の筋肉に過度な負担が加わり首の湾曲がなくなり真っすぐになった状態をいいます。

20代から30代の女性で、顎関節の痛みやがくがくといった雑音を自覚する人が多い傾向にあります。

ストレートネックがどのようにして顎関節症の原因になるのか、顎関節症の症状や治療法もこの記事で詳しく解説します。

ストレートネックや顎関節症について知りたい方は、最後までご覧ください。

ストレートネックとは

首を触る人

ストレートネックとはどのような状態ですか?
ストレートネックとは、本来の首の自然な湾曲がなく、首がまっすぐになった骨格の状態をいいます。
首の骨(頸椎)は、横から見ると緩やかに前方へ向かってカーブしているのが理想です。しかし、さまざまな原因で頸椎がまっすぐになったり、後方にカーブができたりすることがあります。この状態がストレートネックです。
ストレートネックの原因を教えてください。
ストレートネックになる原因として、日常生活のなかで肩・首・背中に負担がかかる姿勢を続けていることが挙げられます。現代の私たちの生活に欠かせないスマートフォンやパソコンを、同じ姿勢での長時間の使用も原因のひとつであるとされています。
ストレートネックはスマホ首ともいわれており、耳にしたことがあるのではないでしょうか。スマートフォンやパソコンを使用しているときの姿勢を思い出してみてください。顔が下を向いていたり、画面を集中して見るため顔が前に突き出ていたりしていませんか。
そのような姿勢を長時間続ける生活を続けていると、首の湾曲が失われ真っすぐな状態になります。湾曲した頸椎とその周辺の筋肉が、約5〜6kgある頭を力を分散させ支えています。しかし、ストレートネックになると頭の重みを支えきれなくなり、肩こりや頭痛などの症状が現れるのです。
ストレートネックは顎関節症の原因になりますか?
ストレートネックは顎関節症の原因になります。
顎関節症は、顎の関節やその周囲の筋肉に痛みや機能不全を起こす状態です。ストレートネックは首の湾曲がなく、頭が前に突き出た姿勢になります。そのため、顎の関節や咀嚼筋に負荷がかかり、筋肉に過度な緊張を与えるため顎関節症を引き起こす可能性が高くなります。
また、首の位置が悪化することで、周囲の神経にも影響を与える場合があるのです。顎の動きや感覚に関係する神経が圧迫されると、顎関節症の症状の原因となるでしょう。ストレートネックによって頭の位置が変わると上下の歯の噛み合わせにも影響を与えます。
噛み合わせがずれると、顎関節に不均等に力が加わることで顎関節症になることがあります。

顎関節症の症状・治療法

診察を受ける女性

顎関節症はどのような症状が出ますか?
顎関節症の代表的な症状は以下の3つです。
  • 顎関節痛・咀嚼筋痛(顎が痛む)
  • 開口障害(口が開かない)
  • 顎関節雑音(顎を動かすと音がする)

思い当たる症状がある方は、顎関節症の可能性があります。硬いものが噛めない・大きな食べ物が食べにくい・顎の音が気になるなどが主な症状です。
このほかにも顎関節症により引き起こされる症状には、以下の症状が挙げられます。

  • 頭痛・首の痛み
  • 耳鳴り・耳の詰まり感・耳周辺の痛み
  • 顔の腫れ・痛み
  • めまい

顎関節は頭や耳の近くにあるため、頭痛や耳鳴りなどの症状の原因になることがあります。周囲の筋肉や神経に影響を及ぼすため、顔が腫れたりめまいが起きたりする可能性があるのです。

セルフチェックする方法を教えてください。
顎関節症の症状に、十分にお口が開けられない開口障害があります。
手の人差し指・中指・薬指を揃えて並べた幅よりもお口が開くかどうかで、開口障害であるか確認できます。3横指が入らない場合は、顎関節症である可能性が高いでしょう。
また、顎を動かしたときに音が出る場合も、顎関節症かもしれません。
顎関節症にはいくつかのタイプがあると聞いたのですが…。
顎関節症は4つのタイプに分類されます。
  • 1型:咀嚼筋痛障害
  • 2型:顎関節痛障害
  • 3型:顎関節円板障害
  • 4型:変形性顎関節症

1型の咀嚼筋痛障害とは、顎の筋肉(咬筋・側頭筋など)を使いすぎた筋肉痛の状態です。こめかみの痛み・頭痛・首や肩の痛みが生じます。
2型の顎関節痛障害とは、顎関節靭帯に異常が生じた顎が捻挫した状態です。大きく口を開けすぎたり、固いものを食べたり、歯ぎしりや食いしばりが原因で起こります。顎関節は耳に近い位置にあるため、耳の痛みを訴える方も多いのが特徴です。
3型の顎関節円板障害は、上顎の骨と下顎の骨の間にある関節円板というクッションの役割をしている部分の位置がずれてしまっている状態です。カクカクやグリグリという関節音・お口を開け閉めする際の違和感や痛み・お口が開かない(開口障害)などの症状が見られます。
4型の変形性顎関節症は、顎関節の骨の変形や損傷が原因で生じます。顎関節の摩耗・軟骨の損傷や炎症が主な原因です。

どのように診断されますか?
顎関節痛・咀嚼筋痛(顎が痛む)・開口障害(お口が開かない)・顎関節雑音(顎を動かすと音がする)4つのうち1つ以上の症状があり、同じような症状が出ることがある場合、顎関節症と診断されます。患者さんに問診を行い、上記の症状がないかを確認するのです。
その後、顎の動きの検査・顎や咀嚼筋の痛みの有無・レントゲン検査・MRI検査などを必要に応じて行います。顎関節症以外の疾患がないかを調べ顎関節症の診断を行うのが一般的です。
また、痛みを生じる原因は身体的な傷害だけではなく、心理的・社会的な要因も影響している場合があります。そのため、心理テストを用いて精神的な原因がないか検査する場合もあります。
治療方法を教えてください。
顎関節症の治療方法には、生活指導・理学療法・薬物療法・アプライアンス療法があります。顎関節症は、日常生活での行動や癖が影響している場合が多く、患者さんが意識して改善すると症状が軽減する場合があります。
固いものを食べるのを控える・頬杖や猫背をやめる・上下の歯が接触していないか気にする・ストレスや緊張を感じる場面を避けるなどを意識するとよいでしょう。
理学療法には、筋肉のマッサージ・温罨法・低周波による電気刺激などの物理療法と、筋肉や靭帯などのストレッチ・下顎可動化訓練・筋力増強訓練などの運動療法があります。医師の指導のもと、正しい方法で行われる治療法です。顎関節や咀嚼筋の痛みを伴う場合には、消炎鎮痛薬により痛みの軽減を図ります。
患者さんの状態や症状により薬の種類や用法などを調整し、状態が改善されるか経過観察します。改善しない場合には、ほかの治療方法や原因を考慮しなければいけません。

ストレートネックを予防する方法

ストレッチをする男性

ストレートネックを予防するために注意すべきことはありますか?
ストレートネックを予防するためには、日常生活のなかで姿勢に気を付けることが大切です。
首や背中などに過度な負担を与えないように、姿勢や生活動作に意識を向けるようにしましょう。スマートフォンやパソコンを使用する際には、以下のことに気を付けるようにしましょう。
  • 画面との距離は40cm以上離す
  • 胸を張って、顎を引いた姿勢で操作する
  • 作業1時間おきに10~15分程度の休憩をする
  • スマートフォンを両手で持ち、手の位置は高くする
  • 首や肩のストレッチをする

注意したい姿勢は、猫背の姿勢・目線が下向きになる姿勢・長時間同じ姿勢の3つです。
つい作業に集中しすぎてしまうと、同じ姿勢で長時間過ごしてしまう場合があります。スマートフォンやパソコンを利用する際には、意識的に姿勢や使用時間に注意し首・肩・背中などに負担をかけ疲れを残さないよう注意しましょう。

ストレートネックの予防に効果的なストレッチを教えてください。
ストレートネックを予防するためは、首周り・肩甲骨・胸鎖乳突筋のストレッチが効果的です。
凝り固まった首周りをほぐすことで、首やその周辺の筋肉の緊張を緩和し元の位置に首の骨が戻りやすくなり、痛みの改善にもつながります。頭を左右に倒す側屈ストレッチでは、首の横にある斜角筋(しゃかくきん)をほぐせます。
また、頭を左右に回す回線ストレッチでは、頭蓋骨・鎖骨・胸骨へとつながっている胸鎖乳突筋を刺激し、顔が下へ引っ張られるのを予防できるでしょう。
長時間のデスクワークやスマートフォンの操作などで同じ姿勢で過ごした後は、意識的に首周りの筋肉をほぐすストレッチをしましょう。

編集部まとめ

ストレッチ 女性

ストレートネックは、顎関節症になる原因のひとつです。

スマートフォンやパソコンを日常的に使用する機会が多い現代人は、知らず知らずのうちに姿勢が崩れ、首やその周辺の筋肉に過度な負担をかけています。

首への負担が大きくなると顔が前に突出する姿勢となり、首の湾曲がなくなり首の骨が真っすぐなストレートネックになります。

ストレートネックの状態が続くと、筋肉の炎症や関節円板のずれなどにつながり顎関節症になるリスクが高くなるので注意が必要です。

日常生活で正しい姿勢を意識し、首や肩などの筋肉をほぐすストレッチを取り入れることで、ストレートネックを予防し顎関節症になるのを防ぎましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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