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顎関節症は自然に治る?顎関節症のメカニズムから治療法まで解説

顎関節症は自然に治る?顎関節症のメカニズムから治療法まで解説

口を開けた時にカクンと音が鳴ったり、開けにくさを感じたりする。そもそも口を大きく開けられない。そんな症状に悩まされている場合は、顎関節症が疑われます。そんな顎関節症は自然に治すことはできるのか。放置していても問題ないのか。本記事では、そのような疑問に対して、顎関節症という病気のメカニズムや症状、治療法などを詳しく解説します。

顎関節症は自然に治るのか

顎関節症は自然に治るのか

顎関節症は自然に治ることはありますか?
顎関節症は時間の経過とともに症状が軽くなっていくことがある病気です。また、症状が軽く、日常的な習慣が原因となっているケースでは、ある程度時間の経過で改善が見込めます。けれどもそれはあくまで一部の症例であるため、基本的には専門の医療機関で顎関節症の治療を受けることが推奨されます。

また、顎関節がそれまでに受けたダメージを自力で取り除くことはできません。具体的には、損傷を受けた関節円板や下顎頭、関節包靭帯は、自然に治りません。中等度から重度の顎関節症は自分の力で治すことは不可能といっても間違いではなく、軽度の場合でも自力で治すことが難しい場合があるので、必ず専門家の診察を受けるようにしましょう。

顎関節症の場合の食事ではどういった点に気をつけるべきですか?
顎関節症の場合、硬いものを避けて、柔らかい食事をとるようにしましょう。硬い肉や、ガムなどは避けて、お粥やうどんなど柔らかい食べものに切り替えてください。
生活習慣で気をつけるべきことを教えてください。
顎関節症は、さまざまな行動学的要因がその症状を悪化させることがわかっています。最も注目すべきは、必要がないにも関わらず上下の歯を接触させ続ける「歯列接触癖」です。その他、自己流ストレッチや市販マウスピースの使用、噛み方の癖やうつぶせ寝なども顎関節症の症状を悪化させる生活習慣の一因となります。

顎関節症について

顎関節症になるメカニズムについて教えてください。
顎関節症は、文字通り顎にある「顎関節」に異常が現れる病気です。顎関節は、上顎骨と下顎骨とをつなぐ場所で、開閉運動やそしゃく運動の際に大きな負担がかかります。この負担が過剰になることで、発症します。一般的には10〜20代の女性に好発し、年を重ねるごとに症状が軽くなっていくケースも少なくない病気で、現状でも解明されていない部分が多々あります。
顎関節症の症状を教えてください。
顎関節症が疑われる人は、次の症状が当てはまるかどうかをチェックしてみましょう。ひとつでも当てはまる症状がある場合は、顎関節症を発症している可能性が高いため、一度、歯科医院で診察を受けることを推奨します。

・口を開けると痛みがある
口を開けた時に、こめかみ付近に痛みを感じる場合は顎関節症が疑われます。顎関節を構成する骨や関節円板、その周囲の筋肉に何らかの異常が生じているため、痛みという警告のサインが出ているのです。

・口が開かない
口が開かない症状を開口障害(かいこうしょうがい)といいます。口が開かないと聞くと、会話や食事はおろか、呼吸すら困難になるようなイメージを抱いてしまいますが、実際はそんなことはありません。顎関節症で見られる開口障害は、人差し指・中指・薬指の3本を縦に重ねて、それが口の中に入らない程度の開きにくさを指しているからです。開口障害に心当たりがある人は、自分の指で開口量を測ってみましょう。前述した3本の指が入らない場合は、顎関節に何らかの異常が生じている可能性があります。

・口を開閉すると音がする
口を開け閉めする時、こめかみ付近でカクカクと雑音が鳴る場合は、関節円板という軟らかい組織が本来の位置からズレている可能性があります。関節円板は、顎関節の運動をスムーズにするために働くクッションのような組織なので、それが本来の位置から外れてしまうと、痛みや腫れ、咀嚼障害を引き起こすようになります。関節雑音が気になって繰り返し口を開閉していると、症状がさらに悪化することから注意が必要です。

顎関節症になる原因にはどのようなものがありますか?
顎関節症は、これまで不適切な噛み合わせが主な原因とされてきましたが、顎関節症の原因は単一ではなく、多くの要因が組み合わさる「多因子病因説」が世界的に認められています。主な原因としては、次の5つが挙げられます。

原因1:TCH(歯列接触癖)がある
食事の時以外でも上下の歯列を接触させてしまう習癖です。食べ物を介在させずに歯が直接接触することから、歯はもちろんのこと、歯周組織や顎関節にも多大な負担がかかります。スマホやパソコンの画面をじっと見つめている時に起こりやすい症状で、近年、急速に増えている悪習癖です。

原因2:強いストレスや緊張に晒される
社会生活の中で、強いストレスや緊張に晒される場面は多々あります。そんな時に歯ぎしりや食いしばりをすると、顎関節に大きな力が加わって、顎関節症を誘発することになります。

原因3:顎に負担のかかる悪習慣
歯ぎしりや食いしばり以外にも頬杖をつく癖や片側だけで噛む癖、うつ伏せ寝といった習慣も顎関節に大きな負担がかかることから、顎関節症の発症リスクを高めます。

原因4:転んで顎を強打する
転んだ際に顎を強打すると、その衝撃が顎関節へとつながって痛みや炎症を引き起こします。顎関節を構成する骨や軟組織に不可逆的な異常が生じた場合は、顎関節の機能を障害して、痛みや関節雑音などを引き起こすようになります。

原因5:噛み合わせに異常がある
上下の噛み合わせに異常がある不正咬合(ふせいこうごう)も顎関節症の原因となる場合があります。なぜなら不正咬合では特定の歯に噛んだ時の力が集中するため、咀嚼運動の支点となる顎関節にその影響が及びやすいからです。

顎関節症の治療

顎関節症の治療

顎関節症のセルフケアにはどのようなものがありますか?
顎関節症では、上下の歯列が不必要に接触するTCHが最大の原因となっているケースが多いです。そのためまずは自分にTCHがあるかどうかを確認しましょう。目をつぶって口を軽く閉じた時に、上下の歯列が接触している場合はTCHを持っている可能性が高いため、普段からその習慣を取り除くよう努力しましょう。その他、歯ぎしり・食いしばり、片側だけで噛む癖、頬杖をつく癖、うつ伏せ寝なども意識的に改善することは可能です。
顎関節症のような症状がでたら何科を受診すれば良いですか?
顎関節症は、基本的に歯科・口腔外科の専門領域です。とくに大学病院や市民病院のような大きな医療機関に設置されている口腔外科は、外科手術も含めた顎関節症の治療を行うことができます。軽度の顎関節症の診察や治療であれば、一般の歯科医院でも可能です。その他、一部の整形外科でも顎関節症の診療に対応しています。
顎関節症の治療方法について教えてください
軽度の顎関節症であればセルフケアが中心となります。積極的な治療が必要な場合は、理学療法や薬物療法、スプリント療法などを実施します。

・理学療法
顎関節症における理学療法は、主に顎周囲の筋肉の緊張を取り除く際に行われます。痛みや凝りが出ている部分に電流を流したり、理学療法士がマッサージしたりすることで、筋肉の血流が良くなります。その結果、咀嚼筋痛などが改善されます。

・薬物治療
薬物療法では、筋肉の緊張をほぐす薬を投与したり、痛みを緩和する薬を服用したりします。普段から服用している薬がある場合は、事前に歯科医師に伝えておきましょう。薬は飲み合わせによって思わぬ副作用をもたらす場合があるからです。

・スプリント治療
スプリント療法とは、マウスピース型の装置であるスプリントを就寝時に装着し、下顎の位置を改善すると同時に、顎関節への負担を軽減します。それによって上下の歯列が均等に接触するようになると、顎関節症の症状も徐々に改善されていきます。

編集部まとめ

本記事では、顎関節症という病気のメカニズムや症状、治療法を解説しました。顎関節症は、放置していても治るような簡単な病気ではありません。少なくとも、生活習慣の改善やセルフマッサージを正しく行う必要があります。重症化すると、治療にお金も時間がかかるので早期治療を心がけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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