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顎関節症は食いしばりが原因?セルフチェックの方法や治療法もまとめました

顎関節症は食いしばりが原因?セルフチェックの方法や治療法もまとめました

顎関節症は、顎の関節に痛みやこわばりを感じる疾患で、日本人の4人に1人が悩まされていると言われています。顎関節症の原因はさまざまですが、中でも「食いしばり」が大きく関係していることをご存知でしょうか。食いしばりは、日常生活の中で無意識に行っている習慣の一つですが、これが顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こす可能性があるのです。本記事では、顎関節症と食いしばりの関係や、セルフチェックの方法、治療法などについて詳しく解説していきます。

顎関節症と食いしばりの関係

顎関節症と食いしばりの関係

食いしばりは顎関節症の原因になりますか?
はい、食いしばりは顎関節症の主な原因の一つです。食いしばりとは、上下の歯を強く噛み締める状態のことを指します。ストレスを感じたときや、集中しているとき、眠っている間などに無意識に行ってしまうことが多いのが特徴です。また、強い力でなくても、極端に長時間上下の歯が接触している場合には食いしばりがあると診断される場合があります。
この食いしばりにより、顎の筋肉が緊張状態になり、顎関節に負担がかかります。また、歯を強く噛み締めることで、歯の表面が削れたり、痛みを感じたりすることもあります。
長期的に食いしばりを続けることで、顎関節症を発症するリスクが高くなるのです。特に、日中だけでなく、夜間の睡眠中に食いしばりをしている場合は要注意です。
顎関節症の食いしばり以外の原因を教えてください。
顎関節症には、食いしばり以外にもさまざまな原因があります。まず、歯ぎしりも顎関節症の原因となります。歯ぎしりは主に睡眠中に無意識に行われ、歯を強く噛み締めたり、横に擦ったりする動作を繰り返します。これにより、顎関節や周囲の筋肉に大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こします。

また、不正咬合という歯並びや噛み合わせの異常も顎関節症の原因の一つです。上下の歯が正しく噛み合わさらないことで、顎の動きにズレが生じ、顎関節に負担がかかるのです。

顎や顔面への外傷や事故によって、顎関節が損傷を受けることもあります。顎関節の骨折や靭帯の損傷などが生じると、顎の動きに制限が生じ、痛みやこわばりといった顎関節症の症状が現れます。

さらに、長時間にわたって悪い姿勢でいつづけたり、パソコンやスマートフォンの使用時に顎に手を当てる癖がある場合などにも、顎関節症のリスクが高まると言われています。

顎関節症の治療方法

食いしばりを改善できる顎関節症の治療法はありますか?
はい、食いしばりを改善するための治療法はいくつかあります。まず、マウスピースを使用する方法が挙げられます。マウスピースを装着することで、無意識の食いしばりを防ぐことができます。歯科医師に相談し、自分の口に合ったマウスピースを作ってもらうのが効果的です。

また、ストレスマネジメントも重要な治療法の一つです。ストレスが食いしばりの原因になっている場合、ストレス解消法を実践することで症状の改善が期待できます。ヨガや瞑想、運動など、自分に合ったストレス解消法を見つけることをおすすめします。

ほかにも、顎の筋肉をほぐすストレッチや、顎に負担のかからない食事法なども、食いしばりの改善に役立ちます。

顎関節症の治療法について教えてください。
顎関節症の治療法は、症状の程度や原因によって異なります。軽度の顎関節症の場合は、自己管理による治療が中心となります。具体的には、患部を冷やすアイシング、軟らかい食事、十分な睡眠、ストレス管理などです。また、顎の筋肉をほぐすストレッチや、マッサージも効果的です。

中等度以上の顎関節症の場合は、歯科医師による専門的な治療が必要です。投薬による痛みの緩和、マウスピースを用いて顎関節の位置を整えるスプリント療法などが行われます。

重度の顎関節症では、外科的な治療が検討されることもあります。顎関節鏡下手術や、関節円板を整復する手術などが該当します。

いずれの場合も、早期発見・早期治療が大切です。顎の違和感や痛みを感じたら、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。

自分が顎関節症かセルフチェックする方法はありますか?
顎関節症の可能性を自分で確認するためのセルフチェック方法をいくつかご紹介しましょう。まず、顎の動きに注目してみてください。口を開けたり閉じたりする際に、痛みやこわばりを感じたり、カクカクと音がしたりする場合は要注意です。また、口を大きく開けたときに、上下の歯列が左右対称でなく、ずれている感覚があれば、顎関節症の兆候かもしれません。

次に、指を使ったセルフチェックを試してみましょう。人差し指、中指、薬指の3本を縦に揃えて口に入れてみてください。顎関節症でない場合、抵抗なく指が入るはずです。もし、3本の指を縦に入れるのが難しかったり、痛みを感じたりする場合は、顎関節症の可能性があります。

また、顎の痛みが周辺部位に広がっていないかも確認しましょう。耳の前、こめかみ、頬の内側に痛みやはれを感じる場合は、顎関節症の症状である可能性が高くなります。 食事の際の症状にも目を向けてみてください。ステーキやするめなどの固い食べ物を噛んだときに、顎に痛みを感じたり、疲労感を覚えたりする場合は、顎関節症を疑う必要があります。

最後に、顎の違和感についても振り返ってみましょう。以前と比べて噛み合わせが変化した感覚があったり、顎の動きがスムーズでなくなったりしている場合は、顎関節症のサインかもしれません。

以上のような症状が複数当てはまる場合は、顎関節症のリスクが高いと言えます。セルフチェックはあくまで目安ですが、気になる症状があれば、早めに歯科医に相談することをおすすめします。

顎関節症の予防方法

顎関節症の予防方法

顎関節症を予防する方法はありますか?
まず、生活習慣を見直してみましょう。片側だけで噛む、頬杖をつく、電話を顎で挟むなどの悪い癖は、顎関節に負担をかけます。両側の顎を均等に使い、良い姿勢を保つように心がけてください。次に、ストレス管理が重要です。ストレスを感じると、無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりします。これらは顎関節症の原因となります。リラクゼーションテクニックを取り入れ、十分な休養を取ることで、ストレスを和らげましょう。

また、顎関節のストレッチも効果的です。口を大きく開けたり、顎を前後左右に動かしたりするだけで、顎関節の柔軟性が高まります。ただし、痛みがある場合は無理せず、痛くない範囲で行ってください。

最後に、予防的なケアとして、定期的な歯科検診を受けることをおすすめします。歯科医師が顎関節の状態をチェックし、早期の異変に気づくことができます。

顎関節症の人がやってはいけないことを教えてください。
顎関節症と診断された方は、症状を悪化させないために、いくつかの注意点を守ることが大切です。まず、硬い食べ物や大きな食べ物は避けましょう。ガムや氷を噛む、ナッツ類を食べるなどの習慣は控えてください。これらは顎関節に大きな負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。食事は柔らかいものを選び、小さく切って食べるようにしてください。

次に、長時間の同じ姿勢は避けましょう。デスクワークやスマートフォンの使用時には、顎に手を当てたり、顎を前に突き出したりしないよう注意してください。時間を決めて休憩を取り、ストレッチを行うことで、顎への負担を減らすことができます。

無理な運動や激しいスポーツも控えめにする必要があります。顎に衝撃を与えるような活動は症状を悪化させるリスクがあります。運動する際は、顎への負担が少ない種目を選び、徐々に強度を上げていくことが大切です。

食いしばりを改善する方法を教えてください。
食いしばりを改善するために、自分の食いしばりに気づくことから始めてみてください。日中や夜間に、無意識のうちに歯を食いしばっていませんか? 食いしばりに気づいたら、意識的に顎の力を抜き、リラックスした状態を保つ練習を繰り返しましょう。舌を上顎に軽く押し当てる習慣をつけると、リラックスしやすくなります。ストレス管理も食いしばりの改善に欠かせません。ストレスは食いしばりの主要な原因の一つです。深呼吸やヨガ、瞑想などを取り入れ、日常のストレスを和らげる努力をしてみてください。また、十分な睡眠を取り、バランスの取れた食生活を心がけることも大切です。

就寝時の食いしばり対策として、マウスピースを使用することもおすすめです。歯科医に相談して、自分の口に合ったマウスピースを作ってもらいましょう。マウスピースを装着することで、睡眠中の無意識の食いしばりを防ぐことができます。

編集部まとめ

顎関節症は、現代人に多くみられる疾患の一つです。その原因の多くは、無意識のうちに行っている食いしばりにあります。食いしばりは、ストレスを感じたときや集中しているとき、睡眠中などに起こりやすく、顎関節に大きな負担をかけます。長期的に続くことで、顎関節症を発症するリスクが高まるのです。もし、顎の痛みやこわばり、違和感などの症状がある場合は、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。適切な治療を行うことで、症状を改善できます。顎関節症は、一度発症すると完治が難しい疾患です。日ごろから予防を心がけ、大切な顎の健康を守っていきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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