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親知らずを分割して抜歯する1回法とは?通常の親知らずの抜歯との違いを解説!

親知らずを分割して抜歯する1回法とは?通常の親知らずの抜歯との違いを解説!

親知らずの抜歯は、位置や成長の仕方によって従来の抜歯が困難な場合があります。なかでも、歯が正常に生えてこない埋没歯では、分割抜歯の技術が必要になることがあります。

本記事では、親知らずの分割抜歯について以下の点を中心にご紹介します。

  • 親知らずを抜く1回法(分割抜歯)とは
  • 1回法(分割抜歯)のメリット
  • 親知らずを抜いた後の痛みや腫れの対処法

親知らずの分割抜歯について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

親知らずを抜く分割抜歯とは?

親知らずを抜く分割抜歯とは?

分割抜歯は、歯を分割してから抜く技術を指します。以下でさらに詳しく解説します。

分割抜歯とは

親知らずの分割抜歯は、位置が複雑で抜歯が困難な場合に適用される方法です。この手法は、親知らずが横向きに生えている場合や、親知らずが骨に深く埋まっている場合に有効とされています。分割抜歯は、患者さんの回復時間を短縮し、術後の不快感を減らすのに役立つとされており、安全性の高い抜歯を行うための選択肢として考慮されます。

分割抜歯と通常の抜歯の違い

親知らずの分割抜歯と通常の抜歯は、適用される状況とプロセスが異なります。
分割抜歯は、親知らずが横向きに生えていたり、骨に深く埋まっていたりするなど、位置が複雑で抜歯が困難な場合に用いられます。この方法では、歯を部分的に切り分けて少しずつ抜去することで、周囲の組織へのダメージを抑え、術後の回復を助けます。

一方で、通常の抜歯は、歯が全体的に問題を抱えており修復が不可能な場合や、歯根まですべてが抜去可能な状態の場合に行われます。歯全体を一度に抜去するため、直接的なアプローチが可能とされていますが、場合によっては分割抜歯の方が適切な選択となることもあります。
そのため、これらの方法は患者さんの状態や歯の位置に応じて選択されます。

分割抜歯が適用される親知らずの状態

分割抜歯は、複雑な状態の親知らずに適用されることが多い治療法です。分割抜歯が適用される親知らずの状態は以下のとおりです。

部分的に埋没している親知らず: 親知らずが歯肉や骨に部分的に覆われている場合、抜歯するのが困難であるため、歯を分割して段階的に抜去します。この方法は、周囲の組織へのダメージを抑えるのに有効です。

異常な角度で生えている親知らず: 親知らずが隣の歯に対して極端な角度で生えている場合、通常の抜歯では隣の歯への影響を避けることが難しいため、歯を分割しやすい方法を選択します。これにより、隣接する歯を保護しながら抜歯を行うことが可能となります。

根が複数に分岐している親知らず: 歯根が複数にわかれていて深く骨に埋まっている場合、一度に抜くのが困難なため、根を個別に分割して抜歯します。これにより、親知らず抜歯の際のリスクを減少させ、回復を早める助けとなります。

このような親知らずでは、分割抜歯を行うことで手術後の合併症のリスクを軽減します。各症例に応じた詳細な診断と適切な治療計画のもと、経験豊富な歯科医による処置が推奨されます。

分割抜歯のメリット

分割抜歯のメリット

分割抜歯にはどのようなメリットがあるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。

周りの組織へのダメージ

分割抜歯のメリットの一つ目は、周囲の組織へのダメージを抑えられる点です。
歯全体を一度に抜去するためには歯の周囲の骨をたくさん削る必要がありますが、分割抜歯ではなるべく骨を削らずに抜歯を行います。これにより、抜歯後の骨の縮小を防ぎ、将来的なインプラントやほかの補綴治療のための骨の質の保持が期待できます。
結果として、より自然な口腔構造を維持しやすくなり、患者さんの回復もスムーズになります。

合併症のリスク

分割抜歯のメリットの三つ目は、合併症のリスクが少ない点です。分割抜歯は、大規模な手術が不要となるため、出血量が少なく、感染のリスクが下がります。また、分割抜歯では治療範囲が限定されるため、術後の痛みや腫れが少なくなる傾向にあります。
このような特性は、高齢者や何らかの疾患を持つ患者さんにとって、重要な選択肢となりえます。

分割抜歯の手順と方法

分割抜歯の手順と方法

上記で、分割抜歯について解説してきましたが、ここでは分割抜歯の手順と方法について詳しく解説します。

歯肉の切開

分割抜歯の手順で歯肉の切開工程では、対象の歯の周囲の歯肉を慎重に切開し、抜歯する部分にアクセスするための空間を確保します。歯肉を切開することで、歯根の分割がしやすくなります。

歯肉を切開する手順は以下のとおりです。

  1. 局所麻酔の実施:局所麻酔で、手術部位を完全に麻痺させます。
  2. 切開とフラップ形成:歯肉を切開し、埋伏歯を覆う骨の露出を助けるためにフラップを形成します。
  3. 削除と露出:露出した骨を削り、必要な部分の歯や歯根を露出させます。これにより、後続の分割や抜歯が容易になります。
  4. 清掃と消毒:露出した歯根周囲を清掃し、感染リスクを減らすために消毒します。

これらのプロセスは、熟練の技術が必要とされます。

親知らずの周りの骨を削る

この親知らずの周りの骨を削る工程は、親知らずの抜歯を行うために重要です。親知らずがほかの歯に影響を与えているか、骨に深く埋まっている場合、このステップが必要となります。

親知らずの周りの骨を削る手順は以下のとおりです。

  1. 開口:歯科用のドリルなどの器具を使用して、親知らずの周りの骨を慎重に削り取ります。これにより、歯が埋まっている骨から隔離され、抜歯がしやすくなります。
  2. 骨の除去:必要に応じて、歯の抜去を妨げる骨の部分を取り除きます。骨の除去は、歯が骨のなかに深く埋もれている場合に重要です。
  3. 清掃と消毒:骨を削り取った後、削った部分を清掃し、できる限り感染を防ぐために消毒を行います。

この工程は、合併症のリスクを低減し、手術後の回復を助けるためにとても重要です。

親知らずを分割する

分割抜歯の手順で親知らずを分割する工程は、親知らずの根が複数に分岐している場合に重要となります。

親知らずを分割する手順は以下のとおりです。

  1. 歯根の確認:専用の器具を使用して、歯根の分岐部を正確に特定します。これにより、どの部分を分割するかを決定します。
  2. 慎重な分割:ドリルなどの精密な歯科用器具を用いて、計画したラインに沿って歯根を分割します。この過程で、残す歯根を傷つけないよう注意を払います。

この工程は、親知らずの位置が悪い、あるいはほかの歯に悪影響を及ぼす可能性がある場合に有効です。

親知らずを抜いた後の痛みや腫れの対処法

親知らずを抜いた後の痛みや腫れの対処法

親知らずを抜いた後には、痛みや腫れが生じる可能性があるため、痛みや腫れが生じた際に適切な対処が大切です。以下で詳しく解説します。

痛み止めを服用する

親知らずの抜歯後の痛みや腫れを管理するためには、適切な痛み止めの使用が重要です。麻酔が切れると痛みを感じるため、麻酔が切れる前に痛み止めの服用が推奨されます。 市販の痛み止めも服用できますが、副作用やほかの薬との相互作用に注意し、使用説明書に従うことが重要です。このように痛み止めの服用で、抜歯後の不快感を抑えられます。

痛みを感じる部分を冷やす

親知らずを抜いた後の痛みや腫れを軽減するためには、冷却がおすすめです。抜歯後の炎症反応により血管が拡張し、腫れや痛みが生じるため適切に冷やすことで、症状を軽減できます。

抜歯した側の頬に冷たいタオルや、保冷剤をタオルで包んだものを使用し、直接保冷剤を肌に当てるのは避け、タオルを介して適度に冷やしてください。

また、抜歯後24時間以内に冷やすことが推奨されますが、度に冷やすと血流が悪化し、回復が遅れる可能性があるため冷やし過ぎには注意が必要です。したがって、適切な冷却は腫れを抑え、痛みを和らげる効果が期待できますが、症状に応じて冷却の度合いの調整が大切です。

過度なうがいを避ける

親知らずを抜いた後には、過度なうがいは避けることが大切です。 親知らずを抜いた場合、抜歯部位に血餅が形成されます。血餅は傷口を保護し、治癒を助ける役割を果たしますが、過度にうがいをすると、血餅が剥がれ出血する可能性があります。

そのため、抜歯後はお口をすすぐのを控えるか、必要な場合は水をお口に含んで軽く吐き出す程度に留めることが推奨されます。また、抜歯後に異常な出血が見られる場合は、すぐに歯科医院への相談が大切です。

食事に気をつける

親知らずの抜歯後は、食物が痛みや炎症の原因になりえるため、食事に気をつけることが大切です。なかでも、香辛料の強い食品(例えばカレー)、刺激物、硬い食べ物、そして砂糖が多く含まれる甘い食べ物は、避けるべきです。

また、ゼリーやスムージーなどの吸い込むタイプのやわらかい食べ物も、抜歯部位に溜まった血の塊を取り除く原因となるため、直後は避けた方がよいでしょう。 そのため、抜歯後の数日間は、食べ物が傷口に触れないように、ゼリー、ヨーグルト、お粥などのやわらかく、刺激の少ない食品を選ぶことが推奨されます。

親知らずを抜いた後の回復期間はどれくらい?

親知らずを抜いた後の回復期間はどれくらい?

親知らずの抜歯後の回復期間は、抜歯の難易度によって大きく異なります。

歯茎の切開を伴わない簡単な抜歯の場合: 歯茎の切開が不要で、抜歯しやすい親知らずの場合の回復期間は、1ヵ月程度です。抜歯後の穴が小さく、早く治癒するとされています。

歯茎の切開を伴う複雑な抜歯の場合: 親知らずが骨のなかに深く埋もれている場合や、大きなむし歯が骨よりも下に進行している場合、歯茎を切開し、場合によっては骨を削る必要があるため、抜歯後の穴が大きくなります。このため、回復には1ヵ月〜半年程度かかることがあります。

これらの期間は目安であり、健康状態や治療の複雑さによって異なるため、具体的な回復予測には担当の歯科医師への相談が重要です。また、抜歯後1週間以上痛みが続く場合は、ドライソケットの可能性があるため注意が必要です。

まとめ

まとめ

ここまで親知らずの分割抜歯についてお伝えしてきました。親知らずの分割抜歯の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 親知らずを抜く分割抜歯とは、位置が複雑で抜歯が困難な場合に適用される方法のこと
  • 分割抜歯のメリットには、周囲の組織へのダメージを抑える、歯の健全な部分への影響が少ない、合併症のリスクが低いなどが挙げられる
  • 親知らずの抜歯後の痛み管理には、麻酔が切れる前に痛み止めを服用し、抜歯部位の冷却を適切に行い、過度なうがいを避け、やわらかく刺激の少ない食品を選ぶことが推奨される

本記事で親知らずの分割抜歯について理解していただけたかと思います。
親知らずを抜歯した後に適切なケアを行うことでより合併症のリスクを減少させられるため、本記事でご紹介した対処法をぜひ試してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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