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舌の口内炎はがんの可能性?舌がんと口内炎の見分け方や治療方法を解説

舌の口内炎はがんの可能性?舌がんと口内炎の見分け方や治療方法を解説

舌の口内炎と舌がんは、一見似た症状を示すことがあり、見分けが難しい場合があります。
本記事では、舌の口内炎とがんの関係について以下の点を中心にご紹介します!

  • 舌に口内炎やがんができる仕組み
  • 舌にできた口内炎とがんの見分け方
  • 舌がんの治療法

舌の口内炎とがんの関係について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

舌に口内炎やがんができる仕組み

舌に口内炎やがんができる仕組み

舌に口内炎ができる原因は何ですか?
よくある原因は免疫力の低下です。ストレスや疲労、睡眠不足などにより免疫力が低下すると、アフタ性口内炎が発生しやすくなります。
また、ビタミンBの不足など栄養の偏りも原因となることがあります。次に、物理的な刺激も大きな原因です。例えば、食事中に舌を噛んだり、硬い食べ物や熱い飲み物が舌に当たることで傷ができ、細菌が感染して炎症を引き起こすことがあります。
さらに、ウイルス感染も口内炎の一因です。ヘルペスウイルスやカンジダ菌の感染は、口内炎を引き起こす代表的な病原体です。
これらの感染によって、舌に痛みや潰瘍が生じることがあります。

その他、金属アレルギーや喫煙習慣も原因として挙げられます。金属や薬品に対するアレルギー反応や、喫煙によるニコチンの影響で口内炎が発生することがあります。
これらのさまざまな要因が組み合わさることで、舌に口内炎ができます。

舌がんになる原因は何ですか?
舌がんになる原因は解明されていないものの、いくつかの危険因子が指摘されています。
主な原因として挙げられるのは、まず喫煙や飲酒による化学的な慢性刺激です。これらの行為は舌の粘膜に持続的なダメージを与え、がんの発生リスクを高めると考えられています。また、むし歯や合わない詰め物、極端に傾いた歯などが舌に機械的な刺激を与えることも、舌がんの原因となり得ます。

さらに、口腔内の衛生状態が悪い場合もリスクが増加します。口腔内の不衛生は細菌の増殖を招き、これががんの発生につながる可能性があります。

加えて、白板症や紅板症などの前癌病変が長期にわたって存在すると、これががん化することがあります。白板症は約10%の確率でがん化するとされ、慎重な経過観察が必要です。
これらの要因が複合的に作用することで、舌がんの発生リスクが高まります。早期発見と適切な口腔ケアが、舌がん予防のために重要となります。

口内炎やがんは舌のどの部位にできやすいですか?
口内炎は舌の側面や先端に発生しやすいです。これらの部位は食事や会話の際に物理的な刺激を受けやすく、傷つきやすいためです。ストレスや疲労による免疫力の低下が原因でアフタ性口内炎ができることが多いようです。一方、舌がんは舌の側面や裏側に発生することが多いようです。舌がんは舌の両脇や側縁部に多く見られ、舌の先端や中央部分にはあまり発生しません。舌がんは初期段階では自覚症状が少ないことが多く、進行するとしこりや潰瘍、出血、痛み、口臭などの症状が現れることがあります。舌の裏側や見えにくい場所にできることが多いため、鏡での自己チェックが重要です。
どのような方が舌に口内炎やがんができやすいですか?
まず、口内炎ができやすい方は、免疫力が低下していることが多いようです。疲労やストレス、栄養不足、ビタミンB群の欠乏によって引き起こされます。
また、口内の衛生状態が悪い方や、物理的な刺激を頻繁に受ける方も口内炎が発生しやすいです。具体的には、入れ歯や歯の詰め物が合わずに舌や頬を傷つけている場合や、熱い飲食物が原因となることがあります。
さらに、喫煙やアルコール摂取も口内炎のリスクを高めます。一方、舌がんができやすい方には、喫煙や飲酒の習慣があることが大きな要因となります。これらの行為が長期間にわたって行われると、舌の細胞に慢性的なダメージを与え、がんの発生リスクを高めます。
また、口腔内の衛生状態が悪く、むし歯や合わない義歯が常に舌に刺激を与えている場合もリスクが高まります。さらに、熱い食べ物や辛い食べ物など、刺激の強い飲食物を頻繁に摂取することもがんのリスクを増加させる要因です。

舌にできた口内炎とがんの見分け方

舌にできた口内炎とがんの見分け方

口内炎と舌がんはどのように見分けますか?
口内炎と舌がんを見分けるポイントとして、以下の点に注目してください。
  • 痛みの有無:口内炎は痛みを伴うが、初期の舌がんは痛みを伴わないことが多い傾向にある
  • 治癒期間:口内炎は1〜2週間で治るが、舌がんは治らない
  • しこりの有無:舌がんは硬いしこりを形成しやすい
  • 白板症:舌がんの前兆として、舌に白い斑点(白板症)が現れることがあり、前がん病変であるため注意が必要

自己判断が難しい場合は、速やかに歯科や耳鼻咽喉科を受診し、医師の診断を受けることが重要です。早期発見と治療が、舌がん治療の鍵となります。

舌にできるがんの初期症状を教えてください
舌の両脇に硬いしこりができることが多いようです。しこりは痛みを伴わないことが多く、触れると硬く感じます。
次に、舌の粘膜にただれが生じることがあります。ただれは治りにくく、ときに出血を伴います。また、舌の一部にしびれや違和感を感じることもあります。さらに、舌の動きが制限され、食事や会話がしにくくなることがあります。舌がんの初期症状には、見た目の変化も含まれます。舌の表面が赤くなったり、白くなったりすることがあります。これらの変化は、紅板症や白板症と呼ばれる状態で、がんの前兆の可能性があります。口内炎が2週間以上治らない場合や、再発を繰り返す場合も、舌がんの可能性があります。

舌にできた口内炎とがんの治療方法

舌にできた口内炎とがんの治療方法

舌に口内炎やがんができた場合は何科を受診すればいいですか?
舌に口内炎やがんができた場合、受診すべき診療科は口腔外科、耳鼻咽喉科、または歯科です。
口腔外科では舌や口腔内のがん、口内炎など口の中の疾患全般を扱います。専門的な診断と治療が受けられます。
耳鼻咽喉科では喉や口腔、舌に関連する疾患を診察します。口内炎や舌がんの疑いがある場合、精密な検査を行います。
歯科では日常的な口内炎の診察や、原因となる物理的刺激(むし歯、詰め物、義歯など)の確認と治療が行えます。口内炎が治らない場合は、専門医を紹介してもらえます。
また、日本口腔外科学会や日本口腔腫瘍学会のホームページで、地域の専門医の検索もできます。
舌にできた口内炎の治療法を教えてください
まず、生活環境を整えることが重要です。十分な睡眠を確保し、ストレスを軽減することで免疫力を高めます。また、口内の清潔を保つために、丁寧な歯磨きやうがいを行いましょう。特に殺菌成分を含むうがい薬や塩水でのうがいは効果が期待できます。栄養面では、ビタミンB群を中心に摂取することが推奨されます。ビタミンB2は粘膜の健康を保つために重要であり、ビタミンB1やB6もストレス緩和や免疫機能の正常化に寄与します。これらのビタミンを多く含む食品を積極的に摂り、必要に応じてサプリメントを利用するとよいでしょう。

市販の薬も有効とされています。塗り薬や貼り薬、スプレー薬、内服薬など、症状に応じて選びましょう。例えば、抗炎症成分を含む軟膏や痛みを和らげる貼り薬が便利です。

痛みが強い場合や、治りが遅い場合は医療機関での治療を受けることも考慮してください。耳鼻咽喉科や歯科口腔外科での診察がよいでしょう。レーザー治療は即効性があり、痛みを和らげます。

舌がんはどのように治療しますか?
舌がんの治療は、手術療法、放射線療法、薬物療法の三本柱を中心に行われます。
まず、早期の舌がんに対しては、舌部分切除術が第一選択とされます。舌のがん部分を切除する手術で、必要に応じて再建手術も行われます。再建手術では、自身の皮膚や筋肉を移植し、舌の機能をできるだけ保つようにします。手術後は顔のむくみや頸部のこわばり、肩の運動障害などが起こる可能性があり、リハビリテーションが必要となります。放射線治療は、がん細胞を破壊するために放射線を使用する方法です。組織内照射や外部照射があり、再発リスクが高い場合や手術が難しい場合に用いられます。近年では、IMRT(強度変調放射線治療)など高精度な技術が使用されています。副作用は、口腔乾燥や粘膜炎、味覚の変化などがあります。

薬物療法は、手術や放射線治療が難しい進行がんや再発や転移の場合に用いられます。化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが使用され、個々の患者さんの状態に応じて治療法を決定します。副作用には吐き気や嘔吐、脱毛などがあり、これらの管理が重要です。

以上の治療法は、患者さんの年齢や全身状態、がんの進行度などに基づいて選択されます。早期発見と早期治療が鍵となり、定期的な検診と適切な治療が重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで舌の口内炎とがんの関係についてお伝えしてきました。
舌の口内炎とがんの関係の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 舌の口内炎は免疫力の低下や物理的な刺激が原因で生じ、舌がんは喫煙や飲酒、口腔衛生や前がん病変が原因で生じる
  • 舌にできた口内炎とがんを見分ける際、痛みの有無、治癒期間、しこりの有無、白板症の有無に注目することが重要であるが、判別が困難な場合は医師の診断を受けることが推奨される
  • 舌がんの治療法は手術療法、放射線療法、薬物療法であり、早期発見と早期治療が重要である

舌や口内炎ががんの兆候である可能性に気付くことは、早期発見と治療への道を開く重要な一歩です。この記事が、口腔がんのリスクに対する意識を高め、健康な生活を送るための参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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