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口内炎の治療はどのような種類がある?何科にかかるべきなのか、治療法による違いを紹介

口内炎の治療はどのような種類がある?何科にかかるべきなのか、治療法による違いを紹介

口の中にできものができてしまい、食事の際や場合によっては何もしていなくても痛みが生じる症状の口内炎は、多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
人によっては定期的に口内炎ができやすく、そのたびに辛い思いをしているという場合もあるでしょう。
この記事ではそんな口内炎を早く治したいという時に、クリニックで行われる治療がどのようなものかなどを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

口内炎とは?

口内炎とは?

口内炎とは、口の中にできたできものや炎症の総称で、実は口内炎のなかにもさまざまな種類があります。
代表的なものが”アフタ性口内炎と呼ばれるもので、これはアフタと呼ばれる直径2mmから10mm程の白い膜のような浅い潰瘍部分を中心に、周囲の組織が赤く腫れあがってできる炎症です。
アフタ性口内炎は頬の内側や歯茎、舌などさまざまな場所にできます。潰瘍部分の境界がはっきりとわかりやすく、食べものが触れるなどすると痛みが生じ、治癒するまでの一定期間に苦痛を伴います。
一般的に口内炎という場合は大半がこのタイプで、ドラッグストアなどで販売されている口内炎対策のパッチなども、アフタ性口内炎が主な対象となっています。

口内炎の種類にはアフタ性のほかにも、頬の内側を噛んだりしてしまった際に生じる傷に細菌が繁殖するなどして生じるカタル性口内炎と呼ばれるものや、びらんや紅斑といった症状を有するものなど、その状態に応じて分類されます。
口内炎は原因もさまざまで、細菌の繁殖によるものやウィルス感染によるもの、アレルギー反応によるものなどがあります。

大半はアフタ性口内炎であり、放置していても1~2週程度で自然に治りますが、口内環境などによっては繰り返しできてしまう場合があるほか、場合によっては症状が悪化して治癒しにくい状態になることもあるため、可能であれば早めにケアをした方がよいでしょう。

また、口腔内にできものができて口内炎だと思っていたら、実は口腔がんであるというケースもあります。口腔がんは放置しておいても自然に治るものではなく、悪化していくと最悪の場合死に繋がることもあるので、口内炎がなかなか治らなかったりできやすいなどの場合は口腔外科を受診するようにしましょう。

口内炎の治療方法

口内炎の治療方法

口内炎の治療は薬によるものやレーザー治療、場合によっては手術によるものなど症状に応じてさまざまな手法が用いられます。
それぞれの治療法や対象となる症状について解説します。

薬による治療

口腔外科などで行われる口内炎治療として、まずはじめに行われるのが薬による治療です。

アフタ性口内炎などの狭い範囲にある症状では口腔用の軟膏が用いられるケースが多く、軟膏を塗ることで炎症を鎮め、口内炎を素早く改善させることができます。
軟膏にはステロイド性のものや抗菌剤、抗真菌剤などいくつかの種類があり、口内炎の状態や原因を見極めて適切な薬剤が処方されます。
殺菌によって炎症を抑える目的では、軟膏のほかにうがい薬が処方されるケースもあります。

口内炎による痛みが強く、食事などに支障をきたしている場合には、パッチを張り付けて薬剤の治癒効果と同時に患部を保護することができる貼付剤や、口内炎の周囲に塗ることでバリアとしての機能をもつ保護剤が用いられることもあります。

そのほか、対症療法を目的とした薬剤ではなく漢方薬を用いて体調を整え、ホルモンバランスの乱れなど口内炎ができる原因を改善するといった治療や、ビタミン剤の処方で口内炎ができにくい口腔内の環境づくりを行うといった治療も行われます。

口内炎の治療を目的とした薬剤はドラッグストアでも購入が可能ですが、専門の口腔外科にかかり口内炎の原因をしっかりと見極めたうえでの処方を受けることで、より適切な薬剤を使用してケアを行える点や、保険適用によって医薬品にかかる費用を抑えることができる点、また口腔がんなどの可能性がある場合に早期発見により安全な治療を受けられる可能性が高くなる点などのメリットがあります。

レーザーによる治療

口腔外科にある歯科用のレーザーを用いて、口内炎を焼いて治療する方法です。
口内炎を焼くというと痛みが強そうなイメージを抱くかもしれませんが、実際はピリピリとした程度の痛みがある程度でほとんど痛みも感じないため、麻酔なども基本的には不要です。
レーザーによって口内炎がある組織を焼くことで、治療直後から口内炎特有の痛みを感じなくなり、焼いた部分は1~2週間程度で新しい細胞へと入れ替わります。
治療は保険適用のため3割負担です。費用をかけずにすぐ口内炎の痛みから解放されたい場合におすすめです。

手術による治療

単純なアフタ性口内炎で手術が行われることは基本的にありませんが、診察の結果として口内炎ではなく、腫瘍などであった場合には除去するための手術が行われることがあります。
悪性腫瘍(口腔がん)の場合は除去手術を含め早めの治療が必要となりますが、良性腫瘍の場合でもできている場所によっては日常生活の支障となるため、手術での除去が必要となることもあります。
口内炎と口腔がんの見極めや、口腔がんであった場合の手術などは口腔外科が専門的に行っている内容ですので、口内炎ができたと感じたら口腔外科への受診を検討しましょう。

口内炎は治療しなくても自然に治る?

口内炎は治療しなくても自然に治る?

口内炎ができても、積極的に治療はせずにそのまま放置するという方が多いのではないでしょうか。
一般的なアフタ性口内炎であれば、基本的にはクリニックでの診察や治療を受けなくても、一定期間で自然治癒する場合がほとんどです。
しかし、場合によっては治療をせずに放置することで深刻な症状へと進行することもあります。
治療をせず放置した場合にどうなるかをご紹介します。

普通の口内炎なら1~2週で治ることが多い

まず、前述のとおり通常のアフタ性口内炎であれば、大半は1~2週程度で治癒するケースが大半です。
これは人体がもつ免疫機能の働きによるもので、細菌などの繁殖によって口内炎ができても、免疫反応が細菌を除去していくことで、炎症は自然とおさまります。
口内炎の痛みについては多くの場合で3~5日あたりがピークとなり、その後は腫れはあっても痛みは軽減された状態となるため、数日であればと我慢して過ごす人も多いでしょう。

しかし、痛みがなかなか引かずに、免疫機能による回復が間に合わず、炎症が広範囲に広がってしまうこともあります。
場合によっては口腔内全体が強い痛みを感じる状態となり、食事に重度の支障をきたすような症状へと進行してしまうこともあり、必要となる治療の難易度も高くなるため、できれば我慢して治すのではなく早期にクリニックへ相談するようにしましょう。

口腔がんなどの可能性もある

口腔内に腫れ(できもの)があるけれど、痛みを感じないような場合など、口内炎ではなく口腔がんの可能性もあります。
口腔がんはほかのがんと同様に細胞の異常分裂によってできた腫瘍が拡大していくもので、放置すると急速に腫瘍が大きくなり、ほかの部位への転移などによって症状が悪化し、最終的に死に至ることもあります。
欧米諸国では定期的な歯科検診の意識が高まっていることなどから、口腔がんと診断されてからの生存率も増加しています。一方で、日本はまだあまり定期的な歯科検診が一般的となっていないことなどから、口腔がんの年間新規感染者数と死亡者数の割合が46%になる年があるなど、非常に高い数値となっているという指摘もあります。
口腔がんであった場合は、痛みを感じ始める時にはある程度症状が進行している状況になるため、口の中にできものやしこりを感じたら、早期に口腔外科を受診した方がよいでしょう。
できれば定期的に通えるかかりつけの口腔外科をみつけ、定期的に歯科検診や歯のクリーニングなどを受けると、口腔がんをはじめさまざまなトラブルを早期にケアできるためおすすめです。

口内炎とそのほかの症状の見分け方

一般的によく知られているアフタ性口内炎は、境界がくっきりとした白く薄い膜の部分が中心にあり、その周囲が赤く腫れあがっているという見た目の特徴があります。
口の中にできものができたと感じたら、まずは鏡などを使って腫れている部分を目視確認し、アフタ性口内炎の症状かどうかを確認しましょう。
できものがあるけれど、痛みがない場合やはっきりとした境界がわからないような状態の場合、アフタ性口内炎ではなくほかの症状の可能性が高くなります。
できものが口内炎なのか、良性または悪性の腫瘍であるのかなどは専門の医師による診断を受けないと判別が困難な場合がほとんどですので、早いうちに口腔外科の受診を検討しましょう。

なお、アフタ性口内炎の特徴が認められても、同じ場所に繰り返しできる場合やなかなか痛みが引かない場合は注意が必要となりますので、自己判断をせず受診をするようにしましょう。

歯科口腔外科による治療

歯科口腔外科による治療

歯科口腔外科は、口腔内の外科的な治療を専門的に取り扱うスペシャリストであり、口腔がんの手術をはじめ口腔トラブルの治療を数多く行っています。
口腔がんの治療について多くの経験を持つため、口腔内にできた腫れが口内炎によるものなのか口腔がんなどほかの症状によるものなのかの見極めや、腫れを抑えるためににどのような治療法が適しているのかといった診察を素早く高い水準で行うことができるといえます。

口内炎と診断された場合の治療法は、症状の程度に応じて薬による治療やレーザー治療などが選択されますが、原因をしっかりと見極めることで素早く効果的な治療を期待できる点が特徴といえるでしょう。

口内炎を予防するセルフケア

口内炎を予防するセルフケア

口内炎は日々のセルフケアによる予防も大切です。
口内炎ができないようにするためのポイントをご紹介します。

口腔内を清潔に保つ

口内炎は、口腔内で細菌などが繁殖することによって引き起こされる症状です。
日々の歯磨きやうがいといったケアをきちんと行い、口腔内を清潔に保つことはむし歯や歯周病だけではなく、口内炎の予防にも大切です。
歯ブラシだけではどうしても汚れが残ってしまいやすいので、デンタルフロスなどを併用してしっかりと汚れを除去するようにしましょう。
また、日々の歯磨きを入念に行っていても磨き残しによる汚れは少しずつ蓄積されてしまうため、数ヵ月に一度は歯科検診と歯のクリーニングを受けて、口腔内を清潔に保つようにできるとさらによいでしょう。

栄養バランスのよい食事を心がける

食事によって摂取する栄養のバランスが崩れると、体の免疫機能が低下して細菌が繁殖しやすくなり、口内炎もできやすくなります。
特に、粘膜を保護する役割のビタミン類などが不足すると口腔内のトラブルが生じやすくなりますので、ビタミン類を十分に摂取できるような食事を心がけてください。
逆に喫煙や飲酒、糖質が過剰な食事などはビタミン類の消費を促進してしまい、口内炎がでいやすい状態となりますので控えるようにしましょう。

十分な睡眠やストレスケア

免疫機能の低下は、睡眠不足や過剰なストレスによるホルモンバランスの乱れなどによっても引き起こされます。
睡眠は1日に7時間以上が推奨されていますが、睡眠時間だけではなく睡眠の質も重要で、眠りが浅く中途覚醒を繰り返してしまう場合や睡眠時無呼吸症候群の場合など、必要な深い睡眠がとれていないと十分とはいえませんので、質と時間の両方を意識して十分な睡眠をとるようにしましょう。

またストレスによる免疫への影響は大きく、精神的なストレスが続くとホルモンバランスが乱れて口内炎もできやすくなります。
ストレスを避けるということは容易ではありませんが、可能な範囲でストレス要因となるものに近づかないような生活を心がけたり、最近の研究では腸内環境が整っているとストレスへの耐性が強化されるという報告もありますので、食生活などを改善して腸内環境を整えるようにするとよいでしょう。

まとめ

まとめ

口内炎は多くのケースで自然治癒していく症状であるため放置してしまいがちですが、場合によっては口腔がんなど重大な症状である可能性もあるため、できれば早期に診察を受けて、安全に治療することがおすすめです。
口内炎や口腔がんの治療を専門的に取り扱う口腔外科であれば、単純な口内炎であった場合には薬やレーザーを使用しての素早い改善が期待できますし、口腔がんなどの症状があった場合には早期に適切な治療を受けることができます。

定期的な歯のクリーニングを受けるなどすると、そもそも口内炎ができにくい口腔内の状態を保つこともできますので、ぜひかかりつけの口腔外科をみつけて定期的な受診をしてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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