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再発性アフタ性口内炎とは?症状や対処法について解説します

再発性アフタ性口内炎とは?症状や対処法について解説します

口内炎は、アフタ性、カタル性、ヘルペス性、カンジダ性の4つの種類に分類されます。そのなかに、再発性アフタ性口内炎という発生頻度の高い口内炎があります。 本記事では再発性アフタ性口内炎とは?について以下の点を中心にご紹介します。

  • 再発性アフタ性口内炎の概要
  • 再発性アフタ性口内炎の治療について
  • 再発性アフタ性口内炎と類似の病気

再発性アフタ性口内炎とは?について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

再発性アフタ性口内炎について

再発性アフタ性口内炎について

再発性アフタ性口内炎とは、どのような疾患なのでしょうか。 以下に、概要と原因について詳しく解説します。

再発性アフタ性口内炎とは

再発性アフタ性口内炎は、痛みを伴う小さな口内炎が口腔内に繰り返し発生する疾患です。小児期に発症し、30歳未満に多い傾向にあります。直径数mmの円形や楕円形の浅い潰瘍で、灰白色や黄白色の膜に覆われ、周囲は赤く炎症を起こします。唇の内側や舌、頬の粘膜によく発生し、触れると強い痛みを感じます。

再発性アフタ性口内炎はよくみられる疾患であり、全人口の20〜60%が経験するといわれています。男女問わず発症しますが、なかでも20〜30歳代の女性に好発します。また、年齢とともに症状が軽減する傾向がありますが、一部の患者さんは頻繁に再発を繰り返します。

再発性アフタ性口内炎の原因

再発性アフタ性口内炎は、その発症原因が明確ではなく、さまざまな要因が関与していると考えられています。

まず、機械的刺激や口腔内の外傷が直接のきっかけとなることがあります。さらに、遺伝的要因も関与していると考えられており、ベーチェット病などの遺伝的要素が影響するケースもあります。極端な疲労やストレスは免疫力を低下させ、再発性アフタ性口内炎の発症を助長し、大学生の期末試験中など、ストレスが高まる状況での発症がよく見られます。

栄養面では、鉄、ビタミンB12、葉酸などの不足が関連しているといわれています。偏った 栄養摂取が口腔内の健康に影響を与え、再発性アフタ性口内炎を引き起こす要因となることがあるのです。チョコレートやコーヒー、ピーナッツ、チーズ、卵などの食品も発症を誘発することがあります。

また、喫煙や薬物使用、炎症性消化器疾患、歯磨き粉の成分、ウイルスや細菌の感染、ホルモンバランスの乱れなども考えられる原因の一部です。しかし、これらの要因がどのように再発性アフタ性口内炎と関連しているのかは明らかになっていません。

再発性アフタ性口内炎の症状

再発性アフタ性口内炎の症状

再発性アフタ性口内炎には、小アフタ性、大アフタ性、ヘルペス様アフタ性の症状に分けられます。以下に、詳しく解説します。

小アフタ性潰瘍

小アフタ性潰瘍は、再発性アフタ性口内炎の85%を占めています。口腔内のやわらかい組織に発生しやすく、唇の内側、頬の内側、舌、口底、軟口蓋、咽頭などに見られます。

小アフタ性潰瘍は、1〜2日間の疼痛や灼熱感といった前駆症状で始まり、4〜7日間にわたって強い痛みを伴い、10日以内に瘢痕を残さずに自然に治癒します。

水疱は形成されず、突然小さな潰瘍が現れます。潰瘍は直径が2〜8mm程度です。見た目は円形または楕円形で、中心部が壊疽性の灰黄色の偽膜で覆われ、その周囲に紅輪があり、わずかに隆起した赤い辺縁を持ちます。

小アフタ性潰瘍は1年に2〜4回再発するといわれていますが、古い潰瘍が治癒する前に新しい潰瘍ができることもあります。

大アフタ性潰瘍

再発性アフタ性口内炎のなかで、大アフタ性潰瘍は症例の10%程度を占めます。思春期以降に出現することが多く、その症状は小アフタ性潰瘍よりも重篤です。前駆症状としては、強い疼痛や灼熱感があり、潰瘍自体は深く、直径が1㎝を超えます。

大アフタ性潰瘍は、数週間から数ヵ月間にわたって持続し、小アフタ性潰瘍よりも治癒までの期間が長いのが特徴です。潰瘍が治癒した後に瘢痕が残ることがあり、生活に影響を与えることもあります。

大アフタ性潰瘍は口唇、軟口蓋、喉に発生することが多く、発熱、嚥下困難、全身の倦怠感を伴うことがあります。重症例では、頸部リンパ節の腫れも観察されることがあり、専門的な医療機関での治療が必要となることがあります。

ヘルペス様アフタ性潰瘍

ヘルペス様アフタ性潰瘍は、再発性アフタ性口内炎の一種であり、その名のとおりヘルペスに似た症状を示しますが、ヘルペスウイルスとは関係がありません。このタイプの潰瘍は、全症例の5%程度を占め、発症年齢はほかのタイプよりも遅い傾向があります。

ヘルペス様アフタ性潰瘍の特徴は、直径1〜3mmの小さな有痛性の潰瘍が多数集まって発生することです。これらの潰瘍は紅斑を基底として現れ、しばしば癒合して大きな潰瘍となります。潰瘍が形成される前には、痛みや灼熱感といった前駆症状が見られますが、水疱は形成されません。

ヘルペス様アフタ性潰瘍は、2週間にわたって持続し、不快な状態が続きます。痛みは強く、口腔内のやわらかい組織に影響を与えます。潰瘍は浅く、中心部は灰黄色で、周囲は赤くなります。治癒過程では、瘢痕を残すことなく自然に消失することが多いようです。

再発性アフタ性口内炎の治療

再発性アフタ性口内炎の治療

再発性アフタ性口内炎の治療は主に対症療法であり、痛みの緩和と症状の軽減を目的としています。根治的な治療法はなく、以下の方法が用いられます。

まず、痛みの軽減のために痛み止め(洗口薬、軟膏など)が使用され、麻酔薬や保護被膜などが処方されます。アルコール含有の洗口液は、症状が悪化するリスクがあるため避けましょう。その他、低出力レーザーや硝酸銀の化学焼灼も痛みの緩和を目的に施行されることがあります。

また、潰瘍の数が少ない場合には、ルチコステロイドを軟膏として直接塗布する方法があります。さらに、症状が重く、局所療法が効果を示さない場合には、プレドニゾンの内服薬が必要になることがあります。

ただし、使用する際には単純ヘルペスウイルスの感染がないことを確認する必要があります。副作用のリスクを伴うため、医師の指示をしっかりと守ることが重要です。

加えて、非ステロイド性抗炎症薬や抗アレルギー薬、ビタミン剤、漢方薬なども補助的に使用されることがあります。直接的な治癒をもたらすわけではありませんが、症状の緩和と治癒期間の短縮に寄与します。

持続的または重度の再発性アフタ性口内炎の場合、口腔専門の医師による治療が推奨されます。免疫抑制薬や長期的な全身投与が必要になることもあり、病変内注射が行われることもあります。

これらの治療法を組み合わせて使用することで、患者さんの痛みを軽減し、再発の頻度を抑えます。

再発性アフタ性口内炎に似た病気

再発性アフタ性口内炎に似た病気

再発性アフタ性口内炎には、似た症状を持つ病気がいくつかあります。原因や治療法が異なるため、適切な診断と治療が重要です。疑わしい症状が出た場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
以下に、主な類似の病気を5つ解説します。

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症で、唇やその周囲に小さな水泡や赤み、痛みを伴います。一度感染すると体内に潜伏し続け、ストレスや免疫力の低下などで再び活動を開始するため、再発を繰り返します。

口唇ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルス(HSV)によるもので、直接接触やタオル、食器類の共有などで感染します。ウイルスは唇の粘膜から体内に侵入し、神経節に潜伏します。感染している方の半数以上が成人であり、乳幼児期に無症状で感染するケースが多いようです。

発症前には唇やその周囲にピリピリ感、ムズムズ感、痛み、ほてりなどの前駆症状が現れます。これらの前兆が数分から数時間続いた後、赤く腫れた部分に水泡が形成されます。発熱や頭痛、全身の痛みを伴うこともあります。前駆症状が出た時点で治療を開始し、抗ウイルス剤などで早めに対処ができれば、ウイルスの増殖を抑えられます。

尋常性天疱瘡

尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)は、自己免疫疾患の一種で、皮膚や口腔粘膜に水疱やびらんを生じる病気です。この疾患は、免疫システムが自身の組織を攻撃することによって発症します。

尋常性天疱瘡は中年層や高齢者に多くみられます。口腔粘膜にびらんを生じ、口の中がしみるため飲食が困難になり、重症化すると飲み物を摂ることさえ難しくなることもあります。口腔以外にも、皮膚や性器など全身のさまざまな部位に水疱ができ、その水疱は破れやすく、痛みを伴いながら何度も再発します。

放置すると体の広範囲にびらんが広がり、二次感染や体液漏出によって生命に関わる重篤な症状を引き起こす可能性があるため、早期に医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。

白血病

白血病は、血液のがんの一種で、骨髄内の造血細胞が腫瘍化し異常に増殖することで発症します。正常な赤血球、白血球、血小板の生産が阻害され、血液の正常な機能が失われた結果、免疫力が低下し、感染症や出血などの症状が現れます。

白血病の初期症状として、繰り返し発生する口内炎が挙げられます。白血病による口内炎は治りにくく、長期間続くことがあります。口内炎に加えて、微熱が続く、鼻血が頻繁に出る、あざができやすくなるなどの症状も見られることがあります。

白血病の原因は解明されていませんが、複数の遺伝子異常が重なって発症することが示唆されています。日本での白血病の年間発症率は人口10万人あたり5人程度とされ、急性白血病と慢性白血病の比率は1:4です。急性白血病の場合、治療せずに放置すると1ヵ月程で死亡することがあるため、早期診断と治療が重要です。

白血病はかつて治癒が難しい病気とされていましたが、現在では医学の進歩により治癒が期待できる病気の一つとなっています。口内炎が2週間以上続く場合や、異常な症状が見られる場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。

ベーチェット病

ベーチェット病は、全身の臓器にさまざまな病変を繰り返し引き起こす原因不明の炎症性疾患で、口腔内の再発性アフタ性潰瘍、眼症状、皮膚症状、外陰部潰瘍の4つの主要な症状を特徴とします。

この病気は、日本では特定疾患に指定されており、2020年時点で1.5万人程度の患者さんがいます。発症頻度に男女差はなく、20〜40歳の年齢層に多くみられます。発症には、遺伝的素因や口腔内連鎖球菌などの微生物の関与が考えられています。

ベーチェット病の症状には性差があります。男性の方が重症化しやすく、神経病変や血管病変の頻度が高いといわれています。また、中枢神経病変、血管病変、腸管病変などの特殊型ベーチェット病は後遺症を残すことがあります。

眼症状や特殊病型がない場合は予後が良好ですが、後部眼病変がある場合は失明に至ることもあります。治療法としては、1990年代にシクロスポリンが導入されて以降、視力が改善されました。また、インフリキシマブの登場により治療効果は90%程度まで上がります。

口腔がん

口腔がんは、口腔内に発生する悪性腫瘍の総称で、口腔粘膜から生じる扁平上皮がんがその大部分を占めます。口腔内の主要な部位には、舌、口腔底、上下歯肉、頬粘膜、硬口蓋などがあり、全体の6割程度は舌(舌の縁や下面)への発生が占めています。

口腔がんの原因は特定されていませんが、喫煙や飲酒、飲食物の化学的刺激、尖った歯や入れ歯の機械的刺激、粘膜の炎症、ウイルス感染、加齢など、複数のリスク因子が複雑に絡み合って発症する可能性が高いとされています。

口腔がんの初期症状には、口の中のしこりや潰瘍が挙げられます。具体的には、食べ物がしみる、治りにくい口内炎、赤や白の斑点が現れることがあります。これらの症状は、再発性アフタ性口内炎と似ているため見過ごされがちですが、口腔がんの場合、進行すると持続的な痛み、出血、口臭、口の開けづらさ、食事の食べづらさ、首の腫れなどが生じ、症状が悪化していきます。

注意すべきは、口内炎が長期間続く場合です。口内炎は小さくても痛みが強く、円形や楕円形で境目がはっきりしていますが、口腔がんによる潰瘍は境目が不明瞭でいびつな形をしており、大きさの割に痛みを感じないことが特徴です。この違いを見分けることが重要で、違和感を覚えた場合は早めに医師に相談することが推奨されます。

まとめ

まとめ

ここまで再発性アフタ性口内炎とは?についてお伝えしてきました。再発性アフタ性口内炎とは?の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 再発性アフタ性口内炎は、痛みを伴う小さな口内炎が口腔内に繰り返し発生する疾患で、発症原因が明確ではなく、さまざまな要因が関与している
  • 再発性アフタ性口内炎の治療は主に対症療法で、痛みの緩和と症状の軽減を目的として、痛み止め(洗口薬、軟膏など)や低出力レーザーや硝酸銀の化学焼灼、内服薬、病変内注射が行われることもある
  • 再発性アフタ性口内炎に似た病気には、口唇ヘルペス、尋常性天疱瘡、白血病、ベーチェット病、口腔がんなどが挙げられる

再発性アフタ性口内炎は身近な疾患ですが、似ている症状を持つほかの病気が隠れている可能性があります。長引く口内炎の症状がある場合は、速やかに耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などの専門の医療機関を受診しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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