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小児の口腔粘膜疾患とは?原因や対処法について解説

小児の口腔粘膜疾患とは?原因や対処法について解説

子どもの口腔粘膜は大人よりもデリケートなため、口内炎やウイルス感染、外傷などが原因となり、痛みや腫れを引き起こすこともあります。症状によっては食事や会話が困難になることもあるため、適切な対処が重要です。

本記事では小児の口腔粘膜疾患について以下の点を中心にご紹介します。

  • 口腔粘膜疾患とは
  • 小児の口腔粘膜疾患の原因
  • 小児の口腔粘膜疾患の治療と予防法

小児の口腔粘膜疾患について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

小児の口腔粘膜疾患について

小児の口腔粘膜疾患について

口腔粘膜疾患(こうくうねんまくしっかん)とは何ですか?
口腔粘膜疾患とは、口腔内の粘膜に異常が生じる疾患の総称です。口腔粘膜は、口唇、舌、歯肉、頬粘膜、口蓋、口底などを覆う組織で、唾液により湿潤し保護されていますが、食事や歯、入れ歯などの刺激を受けやすく、感染や炎症が起こりやすい特徴があります。

口腔粘膜疾患には、口内炎や水疱、潰瘍、腫瘤などの症状を伴うものがあり、単独で発症する場合もあれば、全身疾患の一部として現れることもあります。例えば、ヘルペス性口内炎やアフタ性口内炎のような感染症、悪性腫瘍の初期症状として現れることもあります。

小児の口腔粘膜疾患にはどのような疾患がありますか?
小児の口腔粘膜疾患には、感染症を原因とするものや先天的な異常、炎症性疾患などさまざまな種類があります。

【感染症による口腔粘膜疾患】

  • ヘルペス性歯肉口内炎:単純ヘルペスウイルスの感染により、約2〜5歳の小児に発症し、発熱や歯肉の炎症、水疱を伴います。
  • アフタ性口内炎:原因は不明ですが、ストレスや免疫低下が関与するとされ、小さな潰瘍が発生します。
  • コプリック斑(麻疹の前兆症状):麻疹ウイルス感染により、発疹が現れる前に頬粘膜に白い斑点が出現します。
  • 水疱瘡(水痘):水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、体幹を中心に水疱ができ、口腔内にも発疹が現れることがあります。
  • 手足口病:エンテロウイルス感染による疾患で、口腔粘膜や手足に発疹ができます。

【先天性の異常による口腔疾患】

  • 口唇裂・口蓋裂:生まれつき口唇や口蓋が裂けた状態で、哺乳や発音に影響を与えることがあります。
  • 癒合歯:隣接する歯がくっついて生えてくる異常で、歯列に影響を及ぼすことがあります。
  • 舌小帯短縮症:舌の裏のひだが短く、舌の動きが制限され、発音障害の原因となることがあります。

【免疫や炎症に関連する疾患】

  • 鵞口瘡(口腔カンジダ症):新生児に多く、カンジダ菌の感染により口腔内に白い斑点が現れます。
  • 地図状舌:舌の表面に白い縁取りのある赤い模様が現れるが、痛みがなく治療の必要はありません。

【その他の疾患】

  • 川崎病:乳幼児に発症しやすく、高熱や発疹、イチゴ舌が特徴です。全身の血管炎を引き起こすため注意が必要です。
  • 血小板減少性紫斑病:血小板が減少し、歯肉出血や紫斑が現れる病気で、早期診断が重要です。

小児の口腔粘膜疾患の原因や対処法について

小児の口腔粘膜疾患の原因や対処法について

小児の口腔粘膜疾患の原因を教えてください
小児の口腔粘膜疾患は、さまざまな原因によって引き起こされます。主な要因として、以下のような物理的刺激、感染症、栄養不足、ストレス、アレルギー、免疫系の異常などが挙げられます。
    • お口のなかの傷や損傷

子どもが歯ブラシで歯茎を傷つけたり、硬い食べ物を噛んだりすることで、口内炎が発生することがあります。また、転倒や誤って唇を噛むことも原因となります。

    • ウイルスや細菌の感染

手足口病、ヘルパンギーナ、ヘルペス性口内炎など、ウイルス感染が原因となる疾患が多く、特に免疫力の低い小児は発症しやすいとされています。

    • 栄養不足

ビタミンB群や鉄分の不足は、口内の粘膜の健康を損ない、炎症を起こしやすくします。

    • ストレスや疲労

環境の変化や心身の疲れによって免疫が低下し、口内炎が発生しやすくなります。

    • アレルギー反応

食品や薬物、金属などが刺激となり、口腔粘膜に炎症を引き起こすことがあります。

    • 免疫系の異常

ベーチェット病や自己免疫疾患が関与するケースもあり、頻繁に口内炎が発生する場合は注意が必要です。

小児の口腔粘膜疾患の対処法を教えてください
小児の口腔粘膜疾患の対処法は以下のとおりです。
    • 口腔内の清潔を保つ

歯みがきやうがいをこまめに行い、お口のなかを清潔に保ちます。歯ブラシはやわらかめのものを選び、傷を作らないように注意しましょう。

    • 口腔内の乾燥を防ぐ

唾液の分泌を促すために、水分をしっかり摂取し、必要に応じて口腔保湿剤を使用します。就寝時はマスクの着用も効果が期待できます。

    • 刺激の少ない食事を心がける

痛みがある場合は、熱いものや辛いもの、酸味の強い食品を避け、ゼリーやおかゆなどやわらかくて刺激の少ない食事を選びましょう。

    • 痛みを緩和する

症状が強い場合は、医師の指示のもとで鎮痛薬を使用することもあります。また、うがい薬や塗り薬を活用すると痛みを和らげることに役立ちます。

    • 早めに医療機関を受診する

症状が長引く場合や、発熱を伴う場合は、歯科や小児科を受診しましょう。特に ヘルペス性口内炎や川崎病 などの重篤な疾患が疑われる場合は、早めの診断が重要です。

日常的なケアと早めの対応により、小児の口腔粘膜疾患を悪化させず、健康を維持することにつながります。

小児の口腔粘膜疾患を治療するために知っておきたいこと

小児の口腔粘膜疾患を治療するために知っておきたいこと

小児の口腔粘膜疾患を治療するためには何科に行けばよいですか?
小児の口腔粘膜疾患を治療する際は、症状に応じて適切な診療科を受診することが大切です。口内炎や粘膜の炎症、義歯による刺激などが原因の場合は、歯科や口腔外科を受診するとよいでしょう。これらの科では、歯や粘膜の状態を確認し、必要に応じた治療を行います。

また、痛みが強く食事や会話に支障がある、発熱や全身の倦怠感を伴う、出血や潰瘍がある、市販薬で改善しない場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

特に、2週間以上治らない口内炎や粘膜の異常がある場合は、重大な疾患の可能性もあるため、まずは歯科や口腔外科で診察を受け、必要に応じて医師を紹介してもらうのもよいでしょう。

小児の口腔粘膜疾患の予防のために気をつけることは何ですか?
小児の口腔粘膜疾患を防ぐためには、口腔内の清潔を保つこと、適切な食生活、免疫力の維持、唾液の分泌を促す習慣が重要です。

まず、毎日の歯みがきを丁寧に行い、歯と歯茎の境目や歯と歯の間の汚れをしっかり除去 することが大切です。歯間ブラシやデンタルフロスを使用することで、さらに清潔を保つことが期待できます。また、口腔内の細菌の増殖を抑えることで、感染症リスクの軽減にもつながります。

食生活も大きく関係します。 ビタミンB群や鉄分などの栄養素が不足すると、口腔粘膜が弱くなり炎症を起こしやすくなるため、バランスのよい食事を心がけましょう。 さらに、ストレスや疲労による免疫低下も疾患の発症リスクを高めるため、十分な睡眠と規則正しい生活習慣を維持することが重要です。

また、 唾液の分泌を促すことも予防につながります。 唾液には口腔内を潤し、細菌の繁殖を防ぐ作用があります。耳下腺や顎下腺、舌下腺を優しくマッサージすることで唾液の分泌を促せるため、口腔の乾燥が気になる場合は試してみるとよいでしょう。

お口のなかに違和感がある際の受診の目安を教えてください
お口のなかに違和感がある際に、市販薬を使用しても1〜2日で悪化する、または5〜6日経っても症状が改善しない場合は、使用した薬を持参のうえ、受診を検討しましょう。また、痛みがなくても2週間以上口内炎のような症状が続く場合、ほかの病気の可能性も考えられます。

特に、できものが1〜2週間経っても消えない、腫れが引かない、出血を伴う、飲食時に強い違和感がある場合は、早めに歯科や口腔外科を受診することをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで小児の口腔粘膜疾患についてお伝えしてきました。小児の口腔粘膜疾患の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 口腔粘膜疾患とは口腔内の粘膜に異常が生じる疾患の総称で、口内炎や水疱、潰瘍、腫瘤などの症状を伴うものや、単独で発症する場合もあれば、全身疾患の一部として現れるものもある
  • 小児の口腔粘膜疾患の原因には、物理的刺激、感染症、栄養不足、ストレス、アレルギー、免疫系の異常などが挙げられる
  • 小児の口腔粘膜疾患の治療や予防には、口腔内の清潔を保ち、適切な食事や水分補給を行い、必要に応じて医療機関を受診することが重要である

痛みがない場合でも、2週間以上続く口腔内の異常には注意が必要です。まれに口腔がんなどの重大な病気が隠れていることもあるため、気になる症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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