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口の中がヒリヒリする原因とは?原因となる疾患ごとに症状と治療法を解説!

口の中がヒリヒリする原因とは?原因となる疾患ごとに症状と治療法を解説!

口の中は、皮膚と違って角化しておらず、外からの刺激を受けやすい粘膜で構成されています。そのため何かの拍子に口の中がヒリヒリする症状は、誰でも一度は経験したことがあるものです。そうした口の中のヒリヒリが長く続いたり、痛みが強かったりすると不安になってしまうことでしょう。専門的には、焼けるような痛みを意味する灼熱感(しゃくねつかん)と表現されます。ここではそんな口腔の灼熱感が現れた時に取るべき行動や原因となる疾患、治療法などを詳しく解説します。

口の中がヒリヒリするときの対処法

口の中がヒリヒリするときはどうすれば良いですか?
口の中が突然、ヒリヒリするようになったら、まずはうがいをして様子を見ましょう。口の中がヒリヒリする一般的な原因としては、熱い食べ物や飲み物を口にした際のやけどや歯ブラシ・デンタルフロスなどによる外傷、入れ歯や矯正装置を装着している場合は、それらによる機械的な刺激が考えられます。しばらく様子を見ても口の中のヒリヒリが改善されなかったり、症状が強くなってきたりしている場合は、何らかの異常が疑われるため、医療機関の受診が推奨されます。
口の中のヒリヒリが続くときは何科を受診すれば良いですか?
口の中のヒリヒリが続く場合は、その症状が現れている部位や程度、考えられる原因によって受診する診療科も変わってきます。例えば、入れ歯や矯正装置を装着しているなど、明らかに歯科関連の症状である場合は、とりあえずかかりつけ歯科医を受診してください。口内炎が原因の症状であっても、歯科で対応することが可能です。歯肉や頬粘膜、舌などに顕著な異常が認められる場合は、口腔外科のある医療機関を受診した方が良いです。咽頭や喉頭といった奥の方にヒリヒリが感じられる場合は、耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。

口の中がヒリヒリする疾患

口の中がヒリヒリする疾患にはどのようなものがありますか
口の中にヒリヒリとした症状が現れた場合は、口内炎、口腔カンジダ症、白板症、舌がん、舌痛症といった疾患が疑われます。口内炎以外はあまり馴染みのない病気なので、困惑してしまうかもしれませんが、歯科や口腔外科なら正しく診断した上で、適切な治療法を提案してくれます。自分だけで抱え込まずに、まずは専門家に相談してください。
口内炎の症状と治療法について教えてください。
口内炎にはいくつかの種類があり、それぞれで症状と治療法が変わってきます。最も一般的なのは「アフタ性口内炎」で、ストレスや疲労、風邪などで免疫力が低下した時に現れやすいです。2〜10mm程度の白っぽい楕円形のデキモノが舌・頬粘膜・歯肉などに生じます。アフタ性口内炎は、十分な栄養と睡眠をとることで症状が改善されていきます。 適合の悪い入れ歯や矯正装置を使っていると、口腔粘膜が白くザラザラになったり、赤く炎症を起こしたりする「カタル性口内炎」を発症することがあります。機械的な刺激の加わり方によって、口内炎の形状も大きく変わります。カタル性口内炎は、根本的な原因となっている装置の修正が必要です。その他にもウイルス性口内炎やカンジダ性口内炎などの種類があります。
口腔カンジダ症の症状と治療法について教えてください。
口腔カンジダ症は、カンジダ・アルビカンスという真菌が原因で発症する感染症です。歯肉・頬粘膜・舌・口蓋などに白色病変が現れて、ケースによっては出血やヒリヒリとした痛みを伴います。口腔カンジダ症は、含嗽剤(がんそうざい)や抗真菌薬(アムホテリシンB、ミコナゾール、フルコナゾール)の外用などで治療することができます。
白板症の症状と治療法について教えてください。
白板症は、口腔粘膜の表面が角化して白斑が生じる病気です。白斑は、隆起やびらん、潰瘍などさまざまな形状で見られるため、一概に語ることは難しいです。口内炎よりも症状が大きく広範囲に現れやすいことから、患者さんも明らかにおかしいと感じます。白板症を放置しているとがん化する恐れがあるため、早期に対処するのが望ましいです。白板症では外科的切除を行うことが多いですが、レーザー療法や凍結療法、薬物療法を実施する場合もあります。
舌がんの症状と治療法について教えてください。
舌に生じる悪性腫瘍を舌がんといいます。臼歯部の舌縁が最も後発しやすい部位で、舌尖や舌背の発生頻度は比較的少ないです。患部には、ピリピリとした痛みが生じるだけでなく、腫瘤や潰瘍も見られます。重症例では、舌全体が硬くなり、舌が動かしにくくなるなどの症状も現れます。そんな舌がんの治療法は、外科手術による患部の摘出が主体となり進行度に応じて切除する範囲が変わってくるため、予後にも大きな違いが見られるでしょう。進行度が浅い舌がんであれば、放射線療法で根治させることも不可能ではありません。
舌痛症の症状と治療法について教えてください。
舌痛症とは、舌に炎症や潰瘍などの明らかな所見が見当たらず、舌の色調や機能も正常であるケースで灼熱感が認められる病気です。心因性疼痛疾患(しんいんせいとうつうしっかん)に分類される病気なので、明白な原因は存在していません。そのため舌痛症の治療もカウンセリングや説明が主体となり、具体的な処置を施すことは稀といえます。例えば、不良補綴物があって、それが間接的に心因性の痛みを引き起こしている場合は、装置の調整を行うこともありますが、それによって必ず症状が改善するとはいえません。

疾患以外で口の中がヒリヒリする原因

疾患以外で口の中がヒリヒリする原因

疾患以外で口の中がヒリヒリする原因について教えてください。
口の中のヒリヒリは、上段で解説したような疾患以外が原因となる場合もあります。具体的には、栄養不足やアレルギー反応、口腔乾燥などが挙げられます。とくに女性に関しては、貧血に伴う舌炎に注意が必要といえます。
口の中がヒリヒリするのを予防するにはどうすれば良いですか?
口の中のヒリヒリは、次のような点に注意することで予防しやすくなります。

・食生活を改善する
食生活に偏りがあると、身体の恒常性を維持するための栄養素が不足するため、さまざまな問題が生じます。そのひとつに口の中のピリピリ感が挙げられるため、日頃からバランスのとれた食生活を心がけるようにしましょう。

・アレルギーのある食物を避ける
食品の中には、アレルギー反応を引き起こすものも含まれています。そこでまずは自分にとって何がアレルゲンとなるのかを知り、その上で身体に害を与えない食生活を心がけるようにしてください。

・飲酒や喫煙を控える
アルコールやタバコの煙は、口腔内に大きなダメージをもたらします。口内炎や白板症の原因となるだけでなく、舌がんのリスクも大きく上昇させることから、飲酒と喫煙は可能な限り控えた方が良いといえます。ちなみにタバコは、歯周病の代表的なリスク因子であると同時に、肺がんのような全身の病気を誘発する可能性も高いため、今日からでも禁煙することをおすすめします。

・ストレスを溜めない
ストレスは口内炎の原因になりますので、上手に解消する方法を見つけましょう。睡眠不足や疲労も口腔組織に悪い影響が及ぶため、可能な限り回避できる生活習慣を身に付けることが大切です。

・唾液腺をマッサージする
全身の病気や加齢などが原因で唾液の分泌量が低下している場合は、唾液腺マッサージをしてその機能を活性化させましょう。唾液の分泌量が増加すると、口内の湿度や衛生状態を良好に保ちやすくなります。

編集部まとめ

このように、口の中がヒリヒリとした場合は、さまざまな原因が考えられます。そこでまずは、食事によるやけどや口腔ケアに伴う外傷など、放置していても問題ない原因かどうかを確かめるために、様子を見てみましょう。口のヒリヒリがなかなか治まらなかったり、逆に症状が強まったりしている場合は、歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科などへの受診が推奨されます。

ヒリヒリ感の原因が口腔カンジダ症、白板症、舌がんといった病気である可能性も否定できません。これらは歯科や口腔外科での具体的な治療が必要となる病気なので、放置することだけは避けてください。そうした口の中のヒリヒリ感を予防したい場合は、食生活を改善する、アレルギーのある食物を避ける、飲酒や喫煙を控える、ストレスを溜めない、唾液腺をマッサージするといった方法が推奨されます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
酒向 誠医師(酒向歯科口腔外科クリニック院長 東京女子医科大学口腔外科 非常勤講師 聖路加国際病院歯科口腔外科 非常勤嘱託)

酒向 誠医師(酒向歯科口腔外科クリニック院長 東京女子医科大学口腔外科 非常勤講師 聖路加国際病院歯科口腔外科 非常勤嘱託)

1980年: 愛知学院大学歯学部入学 1986年: 愛知学院大学歯学部卒業 1986年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科入学 1990年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科卒業 1990年: 愛知学院大学歯学部第2口腔外科講座非常勤助手 1990年: 名古屋第一赤十字病院歯科口腔外科勤務 1993年: 東京女子医科大学歯科口腔外科学講座非常勤助手 1995年: 聖路加国際病院歯科口腔外科勤務 1998年: 東京女子医学大学歯科口腔外科学講座非常勤講師 2005年: 聖路加国際病院退職、酒向歯科口腔外科クリニック開業 2017年: 日本口腔科学会 認定医取得(5/31) 2020年: 日本口蓋裂学会 口腔外科 認定師取得(4/1) 2021年: 日本口腔ケア学会 評議員 2021年: 国際歯学会(ICD ) フェロー認定

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酒向 誠医師(酒向歯科口腔外科クリニック院長 東京女子医科大学口腔外科 非常勤講師 聖路加国際病院歯科口腔外科 非常勤嘱託)

1980年: 愛知学院大学歯学部入学 1986年: 愛知学院大学歯学部卒業 1986年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科入学 1990年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科卒業 1990年: 愛知学院大学歯学部第2口腔外科講座非常勤助手 1990年: 名古屋第一赤十字病院歯科口腔外科勤務 1993年: 東京女子医科大学歯科口腔外科学講座非常勤助手 1995年: 聖路加国際病院歯科口腔外科勤務 1998年: 東京女子医学大学歯科口腔外科学講座非常勤講師 2005年: 聖路加国際病院退職、酒向歯科口腔外科クリニック開業 2017年: 日本口腔科学会 認定医取得(5/31) 2020年: 日本口蓋裂学会 口腔外科 認定師取得(4/1) 2021年: 日本口腔ケア学会 評議員 2021年: 国際歯学会(ICD ) フェロー認定

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