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口腔外科

口腔粘膜疾患を引き起こす原因を知って予防しよう!

口腔粘膜疾患 原因

口腔粘膜疾患は、私たちの日常生活に密接に関わる問題です。食事や会話に影響を与え、時には深刻な健康問題を引き起こすこともあります。 では、どのような原因が口腔粘膜疾患を引き起こすのでしょうか? 本記事では口腔粘膜疾患の原因について以下の点を中心にご紹介します。

  • 口腔粘膜疾患とは
  • 代表的な口腔粘膜疾患とその原因
  • 口腔粘膜疾患と勘違いされやすいもの

口腔粘膜疾患の原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

口腔内で起こる病気の種類

口腔内で起こる病気の種類

口腔内で起こる病気は多岐にわたり、それぞれが異なる原因と症状を持っています。口腔外科では、これらの病気の診断と治療を行います。 口腔外科で扱う主な病気の大分類には以下のようなものがあります。

  • 歯および歯周疾患:歯とその支持組織に影響を与える疾患で、埋伏歯や歯周炎が代表的です。
  • 炎症:口腔内の感染によって引き起こされる炎症で、膿瘍や細菌感染が含まれます。
  • 顎顔面の外傷:故や暴力による顔面の骨折や軟組織の損傷が該当します。
  • 良性腫瘍:口腔内に発生する良性の腫瘍には、粘膜下線維腫や歯原性腫瘍などがあります。
  • 悪性腫瘍:口腔がんを含む悪性腫瘍は、早期発見と治療が重要です。
  • 先天異常:口唇裂や口蓋裂など、生まれつきの異常が含まれます。
  • 骨格性の不正咬合:顎の成長に関連した問題で、矯正治療が必要な場合があります。
  • 口腔粘膜疾患:白斑症や扁平苔癬など、粘膜に影響を及ぼす疾患です。
  • 嚢胞:嚢胞は体内に形成され、液体や半固形物質を含む袋状のものです。歯原性嚢胞や粘液嚢胞など、さまざまな種類の嚢胞があります。
  • 唾液腺の疾患:唾石症やシェーグレン症候群など、唾液腺に関連する疾患です。
  • 神経性疾患:三叉神経痛や顔面神経麻痺など、神経に関連する疾患があります。
  • 顎関節の疾患:顎関節症や顎関節障害など、顎の動きに影響を及ぼす疾患です。
  • その他の疾患:舌痛症、口臭症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などその他、多くの疾患が口腔外科の範囲に含まれます。
  • 手術、手技:抜歯やインプラント治療が含まれます。

口腔外科医は、上記の病気の診断と治療において重要な役割を果たします。患者さんは、症状が現れた場合には速やかに医師の診察を受けましょう。

口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜疾患は、口の中の粘膜(舌、歯肉、口蓋、頬など)に影響を及ぼす一連の病状を指します。口腔粘膜疾患は、粘膜の色調変化、水疱の形成、表面の凹凸、痛みなど、さまざまな症状を引き起こします。

口腔粘膜疾患は、良性であることも、悪性である可能性もあります。また、一部の疾患は時間とともに悪性化する可能性もあります。そのため、口腔粘膜疾患の診断と治療は、専門的な医療知識と技術を必要とします。

治療方法は、疾患の種類と重症度によりますが、投薬、歯や義歯の調整、組織の採取と顕微鏡検査、さらには病変部の切除などが含まれます。治療では、病状の進行を抑え、患者さんの口腔内の健康を回復することを目指しています。

口腔粘膜疾患の予防と早期発見のためには、定期的な歯科検診が重要です。現在の歯科診療では、歯だけでなく、口の中全体をチェックします。これにより、口腔粘膜疾患の初期症状を見つけ出し、早期に治療を開始することが可能になります。

また、口腔粘膜疾患の症状が現れた場合、または何か異常を感じた場合には、すぐに歯科医師に相談することが推奨されます。

口腔内の健康は、全身の健康に直結しているといわれています。だからこそ、口腔粘膜疾患に対する理解と予防が、私たち全体の健康維持につながるのです。

代表的な口腔粘膜疾患

代表的な口腔粘膜疾患

口腔粘膜疾患は、口内炎から口腔がんまで、さまざまな形で現れます。 以下では、代表的な口腔粘膜疾患について詳しく説明します。

口内炎

「口内炎」は、口の中の粘膜に起こる炎症で、頬の内側や舌、唇など口の中ならどこでも発生する可能性があります。口内炎は、物理的な刺激、化学的な刺激、細菌・ウイルス・真菌感染、アレルギー性疾患、先天異常や発育異常、全身疾患などが原因となります。

口内炎の主な種類には、アフタ性口内炎、カタル性口内炎(外傷性口内炎)、ヘルペス性口内炎、カンジダ性口内炎などがあります。
アフタ性口内炎は、粘膜局所の環境の乱れが原因で、白い「アフタ」が特徴です1。一方、カタル性口内炎は、物理的な刺激が主な原因で、赤い炎症や斑点や水ぶくれが特徴です。

口内炎の治療は、症状と原因によります。塗り薬や貼り薬、うがい液、内服薬などが用いられ、必要に応じて歯の治療も行われます。また、口内炎の予防には、口の刺激が強いものを避け、ビタミンB群や葉酸、鉄分や亜鉛などのミネラルを摂取し、口の中の衛生状態を保つことが重要です。

口腔扁平苔癬

「口腔扁平苔癬」は、口腔粘膜の角化異常を伴う慢性炎症疾患で、頬粘膜や舌、歯肉などに多く見られます。口腔扁平苔癬は、白色の網目状やレース状の模様を呈し、周囲の粘膜はただれて赤みを伴います。症状としては刺激痛や口の荒れが主で、前癌状態の一つとされています。

原因としては、金属アレルギー、口内の汚れやガルバニー電流、喫煙やストレス、C型肝炎ウィルス、薬剤アレルギー、遺伝などが考えられます。金属アレルギーは、銀歯や入れ歯の金属部分が触れる部分に発症することが多く、金属を除去すると口腔扁平苔癬が軽快するということがよくあります。

治療法としては、ステロイド軟膏による対症治療、飲み薬による治療、金属アレルギー治療、口内の清掃、歯の治療、家庭での自己管理などがあります。ただし、口腔扁平苔癬は原因がはっきりとしていないため、決定的な治療法がなく、治療は長期にわたることが珍しくありません。

口腔カンジダ症

「口腔カンジダ症」は、口腔内の感染症で、口唇・舌・歯肉・頬粘膜・口蓋・口底などに、びらん・潰瘍・腫瘤・水疱などの症状を呈する疾患です。カンジダ属の真菌が原因となります。口腔カンジダ症は日和見感染であり、免疫力の低下や抗菌薬の使用による口腔内細菌のバランスの変化、口腔内の清掃不良や義歯装着などが誘発要因となります。

主な症状としては、口腔内の違和感、ピリピリ感、接触痛があります。肉眼的には、口蓋や頬粘膜、舌などに容易に剥離できる白苔が見られたり、粘膜萎縮、広範囲の紅斑が見られたりします。乳幼児や高齢者に多く見られるといわれています。

自己免疫性水疱症

「自己免疫性水疱症」は、体の免疫システムが誤って自身の皮膚や粘膜の細胞を攻撃し、水疱(水ぶくれ)やびらんを引き起こす疾患です。自己免疫性水疱症は、口腔粘膜に影響を及ぼし、食事や話すことに困難をもたらすことがあります。治療は症状の重さに応じて異なり、軽度の場合は局所的な治療で対応可能ですが、重症の場合には全身治療が必要となることがあります。

症状は、口の中に痛みを伴う水疱が現れることから始まります。水疱は破裂しやすく、開いた後には痛みを伴うびらんが残ります。時には、食べ物や飲み物が触れるだけで痛みを感じることもあります。自己免疫性水疱症は、天疱瘡や類天疱瘡など、いくつかの異なるタイプがありますが、いずれも自己免疫の過程によって引き起こされる点で共通しています。

診断は、臨床的な症状の観察のほか、血液検査や組織検査、免疫学的検査によって行われます。検査により、体が自身の細胞に対して抗体を作っているかどうかを確認できます。

治療は、ステロイド薬の内服ですが、病状が改善しない場合には免疫抑制剤の使用や血漿交換療法が検討されることもあります。また、最近では生物学的製剤による治療も行われており、症状の管理が改善されることが期待されています。

自己免疫性水疱症は長期にわたる疾患であり、治療には患者さんと医療提供者の密接な協力が必要です。定期的なフォローアップにより、病状の変化に応じた治療の調整が行われます。

白板症

「白板症」は、口腔粘膜に発生する病変の一種で、その名の通り、口の中に白い斑点や板状の病変が現れる特徴があります。白板症は、40歳以上の男性に多く見られ、歯肉、舌の側面、頬の内側などに発生することが知られています。白板症は、外見から歯科医師による視診で初期診断されることが多いですが、確定診断には組織学的検査が必要とされます。

白板症の原因は完全には解明されていませんが、タバコの使用、アルコールの過剰摂取、慢性的な物理的刺激などが関与していると考えられています。また、一部の白板症はがん化するリスクを持っており、舌の縁や底部に発生した場合、そのリスクは高まるといわれています。そのため、定期的なフォローアップと組織検査が推奨されています。

治療法としては、原因となる刺激の除去が第一とされ、例えば不適合な入れ歯の調整や、タバコの使用停止などが挙げられます。症状が進行した場合やがん化のリスクが高いと判断された場合には、外科的な切除が選択されることもあります。ビタミンAの投与による治療が試みられることもありますが、効果は個人差が大きいとされています。

口腔乾燥症

「口腔乾燥症」は、ドライマウスとして知られ、唾液の減少によって口の中が異常に乾燥する症状です。 口腔乾燥症は、食事の咀嚼や嚥下、話すこと、そして味覚を困難にし、口腔内の不快感や痛みを引き起こすことがあります。さらに、口腔乾燥症は虫歯や歯周病、口内炎などのリスクを高める可能性があります。

原因は多岐にわたり、薬剤の副作用、自己免疫疾患、放射線治療、糖尿病、ストレス、加齢などが含まれます。高血圧やアレルギー、抗うつ薬などの薬剤は、唾液分泌を抑制することが知られています。また、シェーグレン症候群のような自己免疫疾患は唾液腺を攻撃し、ドライマウスを引き起こすことがあります。

治療と管理には、原因の特定と対処が重要です。薬剤が原因である場合は、代替薬への変更や用量の調整が考慮されることがあります。自己免疫疾患や他の基礎疾患が関連している場合は、それらの病状の管理が必要です。日常的な対策としては、水分摂取の増加、無糖ガムの咀嚼、唾液代替品の使用、良好な口腔衛生の維持が推奨されます。

診断の流れ

診断の流れ

口腔粘膜疾患の診断プロセスは、患者さんの自覚症状と臨床所見を総合的に評価することから始まります。初診時には、患者さんの詳細な問診が行われ、症状の発生時期、持続時間、痛みの有無、過去の医療歴などが確認されます。次に、視診と触診による口腔内の検査が行われ、異常が見られる粘膜の色、形態、大きさ、表面性状などが評価されます。

診断のための検査には、X線検査や細菌検査、細胞診などが含まれます。検査は、疾患の原因を特定し、適切な治療法を決定するために不可欠です。例えば、カンジダ症の場合は、真菌の存在を確認するための培養検査が行われます。また、悪性の可能性がある場合には、生検や血液検査を含む追加検査が必要となることがあります。

診断後の治療は、疾患の種類や重症度に応じて異なります。軽度の症状であれば、対症療法や経過観察が行われることが多いですが、悪性の疑いがある場合には、速やかに専門の医療機関への紹介が行われます。治療の目的は、症状の緩和と疾患の進行の防止です。

このように、口腔粘膜疾患の診断と治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて細かく調整される必要があります。

口腔粘膜疾患と勘違いされやすいもの

口腔粘膜疾患と勘違いされやすいもの

口腔粘膜疾患は、ほかの症状と間違えやすいこともあります。 以下では、口腔粘膜疾患と勘違いされやすい疾患について解説します。

骨隆起

口腔内の健康を考える際、しばしば見過ごされがちなのが「骨隆起」です。骨隆起は、口腔粘膜下にある骨の突出であり、病的なものではなく、多くの場合、自然な骨の成長によるものです。しかし、この骨隆起が口腔粘膜疾患と誤解されることがあります。

骨隆起は、下顎の舌側や上顎の頬側に見られることが多く、硬くて平らな突起として感じられます。骨隆起は、通常は無症状であり、日常生活において特に問題となることはありません。しかし、義歯や装置の装着に際して不快感や違和感を覚えることがあるため、その場合には歯科医師の診察を受けることが推奨されます。

骨隆起の治療は、存在が患者さんにとって実際の問題を引き起こしている場合にのみ必要です。例えば、義歯のフィットを妨げる場合や、繰り返し噛んでしまうことで痛みを感じる場合などが該当します。そのような状況では、口腔外科手術によって骨隆起を除去することが可能です。

舌乳頭

「舌乳頭」とは、舌の表面に存在する小さな突起で、味覚の感知や食物の摂取に関与しています。健康な舌に自然に存在するもので、病気を示すものではありません。しかし、時には舌乳頭が異常に肥大したり、色が変わることで、口腔粘膜疾患と誤解されることがあります。

舌乳頭の異常は、不適切な口腔衛生、喫煙、過度のアルコール摂取、ストレス、特定の薬剤の使用などによって引き起こされることがあります。これらの要因は、舌乳頭の過剰な成長や色素沈着を促し、舌が黒ずんだり、毛が生えたように見える「毛舌」という状態を引き起こすことがあります。

毛舌は見た目が気になるかもしれませんが、通常は無害で、良性の状態です。治療法としては、原因となる要因の除去、良好な口腔衛生の維持、舌ブラシを使用した舌の清掃などが効果的です。また、舌乳頭の異常が気になる場合は、医師に相談しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで口腔粘膜疾患の原因についてお伝えしてきました。口腔粘膜疾患の原因の要点をまとめると以下の通りです。

  • 口腔粘膜疾患とは、口の中の粘膜に生じる様々な病変である
  • 代表的な口腔粘膜疾患とその原因は、細菌、ウイルス、真菌感染が主な原因である
  • 口腔粘膜疾患と勘違いされやすいものは、正常な舌乳頭や骨隆起も疾患と誤解されがちである

口腔粘膜疾患への理解と予防の重要性を学び、健康な日々を送るための一歩としていただければ幸いです。この記事が皆様の知識の向上と口腔ケアへの意識を高めるきっかけになればと思います。 最後までご覧いただき、感謝申し上げます。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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