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口腔粘膜疾患はアレルギーが関与することもある?代表的な口腔粘膜疾患の種類や治療法も併せて解説!

口腔粘膜疾患はアレルギーが関与することもある?代表的な口腔粘膜疾患の種類や治療法も併せて解説!

口腔粘膜疾患の原因にはさまざまな原因が存在するとされています。 その一つに、アレルギーが関与する可能性があることをご存じでしょうか?
本記事では、口腔粘膜疾患とアレルギーについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 口腔粘膜疾患の原因
  • アレルギーが原因の口腔粘膜疾患の種類
  • アレルギーが原因の口腔粘膜疾患かと思ったら

口腔粘膜疾患とアレルギーについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

口腔粘膜疾患について

口腔粘膜疾患について

口腔粘膜疾患の概要について、詳しく説明します。

口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜疾患は、口唇、舌、歯肉、頬粘膜、口蓋、口底などにびらん、潰瘍、腫瘤、水疱などの異常が現れる疾患です。

口腔粘膜は唾液で保護されていますが、歯や食物、温度などによる刺激を受けやすく、症状が進行しやすいとされています。
また、口腔内には常在菌が多く存在しており、感染しやすい環境であるため、病変が複雑になることもあります。

症状の幅が広いため、診断や原因の特定が難しい場合も少なくありません。病変によっては色や質感が変化し、赤、白、黒、黄、紫などの色調が観察されます。

口腔粘膜疾患は全身疾患の一症状としても現れることがあり、診断や治療にはほかの専門科と連携することも必要です。

口腔粘膜疾患の原因

口腔粘膜疾患の原因は多岐にわたります。 過剰な物理的・化学的刺激、細菌やウイルス、真菌による感染、アレルギー反応、義歯や補綴物の不適合などが主な要因とされています。
また、口腔乾燥症や全身疾患、先天的異常や発育異常も関与するとされています。

さらに、口腔内の炎症である口内炎も口腔粘膜疾患に含まれ、繰り返し発症したり治癒が遅れる場合は、専門的な検査が必要となることがあります。

口腔粘膜疾患とアレルギーの関係

口腔粘膜疾患とアレルギーの関係

口腔粘膜疾患には、金属アレルギーが関与する場合があります。

金属アレルギーの原因はアクセサリーや時計だけではなく、むし歯治療に使用された金属材料も影響を及ぼすことがあります。
金属そのものはアレルゲンではないことが多いとされていますが、口腔内で唾液や汗により金属がイオン化し、その成分が体内に取り込まれることで、アレルギー反応が引き起こされる可能性があります。

歯科治療に使用される合金は、異なる金属が混合されており、そのためイオン化しやすく、アレルギーを引き起こすリスクが高まります。

また、金属アレルギーの症状がすぐに現れるわけではなく、長い年月を経てから突然発症することもあるとされています。
発疹や口腔内の異常などが見られる場合には、金属アレルギーが疑われることがありますが、発症までの期間や症状の強さには個人差があり、体質も影響を及ぼすとされています。

アレルギーが疑われる場合は医師に相談し、パッチテストなどを行いながら治療を進めることが重要です。
金属アレルギーが口腔粘膜疾患の一因となっているケースでは、使用する材料を変更するなどの対応が必要になります。

口腔粘膜疾患の診断

口腔粘膜疾患の診断

口腔粘膜疾患の診断には、視診をもとに、病理組織学的検査や血液検査、細菌・真菌検査などが組み合わせて行われます。

そして、全身疾患が原因で口腔内に症状が現れる場合は、関連診療科と連携して診療が行われます。症状に応じて、歯科金属アレルギーの検査や唾液分泌の機能検査、感染症の検査など、特定の検査が実施される場合もあります。

代表的な口腔粘膜疾患と治療法

代表的な口腔粘膜疾患と治療法

代表的な口腔粘膜疾患には、以下のようなものがあげられます。

白板症(はくばんしょう)

白板症は、頬粘膜や舌、歯肉に生じるこすっても剥がれない白い病変で、なかでも舌にできるものは悪性化のリスクがあるため、前がん病変とされています。

アルコールや喫煙、義歯による機械的刺激、栄養不足などが原因と考えられます。治療では、病理検査を行い悪性化のリスクを評価し、必要に応じて切除が推奨されることが多いとされています。
専門医の紹介や外科的対応が必要になることもあります。

紅板症(こうばんしょう)

紅板症は、舌や歯肉に発生する鮮やかな赤色の病変で、表面がビロード状で平滑なのが特徴です。

特に50歳以上の高齢者に多く見られ、痛みを伴うことがよくあるとされています。この疾患は約50%の確率で悪性化するリスクがあり、前がん病変として早期対応が求められます。

治療では、外科的切除が多い傾向にあり、切除後も定期的な経過観察が重要とされています。

再発性アフタ

再発性アフタは、舌や頬粘膜に繰り返し現れる小さな潰瘍が特徴の疾患です。

潰瘍は黄白色や灰白色の偽膜で覆われ、周囲が赤くなり、食物や刺激物に触れると強い痛みを伴うことが多いとされています。
原因は遺伝やストレス、疲労などさまざまで、明確には解明されていません。

治療は、症状緩和を目的に副腎皮質ステロイドを含む軟膏や貼付薬、うがい薬、場合によっては内服薬やビタミン剤が使用され、再発の軽減が期待されます。

ウイルス性口内炎

ウイルス性口内炎は、ヘルペス性口内炎や手足口病、帯状疱疹などのウイルス感染が原因で発症するとされています。

口腔内に水疱ができ、その後びらんや潰瘍に進行し、強い痛みを伴うことが多く、摂食障害を引き起こすこともあります。
免疫力の低下、栄養不足やストレスが発症の要因です。治療には抗ウイルス薬が基本ですが、症状に応じて抗生剤や鎮痛剤、うがい薬も使用されます。

重症例では専門医への紹介が必要です。

アレルギー性口内炎

アレルギー性口内炎は、特定の物質に対するアレルギー反応が原因で発症する口腔粘膜疾患です。主な原因には、特定の食べ物、薬剤、金属の詰め物や義歯などが含まれるとされています。

アレルギー反応により、口内に白い潰瘍が現れ、その周囲が赤く腫れ、痛みを伴うことが特徴です。
歯科治療に用いられる金属が原因となる場合、アレルゲンとなる金属をアレルギー反応を起こさないメタルフリーの素材に置き換えることが推奨される傾向にあります。
また、食べ物や薬剤が原因である場合は、それらの摂取を控えることで症状の改善が見込まれるとされています。

アレルギー性口内炎の診断には、医療機関でのパッチテストが有用であり、これによりアレルゲンを特定することが期待できます。
治療は、原因となるアレルゲンを避けることが基本で、歯科治療ではアレルギーフリーの素材を使用することが推奨される傾向にあります。予防には、アレルゲンに対する対策が重要とされています。

口腔扁平苔癬(へんぺいたいせん)

口腔扁平苔癬は、主に頬粘膜に白いレース状の模様や白斑、発赤が現れる疾患で、40代〜60代の中高年層に発生する傾向があります。
原因は不明であり、明確な治療法はないとされています。そのため治療は対症療法が中心で、ステロイド軟膏の塗布やビタミン剤、殺菌作用のあるうがい薬が使用されます。
病変が小さい場合は外科的切除も検討されますが、広範囲や重症例では専門医による治療が必要です。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、真菌カンジダ・アルビカンスの異常増殖による感染症で、免疫力低下が主な原因とされています。

急性型では灰白色や乳白色の偽膜が現れ、慢性型では粘膜の肥厚や萎縮、口角炎が見られることが特徴です。

糖尿病や抗菌薬の長期使用が発症の要因となります。治療は抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬が用いられ、重症例では内服薬が処方されることが多いようです。

予防には免疫力を維持する生活習慣が重要です。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘の原因であるヘルペスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が体内の神経に潜伏し、免疫力の低下や体調不良により再活性化して発症する疾患です。

主に三叉神経領域に沿って、口腔内や顔面皮膚に帯状の発赤や小水疱が現れ、強い痛みを伴うのが特徴です。発疹は体の片側だけに現れ、全身に広がることは少ないとされています。重症化する可能性もあり、水疱が治癒した後も痛みが続く“帯状疱疹後神経痛”に進展することがあります。

治療法としては、早期の抗ウイルス薬の投与が重要です。また、痛みの管理には消炎鎮痛薬が使用され、二次感染を防ぐために抗菌薬の投与が行われる場合もあります。局所的にはうがい薬やトローチを用いて口腔内の清潔を保つことがおすすめです。

重症の場合には入院が必要なこともあり、栄養補給や体調管理が求められます。帯状疱疹後神経痛が残る場合には、神経ブロック療法が必要となることがあります。

口腔乾燥症

口腔乾燥症(ドライマウス)は、唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥状態になる疾患です。主な症状には、お口の中の乾燥感、ネバネバ感、ヒリヒリ感、味覚の異常、口臭、舌のひび割れ、口腔内の赤みや痛みが挙げられます。
加齢、ストレス、口呼吸、過度の飲酒、さらには糖尿病やシェーグレン症候群などの全身疾患が原因となることが多いとされています。

治療法としては、まず全身疾患が原因であれば、その治療が優先される傾向にあります。特に糖尿病や鼻炎が原因の場合は、それに対する適切な治療が重要です。
局所的な対処法としては、消炎作用や殺菌作用のあるうがい薬が処方されることがあり、乾燥が強い場合には保湿ジェルの使用が推奨されます。

また、シェーグレン症候群や放射線治療後の口腔乾燥症には、唾液分泌を助ける薬剤や漢方が処方されることもあります。日常生活では、唾液分泌を促すためによく噛んで食事をすることや、こまめな水分補給、唾液腺のマッサージが予防につながります。

天疱瘡(てんぽうそう)

天疱瘡は、口腔粘膜や皮膚に水疱が形成される難治性の疾患です。水疱はすぐに破れてびらんとなり、痂皮(かさぶた)が形成されますが、新たな水疱が次々と出現するため、治癒しにくいのが特徴です。

口腔内に初期症状が現れやすく、食事摂取が困難になることもあります。また、正常に見える皮膚や粘膜を擦るだけで容易に剥離し、出血を伴うびらんが生じる“ニコルスキー現象”が確認される場合もあります。

治療法としては、ステロイド剤や免疫抑制剤の全身投与が基本とされています。これに加えて、副腎皮質ステロイド剤の噴霧薬や軟膏を使用する局所療法も併用されます。
治療は長期にわたることが多く、症状が全身に広がる場合もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。症状の重さに応じた全身的および局所的な管理が必要です。

手足口病

手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる感染症で、主に乳幼児が罹患しやすい疾患とされています。この病気の特徴は、手や足、口腔内の粘膜に小さな水疱ができることです。
口腔内の水疱は破れてアフタ様病変となることがあり、手足にも小さな水疱や発疹が見られます。大人が感染すると、皮膚症状が強く出ることがありますが、自然に治癒することが多いとされています。年齢が進むにつれて症状は軽くなる傾向があります。

治療法としては、ウイルス性疾患であるため抗菌薬は効果がなく、基本的には対症療法が行われます。発熱や頭痛、口腔内の痛みなどに対しては、解熱鎮痛剤が処方されることがあります。
また、お口の中の痛みによって食事が難しい場合は、のど越しのよい食事が推奨されます。脱水を防ぐために水分補給が重要で、安静と栄養に気を配ることが回復を早めます。
小児科での診察が推奨され、注意深く経過を観察することが大切です。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、主に1歳〜5歳の乳幼児や子どもに多く見られるウイルス性疾患で、特に夏に流行することから夏風邪とも呼ばれます。A群コクサッキーウイルスが主な原因とされ、6月下旬〜8月中旬にかけて流行のピークを迎えるとされています。
ヘルパンギーナの特徴的な症状は、突然の39度以上の高熱と、上顎から喉にかけての小さな水泡や口内炎です。これらの水泡は痛みを伴い、食事や飲み物を摂取する際に不快感を引き起こします。口内炎は1週間〜10日程度で治癒し、高熱も4~5日程度で収まるとされています。

治療法は、ウイルス性疾患であるため、抗菌薬は無効とされています。したがって、治療は主に対症療法となります。発熱や喉の痛みに対しては解熱剤や鎮痛剤が使用され、口内炎の痛みが強い場合には、のど越しのよい食事が推奨されています。
また、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が必要です。病状は自然に治癒することが多いとされていますが、症状が重い場合は小児科での受診が勧められます。

お口のトラブルを感じたら早めの受診を

お口のトラブルを感じたら早めの受診を

お口の中は感覚が鋭く、粘膜や舌に異常を感じやすい部位です。口内にできものができたり、痛みや違和感を感じた場合、細菌が多く存在する環境であることから、粘膜が傷つきやすく、トラブルが発生しやすいのが特徴です。
口腔内は直接目で確認できるため、早期発見が可能とされ、異常を感じたら早めに受診して適切な治療を受けることが重要とされています。

しかし、症状によって適切な診療科を選ぶことが必要です。例えば、喉やお口の粘膜に関わる症状がある場合は耳鼻いんこう科を、歯や歯茎の問題がある場合は歯科口腔外科を受診するのが適切です。
舌に異常が生じた場合は、どちらの科でも診察を受けることができます。口内の異常を放置せず、適切な科を選んで早期に対処することで、健康を維持しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで口腔粘膜疾患とアレルギーについてご紹介しました。
口腔粘膜疾患とアレルギーの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 口腔粘膜疾患の原因には、過剰な物理的・化学的刺激、細菌やウイルス、真菌による感染、アレルギー反応、義歯や補綴物の不適合などが主な要因とされている
  • アレルギーが原因の口腔粘膜疾患の種類には、アレルギー性口内炎があげられる
  • アレルギーが原因の口腔粘膜疾患かと思ったら、異常部位によって耳鼻咽喉科もしくは歯科口腔外科へ受診することが大切である

お口の中は異常を感じやすいとされているため、普段の歯磨き時などに正常な状態を覚えておくことも、異常を感じた時の早期発見につながる可能性があります。

これまでの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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