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口腔カンジダの症状は?原因や検査・市販薬で改善できるかも解説

口腔カンジダの症状は?原因や検査・市販薬で改善できるかも解説

歯茎や舌に白い苔状のものが付着していたり口腔内や唇がヒリヒリ痛んだりといった症状がある場合、口腔カンジダを発症しているかもしれません。

口腔カンジダは普段から口腔内に存在するカンジダというカビの一種が異常増殖する疾患で、口腔カンジダ症やカンジダ口内炎とも呼ばれます。

本記事では口腔カンジダの基礎知識について詳しく解説します。

口腔カンジダが疑われる症状が出ている方や、口腔カンジダを発症しないよう気を付けたい方はぜひ最後までご覧ください。

口腔カンジダの症状

歯を気にする男性

口腔カンジダの症状は付着物や皮膚の荒れなど見た目に現れる場合と痛みや乾燥など感覚に現れる場合があり、一般的に以下の3種に分類されます。

  • 偽膜性カンジダ
  • 紅斑性カンジダ
  • 肥厚性カンジダ

肥厚性カンジダはほかの2種と比べ重篤でまれな症例のため本記事では割愛し、偽膜性カンジダ紅斑性カンジダについて詳しく解説します。

口腔カンジダの発症が疑われる場合の自己診断に役立ててください。

舌に白い苔のようなものが付着する

口腔カンジダを発症した場合に多く見られるのが舌に白い苔のようなものが付着する症状で、偽膜性カンジダと呼ばれています。

この白苔こそカンジダが増殖した姿であり、多くは簡単にぬぐい取ることができます。

その他の自覚症状が見られないことも多くありますが、強くこすったり剥がしたりすると出血する場合もあるため注意が必要です。

ただし舌に白苔が付着していても必ず口腔カンジダと断定できるわけではなく、舌苔と呼ばれる垢が溜まった状態が口腔カンジダとよく似ています。

舌苔と口腔カンジダの鑑別はカンジダが異常増殖しているか否かでなされますので、症状を認めたら耳鼻咽喉科や口腔外科などの医療機関で受診してください。

舌がヒリヒリする

舌にヒリヒリとした痛みを感じたり、熱さを感じたりする場合も紅斑性カンジダの可能性があります。

しかしこういった症状の原因は、ストレス・睡眠不足・栄養不足・金属アレルギー・ホルモンバランスの変化など大変多岐にわたります。安易な自己診断は避けましょう。

舌が赤くつるんとする

紅斑性カンジダの症状として舌が赤くつるんとする場合があります。

紅斑性カンジダは別名萎縮性カンジダと呼ばれるとおり粘膜の萎縮を伴う特徴があり、結果として舌乳頭と呼ばれる突起が平らになってしまうのです。

こういった症状は主に鉄分やビタミンなどの栄養不足などによって引き起こされますが、全身疾患の可能性もあるため軽視は禁物です。

味覚に異常がある

歯を気にする女性

食べ物を口腔内に入れた際に味がしない・味が薄い・違う味に感じる味覚障害も、口腔カンジダが原因となっている場合があります。

口腔カンジダの症状として味覚障害が出た場合、何も口腔内に入っていないのに苦味や塩味を感じる事例がよく見られるのが特徴です。

味覚障害の原因は主として亜鉛不足といわれていますが、ときには精神疾患に起因する場合もあるため医療機関で受診することをおすすめします。

口内が乾燥しやすい

口腔カンジダの症状として口腔内が乾燥しやすくなる場合があります。

しかし後述するように唾液の減少が口腔カンジダの原因となる場合も多く、口腔内の乾燥が口腔カンジダ発症の原因なのか結果なのかは自己判断が難しいでしょう。

唇が荒れる

女性の口元

紅斑性カンジダによって腫れる・周りが赤くなる・ただれるなど唇が荒れる症状が認められることもあります。

こういった症状はカンジダ性口唇炎とも呼ばれ、触ると痛いなどの状態になることもあるので放置しないようにしましょう。

唇の両端が切れる

前述した唇の荒れに関連しますが、唇の両端に亀裂が生じるのも紅斑性カンジダが疑われる症状です。

口腔カンジダによる粘膜の荒れと萎縮が口角に現れた結果、こういった症状を呈すると考えられます。

ただし単なる乾燥による場合もあるため、唇の両端が切れたからといって口腔カンジダだと判断するのは早合点が過ぎるでしょう。

口腔カンジダの症状が出る原因

歯をチェックしてもらう高齢女性

口腔カンジダの症状が出た場合、次のような原因が考えられます。

  • 免疫力の低下
  • 唾液の減少
  • 薬の長期服用

原因がわかれば対策もわかりますので、順番に見ていきましょう。

免疫力の低下

人体には細菌などの外敵を排除するため自己と自己以外を見分けて攻撃する仕組みをもっており、これを免疫と呼びます。

本記事の冒頭で触れたとおりカンジダは常に人間の口腔内に存在している菌ですが、普段は免疫の働きによってある程度以上増殖せずにほかの菌と共存しています。

このため免疫が正常に機能している健康な方が口腔カンジダを発症する例は極めてまれであり、免疫力の低下により口腔内の菌のバランスが崩れたときに口腔カンジダを発症するリスクが高まるのです。

免疫力が低下する原因には以下のような事例が挙げられます。

  • 乳幼児や高齢者
  • 栄養不良や衰弱
  • 糖尿病
  • HIV感染
  • ステロイド投与
  • 抗がん剤投与

新生児や高齢者についてはあらためて説明するまでもないでしょう。

しかしそれ以外の年代であっても、栄養不良や過労・睡眠不足・強度のストレスなど衰弱状態でも免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすいと聞いたことがあるのではないでしょうか。

糖尿病の患者さんも免疫力が低下する傾向にあり、特に血糖コントロールが不良になる程口腔カンジダを発症しやすくなるので気を付けましょう。

HIVやAIDSという言葉はよく知られていますが、HIVはヒト免疫不全ウイルス、AIDSは後天性免疫不全症候群と訳されます。

つまりHIV感染イコール免疫力の低下といっても過言ではありませんが、近年では医学の飛躍的な進歩により、早期に服薬治療を行えば免疫を低下させずに通常の生活を送ることが可能になってきています。

ステロイドは腎臓の一部である副腎で生成されるホルモンの一種であり、炎症を沈めたり免疫を抑制したりする効果があるため、さまざまな疾患の治療薬としても使用されているものです。

ただし感染症にかかりやすくなったり血糖値が上昇して糖尿病を発症したりと、副作用も少なくない治療法ですのでステロイドを処方された際は医師とよく相談してください。

抗がん剤には骨髄の機能を低下させる効果があり、通常抗がん剤治療開始から1週間程で特に好中球と呼ばれる白血球が減少し3週間程で回復します。

好中球には体内に侵入してきた病原菌から身体を守る働きがあるため、特にこの期間は注意が必要です。

唾液の減少

唾液は自浄作用や抗菌作用など、口腔内を健康に保つために大きな役割を果たしています。

唾液が少なくなると口臭・むし歯・歯周病・口内炎などのリスクが上昇しますが、口腔カンジダも例外ではありません。

唾液が減少する要因には以下のようなものが考えられます。

  • ストレス
  • 加齢
  • 生活習慣
  • 病気
  • 女性ホルモンの低下

ストレスで唾液が減ると聞くとやや意外に感じるかもしれませんが、緊張するとお口が乾くと言い換えると経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

唾液を分泌する唾液腺は自律神経に支配されており、ストレスがかかると交感神経が強く働いて唾液が減少すると考えられます。

加齢によって筋肉や歯が衰えると食べ物を噛んで飲み込む力が弱くなり、唾液腺への刺激が減って唾液が減少する傾向にあります。

唾液が減少する生活習慣としては食べ物をよく噛まない・口呼吸・喫煙などが挙げられるため、逆の行動をとれば唾液が増えるともいえるでしょう。

糖尿病や甲状腺機能障害などの病気が唾液減少の原因となることもあります。特に糖尿病は前述したように免疫力の低下も招くため、口腔カンジダを併発しやすい病気です。

また更年期など女性ホルモンの低下によって唾液が減少する方も多く、口内が乾燥するドライマウスは特に50歳以上の女性に少なくないといわれています。

抗菌薬・降圧剤・抗アレルギー薬などの長期服用

薬

口腔カンジダの原因となるカンジダは真菌つまりカビですので、抗菌薬は効きません

抗菌薬の長期服用によって口腔内の細菌バランスが崩れた結果カンジダが異常増殖する場合があり、こういった現象は菌交代症と呼ばれます。

また降圧剤・抗アレルギー薬・抗精神薬などの薬には唾液を減少させる副作用が知られています。

ただしこれらの薬は医師が目的をもって処方しているものですので、口腔カンジダを予防するため自己判断で服用を中止してよいものではありません。

副作用が心配なときや口腔カンジダを発症してしまったときなどは、医師に相談し治療方針を決定してください。

口腔カンジダの検査方法

顕微鏡を覗く研究者

医療機関を口腔カンジダの疑いで受診した際、検査方法として用いられるのは顕微鏡による検査と培養検査です。

顕微鏡による検査は口内や舌の表面を拭った液を特殊な方法で染色して顕微鏡で確認する方法で、菌糸が認められれば口腔カンジダと確定診断されます。

顕微鏡による検査は迅速に診断を下せる利点がありますが、菌糸が認められなかった場合には正確な診断が困難です。

培養検査は口内や舌を拭った液を寒天を使った培地で2日から1週間程度培養し、コロニーと呼ばれる細菌の集まりの数を評価する方法です。

前述したようにカンジダは常在菌ですので、検出されたからといって即座に口腔カンジダと診断されるわけではありません。

口腔カンジダを発症しているか否かは、培養されたコロニーの数を見て判断されます。

口腔カンジダの症状の治療法

女性歯科衛生士と男性患者

口腔カンジダは免疫力が低下しているときに発症しやすい病気です。強い痛みや外見的な変化がないからといって放置していると、食道カンジダ・肺カンジダ・カンジダ血症などに移行する恐れがあります。

このため早急な治療が望まれますが、口腔カンジダ治療は原因となっている疾患や生活習慣の改善を検討したうえで、抗真菌薬の局所投薬を行うのが一般的です。

日本国内で口腔カンジダ治療薬として保険が適用される薬剤は、口腔粘膜に直接塗布するものやお口に含んだ後に飲み込むものなど数種類あります。医師からそれぞれの特徴をよく聞いて選択しましょう。

口腔カンジダの予防法

女性の口元

口腔カンジダは見た目の悪化や痛みがあるほか、呼吸器や消化器などに転移して重症化する恐れがある病気です。

たかがカビとあなどらず、しっかり予防策を講じましょう。

口腔カンジダを予防するにあたっては口腔カンジダの原因となる要素を極力排除するのが第一ですが、ここからはやや特殊な原因と予防策を解説します。

ステロイド軟膏の長期使用を避ける

ステロイド軟膏は免疫反応を抑えることにより強い抗炎症作用を発揮し、皮膚の赤みやかゆみを鎮める効果があります。

ステロイドには血糖値を上げたり骨粗しょう症のリスクを高めたりといった副作用が知られていますが、軟膏は内服薬に比べこういった副作用のリスクは高くありません。

しかし長期使用をしていれば免疫が抑制されたままとなり、血糖値上昇もあわせて口腔カンジダの発症リスクが上がってもおかしくはないでしょう。

したがって口腔カンジダの予防という観点からもステロイド軟膏の長期使用は避けるのが無難です。

なおステロイドは真菌を含む感染症の原因となりうる薬ですので、口腔カンジダの患部にステロイド軟膏を塗布してはいけません。

ステロイド吸入は食前にする

気道の炎症を抑え喘息の発作を予防する薬としてステロイド吸入を行っている方は、口腔内や食道に薬剤が残留するとカンジダ増殖リスクが高まってしまいます。

しかし食前にステロイド吸入を行うと食事によって口腔内や食道の薬剤を除去できる可能性が高まり、口腔カンジダや食道カンジダの発症リスクを下げられるのです。

就寝時は入れ歯を外し清潔に保つ

高齢者には唾液減少以外にもうひとつ口腔カンジダの原因となる要素があります。

入れ歯を使用している方は、入れ歯の凹凸や粘膜との接触部分がカンジダの温床になりやすい点に注意が必要です。

したがって入れ歯は毎食ごとに外して洗うのが望ましいですが、特に就寝時は外して口内を清潔に保つよう努めましょう。

唾液腺のマッサージをする

口腔内には耳下腺・顎下腺・舌下腺という唾液が多く出るポイントがあり、総称して唾液腺と呼びます。

朝の起床後や食事前に唾液腺を刺激するマッサージを行うと、唾液が分泌量が増加し口腔カンジダの発症リスクが下がりますのでぜひ実践してみてください。

詳しい方法は以下のとおりです。

  • 親指以外の4本の指を頬にあて、上の奥歯のあたりを後ろから前へ押す
  • 両手の親指で、顎の内側のやわらかい部分を耳の下から顎の先端まで押す
  • 両手の親指を揃え、顎の真下から舌を押し上げるように押す

いかがでしょう。唾液の分泌が実感できたのではないしょうか。

口腔カンジダの症状は市販薬で改善できる?

赤い液体

口腔カンジダの治療薬として市販されている薬はありませんが、ポピドン・ヨードを成分とするよく知られたうがい薬で口腔カンジダを改善できる可能性があります。

しかしながらその効果は限定的といわざるをえません。基本的には医師から処方される抗真菌薬での治療が、より効果的な方法であることに疑いはありません。

まとめ

舌を出す女性

カンジダという病名を聞いて、性行為によって感染する疾患だと認識している方がいるかもしれません。

しかしながら口腔カンジダを含むカンジダ症は本記事でお伝えしたように性感染症とは異なる原因で発症する疾患であり、誰かに相談するのが恥ずかしいなどと考えるのはまったくの誤解です。

もしかしたらカンジダは、宿主である私たちに身体の変調を知らせてくれているとは考えられないでしょうか。

あるいはさらに重大な疾患が隠れているかもしれませんので、発症が疑われる場合はなるべく速やかに医療機関で受診しましょう。

そして最後に、免疫は口腔カンジダだけでなくさまざまな感染症から身体を守ってくれる大切な機能です。

免疫が正常な能力を発揮できるよう、日頃からバランスのよい食事十分な睡眠適度な運動を心がけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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