口腔内に白いできものができたら、不安に感じることもあるでしょう。口腔内のできものは痛みを伴ったり、会話や食事をするときに違和感を覚えるかもしれません。
なかなか治らなければ放置せず、しっかりと治療をしていく必要があります。また万が一、口腔がんになる可能性があれば、さらに不安は強くなるものです。
本記事では、白板症の症状・原因・検査・治療がどういったものか解説します。また、白板症の早期発見方法や注意点についても解説していきます。
白板症の原因や症状
- 白板症とはどのような病気ですか?
- 白板症とは、口腔内の粘膜の上皮とよばれる外側の部分が膨らんでしまい、白くみえる状態のことです。上皮が厚く膨らむことで、その下の毛細血管が透けてみえなくなることで白くなっているようにみえます。主に頬粘膜・舌・歯肉にできます。数週間など期間をおいても改善せず、長期間にわたって病変が残るものです。発生頻度の高い病気で、女性よりも男性に起こりやすいといわれています。白板症の特徴は、白くなっている部分をこすっても取り除けないことです。白くなる原因がカンジダ症などのカビが原因の場合には、こすることで取り除けます。場合によっては部分的に赤くなっていたり、ただれが起こっていることもあります。
- 原因を教えてください。
- 白板症ができる原因ははっきりと明らかになっていません。しかし、日常的に口腔内に刺激が加わることが原因ではと考えられています。口腔内の刺激になるものとして、アルコールやタバコなどの嗜好品・ビタミンA・ビタミンBの栄養素不足・被せ物が合っていない不良補綴物(ふりょうほてつぶつ)・加齢などが挙げられます。
- どのような症状が出るのですか?
- 白板症の症状は口腔粘膜に白い斑点ができることです。基本的に痛みなどの症状はありません。赤くただれていたり、潰瘍ができている場合には食事のときに痛みを感じることがあります。痛みなどの自覚症状がなく、口腔内の一部が白くなるだけの場合が少なくないため、発見が遅くなることがあるかもしれません。白板症の痛みは、経過観察していても改善しないものです。痛みが続く場合には歯科医師を受診し、診察を受けましょう。
- 白板症は悪性化するケースもありますか?
- 白板症は前がん病変とよばれています。がんではありませんが、がん化するリスクがある病変のことです。白板症は均一型白板症と不均一型白板症に分類されます。表面の肥厚が均一なものを均一型白板症といいます。均一型白板症はがん化する可能性が低いとされている病変です。表面の肥厚がでこぼこしていたり、びらんを形成している場合は不均一白板症と分類されます。不均一白板症は、初期の粘膜がんや上皮内がんとの判別が難しい病変です。そのため、白板症の経過観察中にがん化している場合も少なくありません。定期的に歯科医師の診察を受け、早期発見できるようにしていきましょう。
白板症の検査や治療
- 白板症が疑われる場合は何科を受診すればよいですか?
- まずはかかりつけの歯科医院を受診しましょう。かかりつけがない場合には口腔外科を受診するとよいでしょう。白板症は経過観察となることも少なくないため、無理なく通える歯科医院を選ぶとよいです。しかし、白板症の状態により切除手術が必要となる場合には、対応できる病院へ転院する必要があるかもしれません。切除手術は口腔外科で行っているため、初めから口腔外科を受診したり、口腔外科をもつ病院と連携している歯科医院を選択するとよいでしょう。
- どのような検査が行われますか?
- 口腔内を診察し白板症の場合は、組織を採取して検査を行う擦過細胞診や生検が行われる場合があります。組織を採取するというと痛い検査をイメージしますが、擦過細胞診はこすりとるといったイメージです。生検をする場合は組織を採取しますが、局所麻酔をして行うこともあります。特に白板症の部分にしこりや潰瘍があるものは、生検をする可能性が高いです。しこりや潰瘍がある白板症は、後々がん化する可能性があるため早期に発見できれば治療につなげられるでしょう。しかしなかには、長い年数をかけて悪性に変化する白板症もあります。定期的に診察を行い、痛みなどの症状が伴うものであれば再度生検をする場合もあります。
- 治療方法を教えてください。
- 白板症の原因が被せ物が合っていない不良補綴物の場合は、被せ物を除去して経過観察をします。被せ物を除去することで悪化がなく、徐々に改善が見られることもあるでしょう。また、栄養素が不足している場合はビタミンAの投与で改善がみられることも少なくありません。その他の原因が考えられる場合は、白板症の分類によって治療方法が異なります。白板症は表皮の肥厚の状態により均一型白板症と不均一型白板症に分類できます。表面の肥厚が均一なものが均一型白板症です。均一型白板症の場合は、半年から1年に1回程度の期間をおいて経過観察をします。表面の肥厚が均一でないものが不均一型白板症で、白板症の一部に痛みや違和感が生じることがあります。不均一型白板症は、初期のがんや上皮内がんとの判別が難しいものです。そのため、定期的に医師の診察が必要となります。場合によってはがん化する可能性もあるため、特に注意して経過観察を行い、必要に応じて白板症の切除手術を検討します。
白板症の早期発見や注意点
- 白板症を早期発見するにはどうしたらよいですか?
- 日常的に口腔内を観察する習慣を身に付けることが大切です。口腔内をライトで照らし、鏡で見ながらよく観察してみましょう。日常的に行うことで、口腔内のわずかな変化に気がつけます。口腔内を観察するときは舌・頬粘膜・口蓋(口腔内の上側の部分)・口底(舌の下の部分)を観察します。白いできものができた場合は、その部位をこすってみましょう。カビなどが原因で白くなっている場合は、こすると除去できます。しかし、白板症はこすっても白い部分を除去することが難しいものです。そのため、白板症の可能性がある白いできものができた場合は、歯科医院を受診し相談してみるとよいでしょう。
- 白板症を予防する方法はありますか?
- 白板症を予防する方法はありません。そのため口腔トラブルを起こさないためにも、毎日しっかりと歯磨きをし口腔内を清潔にしておくことが大切です。歯ブラシや歯間ブラシを使用した歯磨きを毎日行い、口腔内を清潔に保ちましょう。定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらうのもよいでしょう。また、義歯が欠損していたり歯肉がやせてしまった場合には、速やかに歯科医院へ調整を依頼してください。不良補綴物が原因で白板症となることもあるため、詰め物が尖っているなど違和感があるときには歯科医院を受診し、研磨してもらうとよいです。口腔内の状態で気になることがあれば、早めに歯科医院を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
- 日常生活での注意点があれば教えてください。
- 日常生活においての注意点は規則正しい生活と口腔内の清潔を保つことです。刺激の強い食べ物の摂取を避け、バランスのよい食事を心がけましょう。また、喫煙習慣は白板症への影響を考え、量を減らしたり禁煙するとよいでしょう。睡眠不足になると免疫力が低下し口腔内の細菌が発生しやすくなるため、十分な睡眠をとることも口腔内の健康を保つために大切なことです。毎日口腔内を清潔に保ち、日常的に口腔内を観察する習慣を身に付けるとよいでしょう。奥歯や舌の下などは自分では観察しにくい部分です。そのため、定期的に歯科医院で検診を受け、病変の早期発見に努めましょう。
編集部まとめ
白板症は口腔内の粘膜が肥厚し白くみえる病変です。基本的に痛みなどの症状はありません。
そのため白板症を早期に発見するためには、日常的に口腔内を観察する習慣が大切です。口腔内を観察することで、早期に異常の発見できます。
白板症は痛みなどがなければ経過観察となることも少なくありません。しかし、悪性化するリスクも少なくないため、定期的に歯科医師の診察を受けることが大切です。
口腔内は自分では観察しにくい部分もあるため、白板症の有無に関わらず定期的に歯科医院での検診を受けるようにしましょう。
参考文献