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舌がひび割れしてる?考えられる原因や対策について解説します!

舌がひび割れしてる?考えられる原因や対策について解説します!

舌のひび割れである「溝状舌」は、舌の表面に多数の溝ができる状態です。ほとんどは生まれつきである先天性のものですが、一部、後天性のものもあります。ほとんどの場合、自覚症状はなく、生活上深刻な問題がおこることはあまりありません。 しかし、舌に深い溝が多くあるため、よごれや細菌が付着しやすく、舌苔が付着しやすいため、お口と舌のケアで清潔を心がける必要があります。

この記事では、その原因や対策を詳しく解説します。
本記事では舌のひび割れについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 舌がひび割れている時に疑う病気
  • 溝状舌の原因
  • 舌のひび割れの対処法

舌のひび割れについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

舌のひび割れは病気?

舌のひび割れは病気?

舌のひび割れは必ずしも重大な病気ではありません。多くの場合、溝状舌は先天的な特徴であり、自覚症状がない場合は治療の必要はなく、心配は不要です。

一部、以下のように後天的に生じるものがあります。

  1. 全身疾患に伴ってしておこるもの
  2. 加齢変化によるもの
  3. ドライマウス(口腔乾燥症)に伴っておこるもの
  4. ビタミン欠乏症
  5. 舌の外傷によるひび割れ
  6. 舌の感染による炎症がきっかけでおこるもの

このような後天的な舌のひび割れ、後天性溝状舌に対しては、原因となる病気の治療や、自覚症状がある場合は対症療法が必要になることがあるので、専門の医師や歯科医院での相談をお勧めします。

舌がひび割れる溝状舌とは

舌がひび割れる溝状舌とは

溝状舌は、舌の表面に深い溝やシワが形成される状態で、生まれつきの形態異常である先天性溝状舌と、後天性溝状舌(全身疾患に伴ってしておこるもの、加齢変化によるもの、ドライマウス(口腔乾燥症)に伴っておこるもの、ビタミン欠乏症、舌の外傷によるひび割れ、舌の感染による慢性炎症がきっかけでおこるものなど)があります。

多くの溝状舌は先天的な形態異常が原因とされています。舌表面に多くの深い皺や溝ができて舌が割れたように見えるため、見た目の異常に気づくことが多いですが、通常は他の症状を伴わないことが一般的です。

症状のない溝状舌は特に治療の必要はありません。しかし、溝によごれがたまって細菌が付着しやすく不潔になりやすいため、口臭の原因のひとつになる場合や、感染により舌粘膜の炎症をおこして痛みが生じる場合があります。自覚症状がある場合は歯科医院や口腔外科の専門医での相談や治療をお勧めします。

自覚症状がない場合でも、溝状舌があると舌によごれがたまりやすいので、定期的なケアを行い、口腔内や舌の表面の清潔を保つことをお勧めします。舌のケアの方法として、舌を清掃する際には、舌専用の舌ブラシや柔らかめの歯ブラシを選び、奥から手前へ数回程度舌の表面を優しくこすることで、溜まった汚れを取り除くことができます。
ただし、やり過ぎると舌炎を発症する恐れがあるため、注意が必要です。

溝状舌について

溝状舌について

溝状舌は、舌の表面に深い溝やシワが現れる状態であり、その原因は先天的なものと、後天的なものがあります。ここでは、その具体的な原因と対策について詳しく説明します。

溝状舌の原因 ①先天的なもの

多くの溝状舌は先天的なものです。先天性溝状舌は、形成異常や奇形、変形症に相当する先天異常のひとつです。例えば、先天性の染色体異常の一つであるダウン症の方の約80%に溝状舌が見られるとの報告もあります。また、遺伝的要因により、数世代にわたり同一家族内で発生する頻度が高くなるケースもあります。

生まれつき溝状舌を持つ人は、通常、特別な治療は必要とせず、経過観察が一般的です。しかし、舌の溝やひび割れにより細菌が付着しやすくなり、舌苔がたまりやすくなることが問題となることがあるため、口腔内の清潔を保つことが重要です。舌表面のよごれが気になる時は、舌を優しくブラッシングし、溜まった汚れを取り除くことが推奨されます。

定期的な口腔ケアを行い、舌表面の清潔を維持することで、口臭や感染のリスクを軽減できます。舌に痛みや炎症が生じた場合は、早めに歯科医師に相談することが重要です。専門医の指導の下で適切なケアを行うことで、舌の健康を維持しやすくなります。

溝状舌の原因②口腔乾燥症(ドライマウス)

口腔乾燥症(ドライマウス)で唾液の分泌が減少し、口内が乾燥すると、舌の表面の潤いが失われ、ひび割れや溝ができやすくなることがあります。

ドライマウスの原因として、以下のものがあります。

  1. 薬の副作用
  2. 糖尿病、腎疾患
  3. シェーグレン症候群など膠原病
  4. 放射線治療後
  5. 中枢および末梢神経障害
  6. 精神的ストレス
  7. 筋力低下
  8. 口呼吸
  9. 加齢

症状が軽度で唾液腺の機能不全が重度でない場合は、唾液分泌を促進するような日常生活の工夫(食事の工夫、唾液腺マッサージなどの口腔ケア)を行って症状の改善を目指します。原因疾患がはっきりしていて治療が可能な場合は、原因疾患の治療を行います。

原因の除去や治療が困難な場合は、対症療法として薬剤や人工唾液を使用することもあります。口腔の乾燥が続いてお困りの場合は、専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

溝状舌の原因③外傷・感染

部分的な舌のひび割れは、外傷が原因で発生することもあります。舌を誤って噛んでしまったり、むし歯や不適合な詰め物、熱い食べ物による火傷などで舌が傷つくと、炎症が生じ、その結果、細菌感染が引き起こされることがあります。これにより、舌が腫れたり化膿し、溝状の亀裂が形成されることがあります。
また、感染による舌の慢性炎症に伴い、溝状舌が出現することもあると言われています。

外傷による舌のひび割れについては、治療が必要な場合は創傷部の治療を行うとともに、虫歯や不適合な詰め物など原因になったものが明らかな場合は原因を除去します。舌の炎症についても診断や治療が必要な場合があります。症状が続く場合は、早めに専門医を受診することをお勧めします。

溝状舌の原因④ビタミンやミネラル類などの欠乏症

ビタミンB12などの欠乏が、後天性溝状舌の一因となることがあるとも考えられています。
通常の生活を送っている場合にはこのようなビタミンやミネラルの欠乏症で後天性溝状舌などの舌の異常が出ることは稀ですが、様々な全身疾患によりこれらの栄養素の吸収不全がおこると、結果として舌の異常が発生することがあります。

ビタミンなどの栄養素の吸収不全は、消化器疾患などによって引き起こされることがあります。これらの疾患により、日常的に必要な栄養素の摂取量が極端に減少すると、舌の健康を維持するための栄養が不足し、結果として溝状舌が発生することがあります。ただし、通常の生活を送っている場合、栄養不足によって舌に異常が出ることは稀です。

消化器疾患などの全身疾患があり、舌の異常が気になる場合は、医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

溝状舌の原因⑤メルカーソン・ローゼンタール症候群

メルカーソン・ローゼンタール症候群は、20代の若者に好発する反復性の口唇腫脹、溝状舌、顔面神経麻痺という、3つの主症状を特徴とした稀な疾患です。この症候群は、突然口唇が大きく腫れ、自覚症状はありませんが、再発を繰り返してゴムのような硬さになり、腫れが持続するようになります。口唇の腫れと同時に舌も腫れ、舌には深いシワが形成されることがあります。また、顔面神経麻痺も併発することが特徴です。

メルカーソン・ローゼンタール症候群に伴う溝状舌の原因は完全には解明されていませんが、金属アレルギー、感染、免疫不全、遺伝的要因などが関与していると考えられています。

舌のひび割れ(溝状舌)の対処法

舌のひび割れ(溝状舌)の対処法

溝状舌の対処は、その原因や症状によって異なります。

      1. 先天性溝状舌
        先天的溝状舌は自覚症状がないことがほとんどで、特別な治療を行う必要がないことが一般的です。しかし、舌の溝やひび割れに細菌が付着しやすく、舌苔がたまりやすいため、口臭や感染が問題になる場合があります。その場合は、舌を柔らかいブラシでやさしくブラッシングして、溜まったよごれを少しずつ除去して舌表面の清潔を心がけてください。
        舌の痛みや炎症が生じ、続く場合は早めに専門医に相談することをお勧めします。
      2. 後天性溝状舌のうち、原因がはっきりわかっており原因の除去や治療が可能なもの
        後天性溝状舌のうち、なんらかの自覚症状があり、一部のドライマウスや外傷、舌の感染、ビタミン欠乏症など、原因や原因疾患がはっきりしていて除去や治療が可能なものは、原因の除去や治療をまず行います。
      3. 後天性溝状舌のうち、原因の除去や治療が困難なもの
        後天性溝状舌で、一部のドライマウス(シェーグレン症候群、放射線治療後、加齢によるもの)のように原因の除去がむずかしいものもあります。唾液腺の機能不全や器質障害が顕著であり、自覚症状がある場合は、唾液の分泌を促進する内服薬や、人工唾液を使用する場合があります。自覚症状が軽度で、唾液分泌の機能不全が重度でない場合は、日常生活の工夫(食事の工夫、口腔内の保湿、唾液腺マッサージなどのセルフケアなど)で対処することもあります。

      医師による診断と治療

      多くの溝状舌には自覚症状を伴わず、症状のない溝状舌は特に治療の必要はありません。しかしながら、痛みなどの自覚症状が続く場合は、歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科の専門医に相談することが重要です。

      医師は専門的な診断を行い、必要な治療法を提案してくれます。溝状舌の原因は個人によって異なるため、適切な対処法を見つけるためには専門家の診断とアドバイスが必要です。

      まとめ

      まとめ

      ここまで溝状舌、舌のひび割れについてお伝えしてきました。
      要点をまとめると以下のとおりです。

          • 溝状舌、舌のひび割れがある場合、いくつかの原因が考えられる
          • 溝状舌の原因の多くは先天性の形成異常である。
          • 後天性溝状舌の原因は、口腔乾燥症、加齢、舌の外傷や感染、ビタミン欠乏症、メルカーソン・ローゼンタール症候群など多岐にわたる。

      これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
      最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
飯澤 二葉子医師(医療福祉センターさくら歯科診療室)

飯澤 二葉子医師(医療福祉センターさくら歯科診療室)

新潟大学歯学部 卒業 / 新潟大学大学院医歯学総合研究科 卒業 / 歯学博士 / 大学病院勤務を経て、現在の所属先病院歯科に勤務 / 専門は小児歯科および障害者歯科

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