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口の中のできものは何科を受診する?口内炎・口腔がんの症状や治療法を解説

口の中 できもの 病院

口の中にできものができたら、あなたはどのように対処するでしょうか。口内炎や食事によるやけどなどの軽い症状であれば、ほとんどの方は自然に治るのを待つでしょう。

しかし口の中のできものの中には、数週間〜1ヵ月と症状が続く場合があります。その場合は、口腔がんなどの大きな病気にかかっている可能性があるため、受診を検討しましょう。

この記事では口の中にできものができたら、何科を受診するべきかを解説します。口内炎・口腔がんの症状や治療法も併せて紹介するので、受診する際の参考にしてみてください。

口の中のできものは病院の何科を受診する?

考える医師

口の中にできものができる病気にはどのようなものがありますか?
口腔内は歯肉・舌・頬などの粘膜で構成されており、炎症やアレルギーなどが原因でさまざまな口腔トラブルを引き起こします。具体的に口の中にできものができる病気として、以下のものが挙げられます。

  • 口内炎
  • 口腔カンジダ症
  • 扁平苔癬
  • 白板症
  • 口腔がん
  • 粘液嚢胞

口内炎は細菌・ウイルス・外的刺激・ストレスなどさまざま要因で発症する、身近なお口の中のできものの一つです。
原因は不明といわれており、特定の何かではありません。ほかの病気も同様にはっきりした原因はなく、さまざまな要因が重なった結果、発症すると考えられます。ちょっとした傷で口内炎ができることもあるので、口腔内はデリケートな組織といえるでしょう。
一方で、心当たりがないにも関わらず、口内炎のような症状がある場合は口腔がんの可能性があります
口の中のできものは軽い症状のものから大きな病気まで幅広いため、軽視しないようにしましょう。

口内炎など口の中のできものは何科を受診すればよいですか?
口の中のできものは耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科を受診しましょう。
いずれも口腔内を専門的に診てくれる診療科であるため、通いやすい医療機関を探してみてはいかがでしょうか。また、口内炎の原因はさまざまで症状が軽ければ自然治癒することがほとんどですが、長引く場合や痛みがひどい場合は早めに受診することをおすすめします。
口腔外科ではどのような病気を扱うのでしょうか?
口腔外科では、口の中だけでなく、顎や顔面に関わる病気を扱います。
口蓋裂という先天性疾患や唾液腺の異常により唾液分泌が正常にされなくなるシェーグレン症候群の治療なども対象です。交通事故や喧嘩などによる顔面の外傷の治療も口腔外科で治療します。
口腔外科では口内炎や親知らずの抜歯などの口腔内の治療だけでなく、顔面に関わる幅広い病気に対応しています。

口内炎・口腔がんの症状や治療法

口腔内を気にする男性

口内炎の症状について教えてください。
口内炎は、口腔内の粘膜に起こる炎症のことです。
炎症により灰白色の潰瘍ができたり、痛みを感じたりします。食事や歯磨きなどの刺激による痛みを繰り返す人は少なくないでしょう。なお、口内炎は4種類に分類され、それぞれ特徴があります。
たとえばアフタ性口内炎は周囲の粘膜と境目がはっきりした灰白色の潰瘍ですが、カタル性口内炎は炎症の境目がわかりづらいです。カビの一種のカンジダやヘルペスウイルスが原因で起こる口内炎もあり、いずれも免疫力の低下が関わっています。
アフタ性口内炎の原因ははっきりしていませんが、通常は1〜2週間程度で自然治癒するため痛みがひどくなければ放置しても問題ないでしょう。しかし、症状が長引く場合はほかの病気の可能性があるので早めに受診しましょう。
口腔外科では口内炎の治療をどのように行うのですか?
口内炎の治療は口内炎の種類によって治療方法が分かれます。原因がはっきりしていないアフタ性口内炎は自然治癒も可能ですが、痛みがひどい場合は副腎皮質ステロイドの外用剤や炎症止めの成分が入ったうがい薬を使用します。
ヘルペスやカビが原因の口内炎の場合は、抗真菌剤や抗ウイルス薬など、それぞれに適した治療をする必要があるでしょう。また、ビタミンB2、B6などの栄養を補う治療もあります。
いずれの治療においても口腔内を清潔に保つことが大切です。口腔内が不潔な状態では治療の妨げになるためです。
口腔粘膜に障害を与える飲酒や喫煙なども治療中は控えるようにしましょう。
口腔がんの種類を教えてください。
口の中にできるがんを口腔がんといい、粘膜組織から発生する扁平上皮がんに分類されます。部位によって口腔がんの名称が異なり、以下の種類があります。

  • 舌がん
  • 歯肉がん
  • 口腔底がん
  • 硬口蓋がん
  • 頬粘膜がん

口腔がんを発症した日本人全体の半分程度が舌がんといわれており、舌の側面や裏側にできることがほとんどです。
ほかの口腔がんは歯茎にできる歯肉がん・下顎にできる口腔底がん・上顎にできる硬口蓋がん・頬の内側にできる頬粘膜がんがあります。口腔がんは、初期の段階では症状が軽いため、放置してしまうことも少なくありません。
口の中に違和感を覚えるようになったら、一度口の中を鏡などを使って確認しておくとよいでしょう。そして、気になる症状があれば早めに受診することをおすすめします。

口腔がんの症状を教えてください。
口腔がんを発症すると以下の症状が挙げられます。

  • 粘膜が赤くなったり、白くなったりする
  • 炎症部位に触れると硬い
  • 歯茎の腫れや出血
  • 口が開けにくい、食事がしにくい
  • 首筋や顎の下あたりにしこりができる
  • 炎症部位から出血

口腔がんの初期では痛みがほとんどなく、出血もありません。粘膜が少し荒れる程度であるため、ただの口内炎だと勘違いして放置してしまうことがほとんどです。
口腔がんを放置すると、がんが進行するため出血や痛みが出るようになります。口腔がんは進行性であり、症状が長引くため、上記の症状が2週間以上続く場合は口腔外科に受診しましょう。

口腔外科で行われる口腔がんの治療方法を教えてください。
口腔がんの治療は手術・放射線治療・化学療法の3種類あり、がんの進行具合で治療方法が異なります。
口腔がんの初期では、手術によってがんの発生部位を切除する治療が第一選択です。がんの再発を防ぐために少し大きめに切除するため、正常な組織も一緒に取り除くことになります。欠損部位が大きくなった場合は、再建手術も合わせて行います。
再建手術とは、患者さんの体の別の組織から欠損部位へ組織を移植し、切除部位を元の状態に近づける治療法です。また、がんが進行すると骨転移・リンパ節転移など、がんの領域が広がってしまうことがあります。
がんが進行している場合は、手術だけではがん細胞を取り除くことが困難であるため、放射線治療や化学療法を組み合わせた治療を行います。がんを適切に取り除くために、がんの進行度を把握したうえで適切な治療を選択することが大切です。

口の中のできもので受診する目安や注意点

女性医師

口の中のできもので口腔外科を受診する目安を教えてください。
口腔外科を受診する目安は、口の中のできものの状態が悪化していないかどうかです。
ただの口内炎でしたら、口腔内を清潔に保つことで自然治癒することがほとんどです。
炎症が長引く場合は細菌・ウイルス感染の可能性があるため、早めに受診しましょう。
また、なかなか治らない口内炎にも注意が必要です。なぜなら、初期の口腔がんは口内炎と症状が類似しており、口腔がんである可能性があるためです。それゆえに口内炎が2週間以上続く場合も受診の必要があります。
口の中にできものがあるときの食事の注意点を教えてください。
口の中にできものがあるときは、炎症が起こっているため口の中に刺激を与えないようにしましょう
刺激になる食事の特徴は味が濃い・辛い・酸っぱい・熱いなどです。また、水分が少ないものや固いものも、咀嚼する際に刺激になります。
なるべく薄味で水分が多く、やわらかい食事が好ましいでしょう。食後は歯磨きを行い、清潔な状態を維持することも大切です。

編集部まとめ

事務作業 女性医師

口の中のできものは、口内炎や口腔がんなど軽い症状から大きな病気までさまざまです。痛みや出血などの症状が続く場合は、早めに受診しましょう

また、口腔内はデリケートであるため、口の中にできものがあるときの食事内容に注意が必要です。薄味でやわらかい食事がよいでしょう。

受診する際は、耳鼻咽喉科・口腔外科・歯科のいずれかをおすすめします。口内炎が長引く場合などは、近くの医療機関で相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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