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地図状舌の治し方や原因、症状、セルフチェック方法など詳しく解説します!

地図状舌の治し方や原因、症状、セルフチェック方法など詳しく解説します!

地図状舌という言葉を聞いたことはありますか? 地図状舌は舌にさまざまな模様が現れるという口腔粘膜疾患の一つです。目につきやすい舌に生じる変化のため、不安を感じたり、治し方が気になるという方も多いと思います。
この記事においては、地図状舌の特徴や原因、治療法などについて解説しますので、お悩みの方は参考にしてみてください。

地図状舌とは

地図状舌とは

地図状舌とはどのような症状ですか?
地図状舌(チズジョウゼツ)は、口腔粘膜疾患の一つで舌の表面や側面に白い斑点などが生じ、さまざまな模様が現れるというものです。典型的な模様として地図のような見た目になるため、地図状舌と呼ばれます。英語ではgeographic tongueなどと呼ばれ、歯科分野では良性移動性舌炎や遊走性紅斑と呼ばれることもあります。 地図状舌の特徴は舌に現れる白い模様で、気が付かないうちに症状が進行していることも多く、ある日突然症状が現れたと感じるケースもあります。
舌の表面の前方3分の2に現れることが多く、日によっても模様などが変ることが特徴です。 痛みなどの自覚症状は基本的にありませんが、ごくまれに刺激が強い食事などを食べると、しみるような痛みが生じるということがあります。
地図状舌になりやすい人となりにくい人はいますか?
地図状舌は、誰でも発症する可能性がある症状ですが、子どもや成人女性にやや多くみられるとされています。
また、家族内で既往がある方も、地図状舌を発症しやすいとされています。
ストレスや栄養不足などとの関係が考えられているため、慢性的なストレスにさらされている方や、栄養バランスの悪い食事が続いているような方などの場合は地図状舌になりやすいといえるでしょう。
地図状舌の原因を教えてください
地図状舌が生じる原因は、現在のところまだはっきりとわかっていません。
アレルギーやストレス、栄養不足などと関係しているという指摘もありますが、具体的にどのような状況で生じるのかというデータはありません。
成人女性にやや多いことから、月経などによるホルモンバランスの変化との関係も指摘されています。
家族に既往がある方が発症しやすい点から遺伝との関係も考えられますが、生活習慣が近い点が影響している可能性も考えられ、どの程度の相関があるかは判断が難しい症状です。
地図状舌と似ている病気はありますか?
地図状舌は、扁平苔癬や口腔カンジダ症と似た症状であるといえます。 扁平苔癬は皮膚や粘膜に生じる炎症性の疾患で、舌などの口腔内に生じたものは口腔扁平苔癬と呼ばれます。舌のほか、唇や歯肉、口蓋などさまざまな場所に発生する場合があり、網目状やレース状の白い模様として出現します。びらんや潰瘍型の場合はがん化することもあります。 口腔カンジダ症は、口腔内のカビ(真菌)が増殖し、粘膜に白い苔状のものが付着するなどの状態になる病気です。カンジダ菌というはっきりとした原因があるため、治し方も明確であり、抗真菌薬などで治療可能です。 また、舌や頬の粘膜などに白い斑点が現れる白板症も、白い模様ができるという点では地図状舌に似ているといえます。
白板症は粘膜組織の一部が過剰に増殖して厚みを増し、それによって白い膜がはったような状態になるもので、擦ったりしても取れない点が特徴です。白板症は前がん状態ともいわれ、口腔がんに進行しやすい疾患ですので、早期に適切な診断や治療を受けることが大切です。
白板症の治し方としては、外科的に病変を切除するという方法が一般的です。
地図状舌を放置するリスクを教えてください
地図状舌は、基本的に放置していても特に問題がない良性の症状です。
多くの場合で痛みなどの自覚症状も現れないため、治療せず放置することで日常生活に影響が出るということも少ないでしょう。 ただし、地図状舌は舌の表面に深いしわや溝が形成される溝状舌を合併しやすいといわれ、溝状舌も併発している場合は溝に食べかすや細菌が溜まり、炎症や口臭、味覚障害といったトラブルを引き起こしやすくなります。

地図状舌の診断

地図状舌の診断

地図状舌は何科を受診すればよいでしょうか?
地図状舌は基本的に治療の必要がない良性疾患であるため、特に診療を受けなくても問題はありません。
ただし、似ている症状がある扁平苔癬や口腔カンジダ症、白板症などのリスクもありますので、可能であれば一度口腔外科を受診しましょう。
口腔外科は、口腔内の症状に対して外科治療を含めて対応する診療科で、地図状舌を含む疾患について専門性の高い診療が期待できます。
地図状舌の診断方法を教えてください
地図状舌は見た目が特徴的であるため、主に見た目などでの臨床所見によって診断が行われます。
舌に痛みなどがあるようなケースでは、組織検査や細菌検査を行って、口腔カンジダ症などの症状がないかを判断します。

地図状舌の予防と治療

地図状舌の予防と治療

地図状舌の治療法を教えてください
地図状舌は原因がはっきりとしていない症状であることから、効果的な治し方も存在していません。そもそも健康上のリスクも特にないことから、積極的に治療が行われておらず、経過観察で自然治癒を待つことが一般的です。 ただし、痛みや不快感などがある場合には、鎮痛剤や殺菌効果のあるうがい薬の処方、ステロイド軟膏などの塗り薬の処方などが行われることもあります。
地図状舌を治すためにセルフケアでできることはありますか?
地図状舌は、栄養バランスの乱れや口腔内への刺激、ストレス、不規則な生活習慣などによって生じやすくなると考えられています。
そのため、セルフケアとして栄養バランスが整った食事を心がけることや、刺激の強い食事を避けること、歯磨きなどのケアをしっかり行って口腔内を清潔に保つことが、地図状舌の改善につながるといえます。 注意点として、地図状舌を改善しようとして、舌をブラシで擦るなどのケアは行わないようにしましょう。舌に対して刺激が加わることで症状が悪化したり、別のトラブルにつながってしまう可能性があります。
地図状舌を予防する方法はありますか?
地図状舌を予防するためには、生活習慣の見直しが大切です。
口腔内が慢性的な刺激を受ける状態にあると地図状舌が生じやすくなりますので、歯磨きなどを丁寧に行うよう心がけ、口腔内を清潔に保つようにしましょう。
辛いものなどの刺激物は控えるなど、食事による刺激を避けることも地図状舌の予防につながります。
また、アルコールやたばこの煙は口腔内への強い刺激となりますので、飲酒や喫煙の習慣がある方は、なるべく控えるようにしましょう。 食事はバランスのとれた内容を心がけることが大切です。粘膜の健康を維持するためには、ビタミンB群をはじめとした各種ビタミンや亜鉛などを積極的に摂取するようにしましょう。
そして、適度な運動なども取り入れながら、ストレスをためないように健康的な生活を心がけることが、地図状舌の予防につながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

地図状舌は、現在のところ原因がはっきりとわかっていない症状であり、そのため効果的な治し方もありません。
放置しておいても特に問題が生じるものではないため、医療機関を受診しても経過観察となることが多いといえます。
早めに改善するためには口腔内の状態を良好に保つことがポイントとなりますので、日頃の口腔ケアや生活習慣を見直し、健康的なお口の状態を目指しましょう。
口腔内を健康な状態に保つためには、定期的に歯科医院を受診して専門的なクリーニングなどを受けることも有効ですので、症状が気になる方は気軽に歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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