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口腔がんにかかった後の生存率はどのくらい?ステージ別の生存率や適切な治療を受けるためのポイントを解説

口腔がんにかかった後の生存率はどのくらい?ステージ別の生存率や適切な治療を受けるためのポイントを解説

みなさんは口腔がんという疾患をご存知でしょうか。口腔がんとは、お口のなかで発生するがんの総称で、舌、歯肉、頬の粘膜、さらには口腔底などに現れます。
人間の身体に発生するがんのなかで、1〜2%とされているため珍しい症状といえますが、特に高齢の男性が発症しやすい傾向があります。
この記事では、口腔がんの生存率をはじめ、症状の確認方法、予防法、そして治療法に関してわかりやすく解説します。

口腔がんの生存率

口腔がんの生存率

口腔がんにかかった場合の生存率を教えてください
国立研究開発法人国立がん研究センターが公開している統計によると、口腔がんにかかった場合の生存率は、5年相対生存率で63.5%とあります。性別で見ると、男性の場合は60.7%、そして女性だと69.4%とされています。
がん疾患のなかで、とりわけ生存率が低いとされている肺がんの場合で34.9%であることから、口腔がんの生存率は高いといえるでしょう。
一方、2023年に口腔がんで亡くなった男性の死亡数を見ると、6,136名で、膀胱がんや腎臓がんなどと同じくらいの水準になっています。対照的に、女性の死亡数は2,451名であることから、男性は女性と比較して生存率が低くなることが示唆されています。口腔がんおよび咽頭がんの年齢階級別死亡率を見ると、男性は55歳から急激に増加している反面、女性は75歳から増加する傾向です。このことから、口腔がんは55歳以上の男性が罹患しやすく、生存率も低下しやすいことがわかります。
口腔がんの生存率を高める方法はありますか?
口腔がんの生存率を高めるためには、早期発見、生活習慣の改善、そして適切な治療が重要な方法といえるでしょう。
まず、早期発見については、定期的な口腔がん検診を受けることや、口腔内に異常がないかセルフチェックすることなどが挙げられます。そして、生活習慣の改善として、禁煙を心がけることのほか、飲酒を控える、さらにはむし歯や歯周病などを放置せず、口腔ケアを怠らないことが重要です。
また、適切な治療を受けることも不可欠になります。症状の進行具合に合わせて、手術療法、放射線療法、そして薬剤を使った化学療法などが選択肢になるでしょう。口腔がんの生存率を高めるには、セルフチェックを含めた日頃の習慣がポイントになります。
日本の口腔がんでの生存率は海外と比べて高いですか?
世界各国における口腔がんの5年後生存率は55%ほどといわれています。日本における5年後生存率が63.5%であることを考えると、日本は生存率が高い方であるといえるでしょう。
これは、日本は世界各国のなかでも医療体制が整った国であることなどが理由として考えられます。
しかし一方で、口腔がんによる死亡者数は海外で大幅に減少してきているのに対し、日本における死亡者数はむしろ増加傾向にあるともいわれています。
これは口腔がんに対する認知や、歯科診療への取り組みが海外諸国と比べて弱いことなどが原因と考えられ、歯の予防治療への取り組みなどとともに一つの課題となっています。

口腔がんの症状

口腔がんの症状

口腔がんはお口のどこにできますか?
口腔がんは、主に舌、歯肉、口腔底、頬粘膜、そして上顎の硬口蓋などにできます。そもそも、口腔がんはお口のなかにできるがんの総称であり、舌にできたがんは舌がん、歯茎にできたものは歯肉がんなどと細分化されています。口腔がんのなかでとりわけよく見られるのが、舌にできる舌がんです。国立がん研究センターによると、口腔がんのうち、舌がんは54.2%を占めるとされており、次いで下歯肉がん14.5%、そして上歯肉がん9.1%と紹介しています。したがって、口腔がんの大半は、舌または上下顎の歯肉にできやすいと覚えておくとよいでしょう。
口腔がんの初期症状を教えてください
口腔がんの初期症状として、口腔内の硬いしこり、なかなか治らない口内炎、粘膜の変色などが挙げられます。初期の口腔がんは、痛みや出血などを伴いません。口腔内にわずかなしこりや口内炎のようなものができるため、日常的に起こりえる口内炎などの炎症として見過ごしてしまうかもしれません。ひとつの目安として、2週間以上にわたって口内炎が続いている場合や、粘膜の変色が治らずに悪化しているような場合は、口腔がんの可能性が否定できないため、医師に相談した方がよいでしょう。口腔がんの初期症状は、日頃のお口のトラブルと誤認しやすいため、よく注意してください。
口腔がんをセルフチェックで見つけることは可能ですか?
口腔がんはセルフチェックで見つけることが可能です。最終的な診断は医師によって行われますが、ご自身のお口のなかを丁寧に観察することで、口腔がんによる病変を見つけられます。セルフチェックの方法として、視認によるチェックに加え、清潔な指先で触れることも有用です。病変が疑われる部分に触れた際に、明らかに硬い場合は、悪性の腫瘍かもしれません。
一方、指先や舌で触れようとしたときに、対象箇所を見失うような場合はほとんど心配ないでしょう。視認および触れることによるセルフチェックで異常を感じた場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

口腔がんの予防や治療法について

口腔がんの予防や治療法について

口腔がんを予防するための方法を教えてください
口腔がんを予防するためには、口腔がんの原因を理解したうえで対処することが大切です。口腔がんの主な原因として、口腔内が不衛生な状態にあることのほか、喫煙、そして飲酒が挙げられます。つまり、口腔がんを予防するには、口腔内ケアを徹底し、なるべく口腔内の細菌を減らす取り組みが求められます。また、口腔がんの大きな原因とされている喫煙では、タバコに含まれる発がん性物質によって、非喫煙者の数倍の罹患リスクがあるとされているため、予防のためにも禁煙を心がけましょう。また、飲酒も罹患リスクを高めるとされているため、過度な飲酒は控えるべきです。特に、55歳以上の男性で、喫煙と飲酒を習慣化している方は、口腔がん予防のために、喫煙と飲酒の習慣を見直しましょう。
口腔がんの心配がある場合はどこで診察を受ければよいでしょうか?
口腔がんの心配がある場合は、お口のなかのトラブルに対する外科治療などを専門的に取り扱う、歯科口腔外科の受診をおすすめします。
歯科口腔外科は口腔がんについても専門的に取り扱う診療科であり、口内炎など口腔がんと間違いやすい症状の診断も豊富に行っているため、しっかりとした診断を得やすいといえます。
また、歯科口腔外科を取り扱う街中の歯科医院であれば、口腔がんの診療だけではなく定期的な歯科検診なども対応していることが多いため、お口のなかの健康を守るために継続的な診療を受けやすい点もポイントです。
口腔がんはどのように治療しますか?
口腔がんの治療は、手術療法、放射線療法、そして化学療法が選択肢になります。口腔がんで割合が多い舌がんは、がん全体と周辺組織を切除する局所切除術が用いられるほか、口腔内に欠損が生じた場合には、患者さんの身体の組織を移植する再建手術になることもあります。口腔がん治療において、放射線療法を単独で実施することは少なく、手術療法と組み合わせて実施するのが一般的です。また、化学療法は薬剤を使い、症状の改善を図ります。いずれの治療法も、口腔がんの病期に合わせて選択されるため、まずは的確な診断を受けることから治療が始まります。

編集部まとめ

編集部まとめ

口腔がんにかかった後の生存率は約60%とされています。口腔がんは、特に55歳を超えた男性で、なおかつ喫煙と飲酒を習慣にしている方が罹患しやすいとしやすいといわれているため、日常的な口腔ケアのほか、禁煙や禁酒を心がけることが予防につながります。 口腔がんが心配な方は、まずは身近な歯科口腔外科を取り扱うクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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