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親知らずを4本同時に抜くことはできる?メリット・デメリットと注意点を解説

親知らずを4本同時に抜くことはできる?メリット・デメリットと注意点を解説

親知らずが生えてくる本数は、人によって異なります。4本すべて生えてくる人もいれば、親知らずがもともと1本もないという人もいます。親知らずがすべて存在していて、抜かなければならないとなると、4本同時に抜くことを希望する方も少なくありません。

親知らずの抜歯というのは、1本でも大変なので4回も行うのは、心身への負担が大きくなるだけでなく、時間的、経済的にもコストが高くなることから、できれば1回で済ませたいと感じてしまうものです。

この記事では、コラムでは親知らずを4本同時に抜くことの可否や実際に抜いた場合のメリット・デメリットや注意点について詳しく解説します。

親知らずを4本同時に抜くことは可能?

親知らずを4本同時に抜くことは可能? 親知らずを4本同時に抜くことは医学的に可能です。親知らずを4本同時に抜くケースはありますが、一般的には稀でしょう。親知らずの4本同時抜歯が推奨されるケースと難しいケースの違いを解説します。

4本同時抜歯が推奨されるケース

親知らずを4本同時抜歯することは、まれです。

4本同時抜歯が推奨されるケースは、全身麻酔下で行うケースが多いと考えられます。全身麻酔にもリスクがあり、入院も必要になることから、1度に4本抜歯してしまうことがあります。

4本同時抜歯が難しいケース

局所麻酔下では一般的に4本を同時に抜歯することはありません。手術時間が長時間に及ぶことから、局所麻酔による除痛が難しかったり、患者の開口維持ができなかったりすることが要因の一つでしょう。

親知らずを4本同時に抜くメリット

親知らずを4本同時に抜くメリット 親知らずを4本同時に抜歯した場合に得られるメリットを解説します。

手術回数を減らせる

通常は、1回の手術で1〜2本の親知らずを抜きます。親知らずは、ほかの永久歯よりも生え方が悪かったり、顎の骨に埋まっていたりすることの方が少なくないため、手術にかかる時間が長く、術後の腫れや痛みなども大きくなりがちです。

親知らずを初めて抜いた人は、二度とこんな経験はしたくないと感じる方もいるでしょう。ストレスや痛み、日常生活への影響が原因となって、残りの3本を放置してしまう人もいるくらいです。親知らずの手術を1回で済ませられることは、4本同時抜歯のメリットです。

回復期間を短くできる

歯茎をメスで切開して、顎の骨を削るなどの処置が必要な症例では、親知らずを抜歯してから1週間程度は、会話や食事に支障をきたします。傷口が完全に回復するまでにはそれ以上の期間を要します。

抜歯を4回繰り返すことよりも、1回の手術にまとめられる4本同時抜歯の方が、トータルの回復期間は短くできるでしょう。

通院回数を減らせる

一般的な親知らずの抜歯は、初診で精密検査を行い、抜歯の日時を決定します。抜歯をしたら翌日に消毒を行って傷口の状態を診ます。抜歯から1~2週間後には縫合糸を抜き取る抜糸が必要となります。親知らずを1本ずつ抜く場合は、手術、消毒、抜糸という3回の通院を4回繰り返さなければならないのです。

親知らずを4本同時抜歯する場合は、一連の流れを1回で済ませることが可能です。仕事や学校で忙しい人にとって、極めて大きなメリットとなります。

親知らずを4本同時に抜くデメリット

親知らずを4本同時に抜くデメリット 親知らずを4本同時に抜くことを検討中の方は、それに伴うデメリットも正しく理解しておく必要があります。

痛みや腫れが強く出る

親知らずを4本同時に抜いた場合は、1~2本抜いた場合よりも、術後の痛みや腫れが強く出ます。通常は、片側だけの顎が腫れるのですが、4本同時抜歯となると、両側の顎が腫れます。その結果、痛みがどの程度になるかはケースによって変わりますが、通常の方法より術後の腫れや痛みが強くなります。

食事や生活が制限される

親知らずの抜歯後には、食事や生活に一定の制限がかかることがあります。通常の親知らずの抜歯のように、片側だけで噛むということもできないため、食べやすい食事を中心とするとよいでしょう。

親知らずの4本同時抜歯から数日は、仕事も難しくなることもありますので、その点も踏まえて手術のスケジュールを組んだ方がよいでしょう。

手術時間が長くなり負担がかかる

親知らずの4本同時抜歯は、手術と通院の回数を減らすことはできますが、手術の時間は増えます。親知らずを1本抜くのに15分かかった場合は、4本合計で60分の時間が必要になります。親知らずの4本同時抜歯では、静脈内鎮静法や全身麻酔が必要となることが考えられるため、手術全体の時間はさらに長くなるでしょう。難しい症例の親知らずでは、1本抜くのに30~60分程度かかることもあります。

◎通院回数を減らしたい人

親知らずを4本同時抜歯するメリットは、通院回数と手術回数を減らせることです。親知らずを1本ずつ抜く方法では、4本すべて抜くまでに10回以上の通院が必要となるため、仕事が忙しい人にとっては非現実的です。もちろん、親知らずを2本ずつ抜けば、その半分の回数で治療を終えることができますが、それでも通院する時間がないという方も少なくないでしょう。そんな方には、親知らずの抜歯を4本同時に行う方法が向いています。

◎手術後のスケジュール調整ができる人

親知らずを4本同時に抜歯すると、入院が必須となることもあります。そのことをを念頭に置かなければなりません。

親知らずを4本同時に抜歯する手術について

親知らずを4本同時に抜歯する手術について 親知らずを4本同時に抜歯できる診療科と手術の流れについて、簡単に解説します。

手術を受けられる診療科

市民病院や大学病院などに設置されている口腔外科で受けるケースがほとんどです。

歯科医院でも口腔外科の歯科医師が執刀し、全身状態を管理しながら静脈内鎮静法を行える歯科麻酔科医が立ち会う方法であれば、親知らずの4本同時抜歯も行えないことはありませんが、対応できるところはごく一部に限られます。

全身麻酔下で親知らずの4本同時抜歯を行う場合は、病院の口腔外科でなければ難しいでしょう。

手術の流れ

親知らずの4本同時抜歯は、通常の局所麻酔に加えて、静脈内鎮静法か全身麻酔を併用することがあります。手術の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 静脈内鎮静法または全身麻酔
  2. 局所麻酔
  3. 親知らずの脱臼・抜歯
  4. 傷口の縫合

はじめに、静脈内鎮静法か全身麻酔のどちらかをかけます。その後に施術部位に局所麻酔を施します。ヘーベルと呼ばれる器具で親知らずを脱臼させ、ペンチのような形をした鉗子で抜き取ります。親知らずが歯茎のなかに埋まっている場合は、メスで切開する必要があります。抜歯によって生じた穴を洗浄したのち、傷口を縫合したら手術は完了です。親知らずの4本同時抜歯では、この処置を4回行います。

親知らず4本同時抜歯の手術後の過ごし方

親知らず4本同時抜歯の手術後の過ごし方 親知らずの4本同時抜歯後の過ごし方について解説します。

日常生活に戻れるまでの期間

親知らずの抜歯を4本同時に行った場合、腫れや痛みのピークが当日~3日後になります。回復が順調に進めば、それ以降は日常生活に戻れることもありますが、1週間程度は安静に過ごすことを想定した方が無難です。

その間も食事や会話、入浴などは徐々に行えるようになります。デスクワークのような身体に負担のかからない仕事であれば、強い痛みや腫れが引いた時点で復帰できることでしょう。一方で、親知らずの4本同時抜歯では、想像以上に腫れや痛みが生じることもあるため、日常生活に戻れるまでの期間は個人による差が大きくなります。

抜歯後の痛みや腫れを軽減する方法

親知らずの抜歯後の痛みや腫れは、病院から処方された抗菌薬や消炎鎮痛薬で抑えることができます。

食事や日常生活の注意点

親知らずの抜歯後は、全身の血流がよくなる行為をできるだけ避けましょう。具体的には、過度な運動と飲酒や長時間の入浴は、体の状態をみて行いましょう。患部を刺激する熱い食べ物や辛い食べ物も避けたほうが無難です。

まとめ

親知らずを4本同時抜くことのメリットやデメリット、抜歯後の注意点などについて解説しました。親知らずは4本同時に抜くことはできますが、デメリットやリスクが大きくなるため、ほとんどの患者さんには推奨できません。

患者さんの希望だけで親知らずを4本同時抜歯を決めるのは難しいという点は、あらかじめ正しく理解しておかなければなりません。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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