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顎関節症は遺伝する?発症する原因や症状、治療方法を解説

顎関節症は遺伝する?発症する原因や症状、治療方法を解説

顎の関節にさまざまな症状が現れる顎関節症は、日本人に珍しくない病気です。発症には遺伝が関係しているのか、顎関節症になりやすいのはどのような人なのかなど、気になることもあるでしょう。

この記事では、顎関節症を発症する原因や症状、治療方法を解説します。顎の痛みや顎関節の雑音などに悩まされている方や顎関節症を予防したい方は参考にしてみてください。

顎関節症を発症する原因

顎関節症を発症する原因や遺伝との関連を確認しておきましょう。

顎関節症は何が原因で発症するのですか?
顎関節症は、ひとつの原因で発症することは少なく、以下にあげるような要因が複数に重なるのが一般的です
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 歯列接触癖
  • 過剰なストレスや緊張
  • 交通事故やスポーツでの外傷
  • 骨格的な異常
  • 悪い噛み合わせ
  • 猫背や頬杖をつく癖
  • 片側だけで噛む癖
  • 硬い食べ物を習慣的に食べている
  • ガムを長時間噛む習慣がある
  • 自己流の顎のストレッチをしている

これらは一例であり、顎関節症の引き金となる習慣・習癖・異常はさまざまです。

顎関節症になりやすい人の特徴を教えてください
顎関節症は、顎に負担がかかりやすい習慣のある人が発症しやすい病気です。

噛み合わせが悪かったり、顎への負担をかけやすい骨格をしていたりする方も、顎関節症の発症リスクが高まります。噛み合わせや骨格は、遺伝的な要因も含まれています。

ただし、噛み合わせや骨格の異常も顎関節症を発症する一因でしかないため、親が顎関節症だと、子どもも顎関節症になるとは限りません。

顎関節症が遺伝すると考えられる理由は何ですか?
顎関節症の発症は、骨格も関係しています。上下の顎骨の形態や位置が合っていない、顎関節を構成する骨の形態に異常があるなどが理由で、顎関節に負担がかかり症状を引き起こします。

骨格の形やバランスは、親からの遺伝も影響するため、顎関節症は遺伝的な要因もあると考えられてます。

親族に顎関節症の人がいる場合は発症しやすいのか教えてください
一概にはいえませんが、顎関節症の発症リスクは高いと考えられます。

両親や兄弟など、顎関節症になっている場合は、骨格的な特徴や習慣や習癖も似ていることがあるため、共顎関節症を発症しやすいと考えられます。あくまで、顎関節症の発症リスクが相対的に高まるという話であり、親族に顎関節症の人がいても本人がそれを発症しないこともあります。

顎関節症の症状

顎関節症の症状 顎関節症を発症した場合に認められる症状について解説します。

顎関節症になるとどのような症状が出ますか?
顎関節症では、以下にあげる3つの症状が現れます。
  • 顎を動かすと「カクカク」「ジャリジャリ」と音が鳴る
  • お口を開けると顎が痛い
  • お口を大きく開けられない

いずれの症状が現れるかは、顎関節の状態によって異なります。顎関節症は、そしゃく筋痛障害、顎関節痛障害、顎関節円板障害、変形性顎関節症などに分類され、異常をきたしている組織によって症状が変わってくるのです。

放置していても顎関節症は治りますか?
自然に治る場合もあります。顎関節症は、一般的な病気とは異なり、医学的に解明されていないこともあります。女性の発症率が高く、10代後半から症状が現れやすくなっていますが、20〜30代になると顎関節症の症状が自然に消えていくことも少なくありません。

軽度の顎関節症であれば、発症から1年以内に自然治癒することもあります。一方で、自然には治らない顎関節症もあることから、自己診断はせず、医師に診てもらうのが望ましいでしょう。

顎関節症が全身に与える影響を教えてください
顎関節症は、以下に挙げるような全身の症状を引き起こすことがあります。
  • 頭痛、腰痛、肩こり
  • めまい、耳鳴り、難聴
  • 目の充血、流涙
  • 歯痛、舌痛、味覚異常、ドライマウス嚥下障害
  • 手足のしびれ

これらは顎関節症だけの症状ではないため、その他の病気との鑑別が必要となります。患者さんによっては顎関節症で全身の症状が現れないこともあります。

顎関節症を放置しておくとどうなりますか?
顎関節症を放置することで自然に治ることがありますが、一方で病状が悪化してしまうこともあります。悪化した場合、以下のような変化が見られることがあります。
  • 顎の痛みが強くなる
  • 開口量が少なくなり、食事や会話に支障をきたす
  • 顎のズレや噛み合わせの異常が悪化する
  • 顔が歪んでくる
  • 精神的なストレスが大きくなる
  • 顎関節の摩耗や変形が起こる

顎関節を構成する骨の摩耗や変形、関節円板の損傷は不可逆的な変化であり、より深刻な症状へと発展しかねません。

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療方法 顎関節症を治療する方法や期間などについて解説します。

顎関節症の治療はどのように行いますか?
顎関節症の治療方法としては、スプリント療法、薬物療法、理学療法、行動療法などが挙げられます。

◎スプリント療法

歯列全体を覆う治療用マウスピースを装着して、顎の位置や噛み合わせを調整します。顎関節への負担を軽減できます。ただし、インターネットなどでマウスピースを購入した場合、自分にあったものでない場合が多いので、必ず歯科医院でマウスピースを購入し、使用するようにしましょう。

◎薬物療法

顎関節症によって生じている痛みや炎症反応は、消炎鎮痛剤で緩和します。顎の筋肉が過剰に働くことで顎関節症の症状を悪化させている場合は、筋弛緩剤を服用することもあります。

◎理学療法

温罨法などで顎関節やその周囲の炎症反応を緩和します。徒手で顎関節を動かしたり、ズレた位置を修正したりする方法も理学療法に含まれます。

◎行動療法

顎関節症の原因となっている習慣・習癖を患者さん自身が改善できるように指導します。

顎関節症の治療は、どこの歯科医院でも対応していますか?
顎関節症の治療は、専門性の高い領域なので、可能であればこの分野の診療経験が豊富な歯科医院を選んだ方がよいです。もちろん、歯科医院ではどこでも顎関節症の診察を行うことはできますが、治療の質は歯科医師の知識や技術、経験によって大きな差が見られます。
顎関節症を緩和するケア方法があれば教えてください
顎関節症の症状が認められる場合は、以下のケア方法を実践するとよいでしょう。

◎顎に負担をかけない

極端に硬い食べ物を噛むと、顎関節に大きな負担がかかるため、顎関節症の症状が認められる場合は、軟らかいものを意識的に食べるようにしましょう。

◎患部を温める

顎を蒸しタオルなどで温めることで、患部の血流が良くなり、痛みが和らぎます。強い痛みや腫れなど、急性の症状が現れている場合は、患部を温めると逆効果となるため、その点に注意しながらセルフケアすることが大切です。

◎顎をマッサージする

咬筋や側頭筋をマッサージして、筋肉のこりをほぐすことで顎関節症の症状が緩和される場合があります。ただし、誤った方法でマッサージするとかえって症状が悪くなる場合があるので、可能であれば歯科医院で正しい方法を学びましょう。

治療をする場合、どの程度の期間がかかりますか?
顎関節症の治療期間は、重症度によって変わります。軽度であれば、2~4週間程度で治療が終わることがあります。重症度の高い顎関節症では、治療期間が数ヵ月におよびます。いずれにしても1年以内に顎関節症の治療が終わるケースが大半を占めます。

編集部まとめ

今回は、顎関節症と遺伝との関連や発症する原因、治療する方法などを解説しました。顎関節症の原因は多岐にわたり、いくつかが組み合わさることで発症するケースがほとんどです。そのなかに親からの遺伝が関係していることもあるでしょう。また、顎関節症の重症度はケースによって異なり、異常が見られる組織にも違いが見られることから、治療方法や治療期間を一概に語ることが難しいため、気になる方はまず歯科医院を受診してみましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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