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口腔がんは原因を知って早めに対策することが大切!口腔がんの症状や治療法について解説

口腔がんは原因を知って早めに対策することが大切!口腔がんの症状や治療法について解説

がんの一種である口腔がんは、生活習慣などによってリスクが高まるため、がんの原因となるような行為を避けることが、予防のためには重要です。
この記事では、口腔がんの原因や、症状の詳細、治療法などについて詳しく解説します。

口腔がんを引き起こす原因

口腔がんを引き起こす原因

口腔がんにならないようにするためには、原因となるような行為をできるかぎり避けることが大切です。
口腔がんのリスクを高めてしまう原因について解説します。

最大のリスク要因は喫煙

口腔がんの原因として、特に強い要因になる行為が喫煙です。口腔がんの発生原因の58%が喫煙によるものという報告もあります。
喫煙習慣がある人は、喫煙習慣を持たない人と比べて口腔がんにかかる割合が約7倍になるとも言われていて、口腔がん予防のためにはまず喫煙習慣を見直すことが重要となります。
特に、葉巻タバコやパイプによる喫煙は、紙巻タバコよりも口腔がんの発生率が高いとされていて、これは有害物質をより取り込みやすくなる影響と考えられます。
なお、近年普及が進んできている電子加熱式のタバコは、従来のタバコと比べると有害物質の量が少なく、口腔がんへの寄与危険度も少なくなると考えられます。
ただし、電子加熱式のタバコも有害物質がないわけではありませんので、喫煙による口腔がんのリスクは、非喫煙者と比べて高くなるといえるでしょう。
喫煙習慣は口腔がんだけではなく、肺がんなどのリスクにもつながりますので、がんを予防するという点では避けるべき生活習慣です。

飲酒による原因

口腔がんの2大原因と言われているものが、喫煙と飲酒です。
飲酒は喫煙に比べれば寄与危険度が低く、36%といわれていますが、それでも高いリスク要因になることは間違いありません。
飲酒習慣がある方は、ない方に比べて口腔がんに最大で約5倍の確率でなりやすいとされ、特に高濃度のアルコールを摂取する機会が多い人程危険性が上がるといわれています。
飲酒ががんの原因になる理由は、アルコールによる刺激や、代謝産物として作られるアセトアルデヒドに強い発がん性があるためです。
なお、喫煙と飲酒はそれぞれ単体でも口腔がんのリスクを高めますが、喫煙と飲酒の両方の習慣がある場合はそのリスクはさらに高まり、どちらの習慣もない人と比べて36倍程、口腔がんにかかる可能性が高くなるといわれています。
飲酒は口腔がんだけではなく、咽頭がんや食道がんなどのリスクも高めます。

口腔内の不衛生さ

口腔内が清潔に保てておらず、不衛生な状態にあることも口腔がんの原因です。
歯磨きなどが適切にできていないことから、食べ残した汚れや歯垢、歯石などが蓄積された状態になると、口内で細菌が増殖し、刺激を受けやすくなります。
がんは細胞が増殖する際のエラーによって遺伝異常が生じることで発生するものであり、細胞が新しく頻繁に作られる状況にあると、がんの発生確率は上がります。
口腔内が不衛生で、細菌による刺激が生じやすい状態になると、口腔内の炎症を引き起こし、新しい細胞が多く作られるようになるため、がんのリスクが高まります。

歯並びの問題などによる要因

口腔内で刺激を受けやすくなるという点では、不衛生さだけではなく、歯並びの問題などによる物理的な刺激も要因となります。
例えば、歯が外側に倒れていて口腔内の特定の部位に常に接触しているなどの場合、その部分に常に刺激が加わり続けるため、口腔がんのリスクが高まります。
また、出っ歯などが原因で口が完全に閉じられにくい場合、口腔内が乾燥しやすくなって、口腔内の細菌が増殖しやすくなるなどの影響につながります。
口腔内の乾燥は、口腔がんなどのリスクにつながるだけではなく、むし歯のリスクや、口臭の要因などにもなります。

食事内容によるリスク

辛いものや塩分の濃いものなど、刺激が強い食事も、口腔がんのリスクを高める要因の1つです。
また、動物性脂肪が多い食事や、お肉を高温で調理したときにできるヘテロサイクリックアミンという物質、加工食品などに含まれやすいニトロソ化合物といった物質などは、口腔がんに限らずがんのリスクを高めるものとして報告されています。
食事はなるべくバランスのよい内容を心がけながら、特に食物繊維やビタミン類、亜鉛やセレンといったミネラル類などをしっかり摂るようにすると、がんのリスクを軽減することができます。

歯肉炎なども原因になる

口腔内の細菌が作り出す毒素によって引き起こされるものが歯肉炎で、場合によっては歯槽骨が溶かされて歯茎が退縮するなど、歯周病の症状にもつながります。
歯肉炎は痛みなどの自覚症状は起こりにくい症状ですが、細菌の刺激によって炎症がおこっている状態ですので、やはり口腔がんのリスクを高める要因となります。
歯肉炎を改善するためには原因である細菌を減らすために、専門的な歯のクリーニングを行って歯垢や歯石を除去する必要があります。

口腔がんとはどのような病気?

口腔がんとはどのような病気?

口腔がんとは、そもそもどのような病気なのかについて、解説します。

口腔がんができる範囲

口腔がんは、簡単にいえばお口の中の見える範囲にできるがんの総称です。
舌にできるがんを舌癌とも呼びますが、舌癌や頬の内側や歯茎、上顎や口底(舌と歯茎の間)にできるがん、そして口唇にできるがんを総称して口腔がんと呼びます。
なお、舌の奥側(舌根)などにできるものは、口腔がんではなく咽頭がんと呼ばれ、口腔がんと咽頭がんなどを総称して頭頚部がんと呼ばれることもあります。
口腔がんのなかでは舌癌の割合が多く、口腔がんの半分以上は舌癌です。
舌癌は舌の側面などにできることが多く、舌の表面などにできることはあまりありません。

口腔がんになりやすい人の特徴

口腔がんになりやすい人の特徴として、まずは前述のような口腔がんのリスク要因に当てはまる人が挙げられます。
特に、喫煙と飲酒の習慣が両方ともあり、どちらも高頻度で、アルコールが強いお酒をよく飲むという方は、口腔がんになる可能性が高いといえるでしょう。
また、生活習慣は別としても、家族のなかでがんにかかった方がいるような場合、遺伝的にがんにかかる可能性が高いと考えられます。 口腔がんの好発年齢は50歳から60歳頃で、男性と女性では3:2の割合で男性の方が多いため、この年代の男性は特に口腔がんのリスクが高いともいえます。
ただし、男女比などについては生活習慣の要因なども影響しているため、口腔がんを予防するためにはまず喫煙や飲酒といった習慣を見直すことが大切です。

口腔がんを放置するリスク

口腔がんは、初期状態であれば適切な治療を受ければ5年後生存率も高い病気ですが、症状を放置しているとがんのサイズが大きくなり、また転移などが生じて生存率が下がっていきます。
がんの治療は病変がある部位を切除し、それ以上のがんの拡大を防ぐことによって行われますが、がんのサイズが大きくなる程切除範囲も広がるため、後遺症なども生じやすくなります。
口腔がんは頸部のリンパ節などに転移しやすいという特徴があるため、早期に発見して治療を行わないと、お口の中だけではなく喉の方まで広く治療をする必要が生じやすいといえます。
また、リンパなどに転移がある場合は切除だけではなく抗がん剤や放射線などによる治療も必要となる場合があり、身体に強い負担がかかりやすくなります。

口腔がんの症状

口腔がんの症状

口腔がんは、初期では痛みなども出にくく、自覚症状がない場合もある病気です。
口腔がんの具体的な症状について解説します。

口腔がんの初期症状

口腔がんによる自覚症状では、口腔内の痛みやしこり、腫れ、出血、歯のぐらつき、口臭といったものが挙げられますが、初期症状ではこうした自覚症状が出にくいという特徴があります。
その理由として、口腔がんに限らずがんは全般的に細胞の異常な増殖による症状であることから、特に炎症などの症状も生じにくく、がんのサイズが小さいときには自覚症状が出にくいのです。
口腔内の痛みなど自覚症状が出る段階では、すでにある程度口腔がんが進行して大きくなっている可能性があるため、早急に適切な診察や治療を受ける必要があります。
なお、口腔がんによる腫れやしこりなどは初期段階でも感じることができるため、毎日口腔内の状態をセルフチェックし、しこりや腫れ、色の変化などがないかを確認しておくと、早めに気が付きやすくなります。

症状が進行した口腔がんの症状

口腔がんの症状が進行することによる変化としては、まずはがんのサイズが大きくなっていくことが挙げられます。
ただし、口腔がんは横に大きくなる場合もあれば、深部に大きくなっていく場合もあるため、必ずしも眼に見える腫れの大きさやしこりが大きくならない場合もあります。
深部に広がっていく場合、しこりが小さくても症状が進行している可能性があるため、気が付いたらがんのステージが進んでいたということもあります。
がんのサイズが大きくなってくると、周囲の組織が圧迫されるようになるため、痛みや腫れ、出血などの自覚症状が生じやすくなります。
口腔がんができる場所によっては、歯のぐらつきなどの状態が出てくる場合もあるでしょう。
さらに進行してサイズが大きくなっていくと、お口を開けにくくなったり、喋り難さや食べにくさを感じるといった症状へとつながります。
また、頸部のリンパ節に転移を起こした場合には、顎の下や首が腫れるといった症状につながることもあります。

口腔がんと間違いやすい症状

口腔がんは、腫れや痛みといった症状から、特に口内炎と間違われることが多い症状です。
口内炎がなかなか治らないからと歯科医院などを受診して、初めてそれが口腔がんであることが判明するといったケースもよくあります。
口内炎は口腔内で細菌が増殖することによって生じる炎症で、通常は2週間程度もすれば身体のもつ免疫機能により、症状が落ち着いていきます。
そのため、口内炎と感じる症状があらわれてから、2週間以上が経過してもおさまらないような場合には、口腔がんの可能性も考えられますので、一度口腔外科などを受診した方がよいでしょう。
また、口内炎は初期段階から痛みがでやすい症状ですが、口腔がんは初期段階では痛みなどが出にくいため、腫れやしこりがあるけれど、痛みがない状態が続くという場合も、口腔外科を受診することをおすすめします。

口腔外科を受診すべき症状

口内炎ができたと感じてから、2週間以上が経過しても治らない場合や、痛みはないけれど、口腔内に明らかなしこりや腫れ、色の変化やただれなどが確認できる場合は、一度口腔外科を受診しましょう。
しこりなどは良性の腫瘍の場合などもありますが、いずれにしても正確な診断をもとに治療を受けることで、しっかりと改善させることができます。
症状を放置して口腔がんが進行してしまうと、生存率も大きく下がってしまいますので、手遅れになる前に早く診療を受けることが大切です。

口腔がんの検査と治療

口腔がんの検査と治療

口腔がんの検査や治療は、具体的に下記のような方法で行われます。

口腔がんの検査方法

口腔がんの検査は、画像診断と病理診断などによって実施されます。
画像診断ではCTやMRI、超音波による検査で病変の状態を確認し、その病変のサイズや範囲などを確認します。 病理検査は、病変の一部を切り取って採取し、顕微鏡で検査を行うというものです。
病理検査を行って、がん細胞が確認されれば、口腔がんが確定します。 腫れやしこりがあっても、悪性腫瘍である口腔がんではなく、転移などの可能性が少ない良性の腫瘍である場合もあります。

口腔がんの治療法

口腔がんの治療は、主に原発巣切除術という、がん細胞がある部位を直接切除する方法によって行われます。
がんは細胞が残っているとそこから再度症状が進行してしまうため、がん細胞がある部分はすべて除去する必要があり、がんが進行して大きくなる程、切除する範囲は広くなります。 切除した部位は、そのままにしておくと正常な日常生活を送りにくくなってしまうため、身体の別の部分の移植や、人工的な材料を使用して再建手術が行われます。 なお、口腔がんについては早い段階でリンパ節に転移しやすいため、転移がみられる場合や、転移の可能性が高いと判断される場合は、頸部郭清術という、リンパ節をその周囲ごと除去する治療が行われることがあります。 また、がんが取り除けない部位に広がっている場合など、手術で取りきることができないようなケースや、リンパ節への転移がある場合では、手術後に放射線や抗がん剤を使用して、がんの縮小や進行の防止を図ることがあります。

編集部まとめ

編集部まとめ

口腔がんの原因として特に大きいものは喫煙で、次いで飲酒がリスクを高め、喫煙と飲酒の両方の習慣があると、口腔がんのリスクはとても大きくなります。
喫煙や飲酒は口腔がんに限らず、多くのがんのリスクにもつながりますので、がんを予防するという点では控えた方がよいといえるでしょう。
口腔がんは口内炎と間違えやすい症状ですが、放置して症状が進行してしまうと治癒が難しくなり、治療を受ける場合の副作用なども強くなるため、心当たりがある方は早めに口腔外科を受診することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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