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顔の歪みに顎関節症が関係している?症状や治療法について徹底解説!

顎関節症 顔の歪み

顎関節症は、顎の動きや顔の歪みに関連する疾患であり、多くの方に影響を与えています。この状態は、顎関節周囲の筋肉や組織の問題によって引き起こされ、顔の歪みや痛み、食事の困難などの症状を引き起こす可能性があります。 本記事では顔の歪みに顎関節症が関係しているのかについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎関節症になる原因
  • 顎関節症と顔の歪みの関係
  • 顎関節症の治療

顔の歪みに顎関節症が関係しているのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも顎関節症とは?

そもそも顎関節症とは?

顎関節症は、顎の関節とその周辺の筋肉である咀嚼筋に異常が生じる疾患です。顎関節症の患者さんの多くは女性で、特に若い女性と中年の女性に多く見られ、男性の2〜4倍の割合で発症します。

顎関節症は自然治癒することもありますが、痛みや日常生活への影響が大きい場合には治療が必要です。特に、嚙み合わせと顎関節の関連性を理解し、それに基づいた診断と治療が重要です。

顎関節症になる原因

顎関節症になる原因

顎関節症の原因には、複数の要因が絡み合っています。主な原因として以下の点が挙げられます。

  • 解剖要因:顎関節や咀嚼筋の構造的な弱さが顎関節症を引き起こす可能性があります。顎の構造が弱い場合、さまざまな負担に対処できなくなります。
  • 咬合要因:不良な噛み合わせ関係が顎関節症の原因の1つですが、これだけで症状が発現するケースはごくまれです。
  • 精神的要因:精神的な緊張や不安、抑うつなどの精神的要因が顎関節症を引き起こす場合もあります。
  • 外傷要因:下顎を強打するなどの外傷が原因となり、顎関節症が発症することがあります。
  • 行動要因:日常的な習慣や行動も顎関節症の原因となります。例えば、歯列接触癖や不良な姿勢、睡眠の際の歯ぎしり、食事の仕方などが挙げられます。

これらの要因が影響し、症状が現れることがあります。特に、行動要因の中でも歯列接触癖などの習慣的な行動は、症状の改善に大きく関与するため注意が必要です。

顎関節症の症状(主症状)

顎関節症の症状(主症状)

顎関節症の主な症状は、顎の痛みやこわばり、口の開閉困難、および顎の関節部周辺でのクリックやカクカク音の発生などがあります。具体的な症状を以下で解説します。

顎関節や咀嚼筋の痛み

顎関節症の主な症状の一つに「顎の痛み」が挙げられます。この痛みは、顎関節の動きや咀嚼のときに起こるもので、顎関節痛と咬筋痛に区別されます。

顎関節痛は、顎関節周囲の軟組織に炎症が生じることで引き起こされます。関節の滑膜炎や結合組織の炎症が神経を刺激し、顎の動きによって痛みが生じます。

咬筋痛は、咀嚼筋のさまざまな病態によって生じます。筋・筋膜疼痛が一般的であり、局所的な鈍い痛みやトリガーポイントが特徴です。

これらの痛みは、朝起きた際や仕事中などに現れることが少なくないとされています。

顎関節の関節音

顎関節症の主な症状の二つ目に、「顎関節の関節音」が挙げられます。この関節音は、咀嚼や口の開閉するときに異音が生じることで特徴付けられます。

関節音は、関節円板が正常な位置からズレ出ることで、顎の動きに伴ってカックンといった単発音が生じます。また、関節円板や顎頭の変形によって軋轢音が生じることもあります。

一方の顎関節の関節音は、自覚症状がない場合もありますが、放置すると関節円板の変形や症状の悪化を招く可能性があります。特に、クリック音が頻繁に聞かれるようになると、顎関節症の進行が懸念されるため、関節音が生じた場合は早めに適切な対処を行うことが重要です。

開口障害

顎関節症の主な症状の三つ目は、「開口障害」が挙げられます。これは、噛み合わせの悪化や下顎位の偏位などによって関節靭帯に障害が生じることで発生します。また、筋肉痛や炎症が咀嚼筋群に生じ、関節円板のズレや変形も開口障害の原因となります。

このように、顎関節症における開口障害は、関節や周囲組織の異常によって引き起こされる症状であり、適切な治療と管理が必要です。

顎関節症の症状(諸症状)

顎関節症の症状(諸症状)

顎関節症は、顎以外でも症状が現れる可能性があります。諸症状は、以下の通りです。

顔や全身の歪み

顎関節症による顔や全身の歪みは、下顎位の偏位が主な原因です。下顎骨の片側が押し込まれることで顔のバランスが乱れ、目や鼻、口の位置に違いが現れます。また、偏咀嚼により顔の筋肉のバランスが崩れ、容貌に変化が生じます。

さらに、噛み合わせの異常により下顎の骨がずれ、頭部の位置が変化します。その結果、全身の骨格や筋肉に影響が及び、頚椎や肩、背骨、骨盤、足のバランスまでが歪みます。

したがって、顎関節症の治療は症状の緩和だけでなく、全身のバランスを整えることが必要です。

頭痛

顎関節症による頭痛は、主に筋肉の痛みによるものです。下顎位の偏位により顎や周囲の筋肉が緊張し、側頭骨にも影響を及ぼします。

特に、側頭筋の緊張が顎関節症による頭痛の主な原因となります。この筋肉は口を閉じる際に使われ、顎関節症による緊張や縮みにより側頭部に痛みが生じます。

頭痛は、急性の脳疾患やくも膜下出血などの重篤な病気ではないことがほとんどですが、原因不明の場合は精密検査を受けることが重要です。

首や肩のこり

顎関節症による首や肩のこりは、複数の原因によって引き起こされます。まず、咀嚼筋群と周囲の筋肉の過度な緊張が顎関節症による典型的な症状です。

この緊張が咀嚼筋から首や肩に広がり、僧帽筋や胸鎖乳突筋などの筋肉にも影響を与え、拘縮や血行障害を引き起こします。

また、顎のズレによって体全体の重心が変化し、頭の位置や頸椎の並びが変わります。この結果、姿勢が乱れて首や肩の筋肉が過度に緊張し、肩こりや首の痛みが生じます。

この姿勢の乱れが進行すると、頸椎症や線維筋痛症などの疾患につながる可能性があるため、早めの対処が重要です。

耳鳴りやめまい

顎関節症による耳鳴りやめまいも、複数の原因によって引き起こされます。まず、顎関節を構成する側頭骨が内耳に近接しているため、顎関節音が耳に伝わり、耳鳴りを引き起こすことがあります。

また、下顎の部分が中耳に圧迫をかけることで平衡感覚を司る三半規管に異常が生じ、めまいが起こることもあります。

顎関節症が進行すると、関節円板の異常や噛み癖による耳への過度な刺激が耳鳴りや難聴を引き起こし、さらに三半規管にも影響を与えてめまいが生じることがあります。これらの症状は、人によって異なるため、適切な治療が必要です。

精神的な失調

顎関節症は、ストレスや睡眠障害、自律神経失調症、不定愁訴、抑うつなどといった精神的な要因と密接な関係があります。

特に、顎関節症における下顎位の偏位は重要な要因です。下顎位の偏位が頭蓋骨に影響を与え、頭蓋骨の歪みを引き起こすことがあります。この歪みによって、脳の働きにも影響を及ぼす可能性もあります。

顎関節症の痛みや不調が精神的な失調を引き起こし、さらに不眠症や睡眠障害、自律神経失調症などの症状を誘発することがあります。 このような悪循環が顎関節症と精神的な失調の関係性を深める一因となっています。

顎関節症と顔の歪みの関係

顎関節症と顔の歪みの関係

顎関節症と顔の歪みにはどのような関係があるのでしょうか?以下で解説します。

咬筋の肥大

顎関節症による咬筋の肥大は、片側の歯で噛む習慣や歯ぎしり、食いしばりなどが原因で起こります。顎関節症の進行により、噛む筋肉である咬筋が過度に発達し、顔のバランスが崩れることがあります。また、咬筋の肥大によって顎の動きが制限されたり、口の開閉が不自由になったりすることもあります。

そのため、顎関節症の治療や管理では、咬筋の状態を適切に確認し、適切なケアや矯正を行うことが重要です。

顔面の非対称

顎関節症が進行すると、下顎頭と呼ばれる顎のつけ根部分の骨に癒着やすり減り・肥大が生じ、骨が変形します。この変形により、顎のラインの高さが左右で大きくずれ、顔が非対称になります。また、そしゃく筋のアンバランスな発達も顔面の非対称の原因となります。

顎関節症によるそしゃく筋の過度の緊張や筋力の不均衡は、顔の歪みや非対称を引き起こす可能性があるため、早期の治療や適切なケアが重要です。

下顎の位置がずれる

下顎の位置がずれる原因の一つは、下顎頭の吸収や変形です。骨の変形により下顎が後退し、「顎無し顔」のような不自然な見た目になるだけでなく、口の開閉が制限され、開口筋に痛みやコリが生じることもあります。

下顎は顔の中で動きが大きく、顎関節と咬筋によって制御されています。噛み合せのズレや咬筋の緊張により、下顎の位置が変化し、顔全体の歪みや顎関節症が引き起こされる可能性があります。

顎関節症の治療

顎関節症の治療

最後に、顎関節症の治療について以下で詳しく解説します。

スプリント療法

スプリント療法は、透明なマウスピースを装着する治療法で、顎関節症や歯ぎしり、食いしばりによる症状を和らげます。マウスピースは顎の位置を誘導し、顎関節や筋肉への負担を軽減します。

これにより、顎関節の力が緩和され、筋肉がリラックスします。特に、口の開閉に制限がある場合や歯ぎしり、食いしばりがある場合に適しています。

ただし、スプリント療法は原因の解決ではなく、症状の悪化を防ぐための措置であるため、根本的な改善を目指す場合にはほかの治療法が必要です。

薬物療法

顎関節症の治療には、痛みを和らげるために鎮痛剤や消炎鎮痛剤が使用されます。痛みの強さに応じて、ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤が処方されます。特に顎関節や周囲の筋肉の痛みに対して効果が期待できます。

さらに、食いしばりや歯ぎしりによる筋肉痛がある場合には、筋弛緩剤が使用され、筋肉の緊張をほぐします。ストレスが原因で症状が悪化している場合には、精神安定剤や抗うつ剤も処方されることがあります。

これらの薬物療法は症状の軽減に役立ちますが、根本的な原因解決にはほかの治療法が必要です。

理学療法・運動療法

理学療法や運動療法では、顎関節症の症状を軽減するためにさまざまな方法が取られます。まず、筋肉や靭帯にストレッチを行い、左右対称の適切な顎の開閉を習慣づけます。これにより、筋肉のバランスが整い、顎の動きが改善されます。

また、電気刺激やマッサージを行うことで筋肉の緊張をほぐし、血流を改善します。さらに、顎の筋肉をストレッチし、口の動きを訓練することで、顎周辺の筋肉が増強され、正常なバランスが取り戻されます。

これらの療法は、自宅でも簡単に実践でき、日常生活に取り入れられます。

外科手術

顎関節症の治療で、骨の変形が大きい場合やほかの治療法で改善が見られない場合には、外科手術が検討されます。

口腔外科で行われる手術は、患者さんの病態や原因を詳しく検討し、適切な対処法を選択します。外科手術は、関節鏡を用いた手術や関節の切開手術などがあります。

したがって、外科手術を検討する場合は、専門の医師がいる医療機関の歯科口腔外科で相談することが重要です。

生活習慣の見直し

生活習慣を見直すことは顎関節症の治療において重要です。頬づえをついたり、片側だけで噛む習慣だったり、悪いクセを改善することが求められます。特に、歯ぎしりやくいしばりは顎に過剰な負担をかけ、精神的ストレスも関連します。

生活習慣の見直しには、日中の意識的なくいしばりや偏咀嚼を防ぐための指導が含まれ、顎の安静と負荷の軽減、筋肉のストレッチが大切です。したがって、自宅でのセルフケアの積極的な実施は、治療効果を高めるために不可欠です。

まとめ

まとめ

ここまで顔の歪みに顎関節症が関係しているのかについてお伝えしてきました。 顔の歪みに顎関節症が関係しているのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • 顎関節症の原因には、「解剖要因」「咬合要因」「精神的要因」「外傷要因」「行動要因」などがあり、中でも歯列接触癖などの習慣的な行動は、症状の改善に大きく関与するため注意が必要
  • 顎関節症と顔の歪みには密接な関係があり、咬筋の肥大や顔面の非対称、そして下顎の位置のずれは、顎関節症の進行によって引き起こされる可能性があるため、早期の治療や適切なケアが重要
  • 顎関節症の治療には、スプリント療法、薬物療法、理学療法・運動療法、外科手術、生活習慣の見直しがあり、症状の軽減や根本的な改善を目指して適切に組み合わせられる

顔の歪みと顎関節症は密接に関係していることを、この記事で理解していただけたと思います。
気になる症状がある場合には、病院を受診してみましょう。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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